世界100カ国以上に店舗を展開し、年間14億人が利用するマクドナルド。日本国内でも2,900店舗(2022年度時点)展開されています。この記事では、そんな世界的に有名なマクドナルドのSDGsへの取り組みについてご紹介します。
「マクドナルドについてもっと知りたい」「どんなSDGsへの取り組みをしているのか参考にしたい」、そんな思いを抱いている方はぜひ読んでみてください。SDGsの取り組みから、マクドナルドが何を大切にしている企業なのかを読み解くことができると思います。
世界100カ国へ展開する世界的企業マクドナルドとは?
マクドナルドは、創業者であるレイ・A・クロック(以下、「レイ・クロック」と記載)が、当時ファストフード店であった「(前)マクドナルド」を買収・フランチャイズ化し世界規模へ成長させた企業です。
ここでは、そんなマクドナルドを表す3つの特徴についてお伝えしたいと思います。
1. ハンバーガービジネスではなく、『ピープルビジネス』
「マクドナルドはハンバーガービジネスではない、ハンバーガーを売っている”ピープルビジネス”」
これは、創業者であるレイ・クロックが残した言葉です。この言葉は「人の成長が会社の成長につながる」ということを意味しているのだそうです。
その証拠に、マクドナルドではハンバーガー大学という独自のトレーニングセンターを作り、社員やクルー(店舗で接客する人たち)がキャリアアップできる機会を提供しています。
2. 「QSC&V」の向上を一人ひとりが理解し、実践している
マクドナルドには、レイ・クロックが提唱した「QSC&V」の向上という理念が存在します。
「QSC&V」とは…
・Quality(品質第一)
・Service(良いサービス)
・Cleanliness(衛生的・清潔感)
・Value(価値あふれるもの)
の4つの頭文字を取って造られた言葉です。
QSCを向上させながら、マクドナルド独自の価値(V)を磨き上げていくという意味が込められています。この言葉は、クイックサービスレストランとして、お客様に最高の体験を提供するためのものです。マクドナルドでは、不変の理念として大切に受け継がれています。
3. ドナルド・マクドナルド・ハウス支援
マクドナルドは、働く人だけでなく、世界の困っている人たちに対しても支援を行っています。それが「ドナルド・マクドナルド・ハウス支援」です。
ドナルド・マクドナルド・ハウスは、病気と闘う子どもとその家族が利用できる滞在施設となっています。2022年10月時点では、45の国と地域に380ヵ所設置され、日本にも12ヵ所設置されています。
この施設は、高度小児医療が整備されている病院に隣接して建てられているため、安心して利用することが可能です。また、施設内では、キッチン・ダイニング・リビングなどが共用で利用でき、利用者同士のコミュニケーションも取れるようになっています。
マクドナルドのSDGsへの取り組み
ここでは、マクドナルドのSDGsへの取り組みについてご紹介します。マクドナルドについて理解を深めたい、参考にしたい、という方はぜひチェックしてください。
1. 誰もが働きやすい環境に!
マクドナルドでは、ダイバーシティー&インクルージョンの取り組みを行っていて、働く人の多様性を大切にしています。その証拠に、下記のような人たちが働ける枠を提供しています。
- 学生
- 主婦(夫)
- プレミアムエイジ(シニア)クルー
- 外国人クルー
- チャレンジングクルー(障がい者クルー)
そして、中でも女性のキャリアアップについて、2019年度から2021年度に徐々に改善されてきています。(以下の表参照)
2019年 | 2020年 | 2021年 | |
女性従業員の比率 | 30.1% | 31.9% | 34.4% |
女性役員の比率 | 11.1% | 12.0% | 20.0% |
女性店長の比率 | 27.0% | 28.8% | 30.4% |
全体に対する女性従業員の比率が上がるとともに、キャリアアップしている女性の割合も同時に上がっているのが分かると思います。
また、2021年9月には地域社員制度が導入されました。地域社員制度は、通勤可能な地域の店舗にて業務を行うため、子育てや家庭を持ちながら働く女性にはとても働きやすい制度です。さらに、ライフステージに合わせたキャリア形成も可能になるので、モチベーション高く働くことも可能です。
「実際に地域社員制度で正社員となった女性従業員のインタビューでは、『転勤もなく働く時間帯も店長と相談しながら決められるため、とても働きやすい』と語っています。その方は、店舗サービスの責任者として働いているそうです。(2021年9月時点)」
2. 食品のリサイクル
マクドナルドでは、廃棄される食品を肥料化・飼料化・メタンガス化することで、食品のリサイクルを実現しています。リサイクルは、1ヵ所で行うのではなく複数の自治体のリサイクル施設に分散して行われます。
マクドナルドの食品リサイクル率は、同業他社の中でも高く推移していて、外食産業全体の目標値と比較しても大幅に上回っています。
数値対象 | 食品リサイクル率 |
業界目標(外食産業) | 50.0% |
業界実績平均(2019年度) | 43.0% |
マクドナルド(2021年度) | 60.2% |
ちなみに、同業他社でありハンバーガーチェーン大手のモスバーガーの食品リサイクル率(野菜くずなど)は、3.1%です(2021年度時点)。このことからも、マクドナルドの食品リサイクル率の高さが分かるのではないでしょうか。
中でも、コーヒー豆かすのリサイクルは資源循環に成功しています。マクドナルドでは、コーヒー豆かすのリサイクル堆肥を利用してレタスを栽培。栽培したレタスは、マクドナルドの店舗へ配送され商品として販売されています。
3. ハンバーガー大学でキャリアアップ支援
人材の成長を大切にしているマクドナルドでは、ハンバーガー大学というキャリアアップを支援するトレーニングセンターを独自で設立しています。マクドナルドへ入社した社員は、各店舗で実務を学ぶ「O.J.T(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)」を行ったあとで、ハンバーガー大学のカリキュラムを受講します。
では、どのようなカリキュラムがあるのでしょうか。ハンバーガー大学では、以下のカリキュラムが用意されています。
カリキュラム名 | 内容 |
シフト・リーダーシップ・トランジション(SLT) | 基本的なリーダーシップスキルを学ぶ |
イントロダクション・トゥ・デパートメントマネジメント(IDM) | 役割と責任を担うリーダーシップスキルを学ぶ |
レストラン・オペレーション・リーダーシップ・プラクティスコース(RLP) | リーダーシップ、チームビルディング、総合マネジメントを学ぶ |
上記の他にも、店長やコンサルタント向けのカリキュラムなども受講可能です。このようにマクドナルドでは、キャリアアップを支援を積極的に行い、従業員にやりがいや働きがいを提供しています。
まとめ
ハンバーガーの販売を通した顧客体験を提供するマクドナルド。レイ・クロックの提唱した『ピープルビジネス』という概念は現在でも受け継がれ、従業員に対して働きがい・やりがいのある職場環境を提供し続けています。
この記事では、マクドナルドの特徴やSDGsの取り組みについてご紹介しました。マクドナルドについて理解を深めたい・参考にしたいという人にとって、少しでもお役に立てれば幸いです。