
単なる環境保護の啓蒙に留まらず、地域コミュニティを巻き込んだ資源循環のモデルを提示する。株式会社コンサドーレと札幌市清田区が取り組む、ペットボトルキャップを教育現場へ還元する独自スキームの全容を追った。
ゴミが教育資材へ、異例の「資源循環」が小学校で動き出す
プロスポーツチームの価値は、ピッチ上の勝敗だけで決まるものではない。地域が抱える課題に対し、いかにエンターテインメントの力を借りて解決の糸口を探るか。その真価が今、札幌の地で問われている。
2026年2月19日、札幌市立平岡小学校。ここで、株式会社コンサドーレと札幌市清田区が連携して進める「リサイクル黒板消し」の寄贈式が執り行われる。
一見、小さなニュースに見えるかもしれないが、これはスポーツクラブが自治体と結んだ包括連携協定の、一つの到達点と言えるだろう。
他社には真似できない「手触り感」のあるリサイクル
今回の取り組みの特筆すべき点は、回収から還元までの「手触り感」にある。区内の小学校で児童自らが集めたペットボトルキャップを、再生素材として黒板消しに作り替え、再び学び舎へと戻す。
多くのリサイクル活動が、回収後のプロセスの不透明さゆえに、参加者の実感を伴いにくい。しかし、このプロジェクトは「循環の可視化」に成功している。
子供たちは、自分たちの小さな行動が具体的な形となって教育現場を支える実体験を得ることになるのだ。この「出口まで見せる」という愚直なまでのこだわりこそが、他社の追随を許さない独自性となっている。
元プロ選手が「気候変動アンバサダー」としてピッチに立つ理由
このプロジェクトの背後には、コンサドーレが掲げる「赤黒の輪で、北海道の夢をつなぐ」という揺るぎない哲学が脈打っている。同社は単なる支援者ではなく、地域社会の一員として「気候変動」という巨大な壁に立ち向かう姿勢を鮮明にしている。
象徴的なのは、元プロ選手であり「赤黒スマイルストライカー」の肩書きを持つ横野純貴氏の存在だ。現役時代、ゴールを奪うことでファンを熱狂させてきた彼は今、Jリーグ気候変動アンバサダーとして、環境問題を「自分事」として子供たちに伝える媒介者へと転身した。
「サッカーを通じて、未来を担う子供たちに環境の大切さを伝えていきたい」 彼の言葉には、かつてピッチを駆けた戦士ならではの説得力が宿る。
地方創生の羅針盤、スポーツが変えるサステナビリティの未来
寄贈式に続いて行われるサッカー交流会も、単なるレクリエーションではない。スポーツを通じた身体的実感を伴うことで、環境保全という抽象的な概念を、より身近でポジティブな記憶へと変換する装置として機能している。
この事例から学べるのは、サステナビリティとは一方的な施策ではなく、関係者全員に役割を与える「物語」の構築であるということだ。企業が行政や教育機関と手を取り合い、共通のゴールへ向かう。
そのハブとして機能するプロスポーツクラブの新たな在り方は、地方創生と環境対策を両立させるための、有力な羅針盤となるに違いない。



