企業や団体におけるサステナビリティの追求として、SDGs達成に向けた事業や取り組みをアピールするケースが増えてきました。
実際にSDGsへの取り組みを行うとなると、どの目標に向けてどのような施策を企画したら良いか悩む担当者の方も多いのではないでしょうか。
そのような時は、サステナブル経営を上手く実施している企業事例を参考にすること。
そこで、今回取り上げる企業は、TDK株式会社です。
TDK株式会社は、サステナビリティサイトアワード2024にて最優秀賞を受賞。
本ページをご参考に、事業におけるサステナビリティ、SDGsに関する活動を進めるヒントにしていただければ幸いです。
TDK株式会社のSDGsへの取り組み
TDKは1935年、“日本独自の磁性材料フェライトを工業化し、社会の発展に貢献したい”という創業者の夢と信念から発祥しました。
これまで世界的な4つのイノベーション(フェライト素材・磁気テープ・積層部品・磁気ヘッド)を確立し、2035年には創立100周年を迎えます。
それを見据え、目指すべき姿を明文化したものが「企業ビジョン(Vision2035)」です。
TDKグループはサステナビリティビジョンに、”テクノロジーですべての人を幸福に”を掲げて、ソリューションの提供により、すべての人々に持続可能な幸福社会を実現させることとしています。
ここでは、SDGsについて、TDKの最近の取り組み事例をピックアップして見ていきましょう。
※取り組み事例の中には、複数の目標にまたがる取り組みもありますが、代表的な目標を掲げて記載しています。
目標3「すべての人に健康と福祉を」への取り組み
目標3「すべての人に健康と福祉を」の ゴール は「あらゆる年齢の全ての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する」です。
TDKでは、高機能化が進むメディカル/ヘルスケア分野においても、蓄積したコアテクノロジーと最先端の技術を駆使した高信頼性の各種電子部品を提供しています。
例えば、感染症抑制のためのソーシャルディスタンスの保持や、接触した相手の追跡について、TDKの子会社であるChirpの高性能超音波3Dセンシングを活用すると、センチメートルの精度で人との距離を測定できます。
ソーシャルディスタンスの最低距離を越えるとアラートを発信し接触時間を測定。同時に接触者との距離と接触時間を、個人のプライバシーを守りながら記録することが可能です。
ユーザーの感染が確認された場合には、接触者を追跡して通知することもでき、的を絞って感染の蔓延を抑制することができます。
従業員がこの超音波ToFセンサを身に着けることで、安全な職場環境の実現に寄与できるのです。
他にも、医療・福祉施設、介護の現場で働きが期待されるロボットの開発についても、TDKが開発するセンサが大きな役割を果たしています。
部屋の広さや周囲にある物、人物の動きなど、外部環境を正確に検知するセンサとコントローラーがロボットの自然な動きを生み出します。
深刻化する人手不足や人件費の高騰に向け業務・サービスロボットはこれからどんどん拡大していくとみられています。私たちの看護がロボットによって行われる日も遠くないのかもしれません。
目標7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」への取り組み
目標7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」の ゴール は「全ての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する」です。
TDKでは、エネルギーの効率的な利用を追求し、産業構造の変革を目指す「エネルギートランスフォーメーション(EX)」に取り組んでいます。
カーボンニュートラル実現を支える手段の一つが「洋上風力発電」です。
TDKでは、風力発電機向けのマグネットの製造に早くから取り組み、2010年ごろから国内外の風力発電機向けに納入してきました。マグネットの性能は風力発電機の発電効率を左右する重要なパーツです。
また、再生可能エネルギーは発電量が不安定だったり、消費量に見合った量の電力を、同時に発電して供給しなければならない「同時同量」という電力供給の原則との相性が良くないというデメリットがあります。
それを解決するために注目されているのが、「電力貯蔵システム(Energy Storage System:ESS)」です。
TDKでは、これまでのリチウムイオン電池の開発技術を活かし、高容量で高い安全性を持つESS用のリチウムイオン電池の開発に取り組んでいます。
バッテリや電源を長寿命化させるシステムを社会へ提供することで、再生可能エネルギーによる持続可能な社会に貢献するのが目的です。
目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」への取り組み
目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」の ゴール は「強靱(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る」です。
リモートワークやオンライン授業などの増加に伴い、高速で安定した通信が求められる時代の社会インフラとして、今でも「5G」が注目を集め少しずつではありますが、認知がされてきました。
この「5G」における“超高速・大容量”とともに、“多数同時接続”や“超低遅延”を実現するために重要な役割を担うのが、多数のアンテナ素子を集積した「マルチアンテナ」です。
TDKでは、長年にわたって蓄積した技術を駆使し、5Gの基地局のマルチアンテナ向けに小型・薄型化を実現した複合デバイスを独自開発。
そのための工法をいちはやく確立して、モバイル通信端末用の高周波フィルタやフロントエンドモジュールなどを製品化して提供しています。
これからの通信インフラとして大きな期待が寄せられる5Gは、企業のDXならびにSXに欠かせない通信形態です。TDKでは、他にもさまざまな製品を開発することで、5G通信をサポートしています。
cokiは、法人のSX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)を支援します
cokiは、法人のサステナビリティをステークホルダーの声で可視化するメディアです。
「社会の公器」を体現する企業を増やし、サステナブル社会を実現することをミッションとし、企業や法人のSX支援をしています。
ステークホルダーの個別インタビューをおこない、サステナビリティの観点から企業価値を高める情報発信をおこなったり、想いを同じくする会員の企業・団体・個人との交流を可能にするビジネスコミュニティをご提供しています。
cokiを通じて、 自社のSXをはじめてみたい方は、ぜひ下記の無料相談フォームより、お申し込みください。
SDGsの目標への取組事例〜cokiの記事より
coki では、サステナビリティについて考え、実際に取り組んでいる様々な団体・企業への取材を行っています。
SDGsの目標に取り組む、他の企業事例をご覧になりたい方は、下記記事も一緒にご一読いただければ幸いです。
ここでは、SDGsの目標9に取り組む、「株式会社ワカ製作所」の事例を少し紹介します。
株式会社ワカ製作所は、人工衛星に搭載可能な同軸コネクタとして国内初のJAXA(宇宙航空研究開発機構)認定を受けた電子部品メーカーです。
同社の製造する「高周波同軸コネクタ」は、5G等の通信機器などの精密機器にも使用されています。そんな最先端の精密部品の製造拠点が、長野県・安曇野市と長野県・麻績村(おみむら)にあります。
「社会が目指す未来に貢献できる企業でありたい」と語る同社代表取締役の若林佳之助さんに、先端テクノロジーの進化と地域社会への貢献を両立させている同社のステークホルダーとの関わり方を伺いながら、日本のモノづくり企業の生き残りの鍵を探っていきたいと思います。