第一生命ホールディングス(HD)は、50歳以上の社員約1000人を対象に希望退職を募集する。事業構造改革を加速させる狙いか。
希望退職募集の背景と概要
第一生命HDは、海外事業や保険以外の事業拡大など、ビジネスモデル転換を進めている。
この一環として、人材の多様化とスキル向上を図るため、50歳以上かつ勤続15年以上の社員を対象に、約1000人規模の希望退職を募集する。これは営業職員を除く社員の約7%に相当する。
募集期間は2025年1月20日から同月31日まで。
退職日は2025年3月31日。退職金に加え、特別支援金が支給され、再就職支援も行われる。
希望退職による影響
希望退職により、会社側は人材の流動化を促進し、新たなスキルを持つ人材の獲得を目指している。
一方で、1000人全員が退職した場合、特別支援金などの費用として、2025年3月期決算で150億円の特別損失を計上する見込みだ。
若手人材獲得のための施策も
希望退職募集と並行して、第一生命HDは若手人材の獲得にも力を入れている。
2024年4月入社の新卒社員の初任給を、従来の27万6000円から約16%引き上げ、32万1000円としていた。これは金融業界でも最高水準とみられ、優秀な人材の確保・定着の狙いがみえる。
新旧人材戦略の狙い
希望退職募集と初任給の大幅アップという一見相反する施策は、事業構造改革と世代交代の両立を目指す第一生命HDの戦略を反映している。
中堅・ベテラン社員の円滑なキャリア移行を支援しつつ、優秀な若手人材を積極的に採用することで、新たなビジネスモデルへの対応力を強化し、持続的な成長を図る狙いがある。