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京都の職人技を大阪・堀江へ bestが挑むアップサイクルの形

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京都の職人技を大阪・堀江へ bestが挑むアップサイクルの形
提供:株式会社best

京都の老舗工房で眠っていた反物を風呂敷へと蘇らせる「春包」が話題だ。株式会社bestが運営するwelalaが打ち出したのは、単なる包装の代替ではない。職人の父と経営者の娘、二人の対話が紡ぐ循環の物語である。

 

父の独り言から始まった「春包」プロジェクトの全貌

大阪・堀江の街角。麹カフェと雑貨を展開する「koji zakka & cafe welala」の店頭に、春を先取りしたような鮮やかな色彩が並んでいる。運営する株式会社bestが2026年2月より開始した「春包(はるづつみ)」は、京都の染物職人がかつて手染めした反物を風呂敷としてアップサイクルするギフトラッピング企画だ。

特筆すべきは、その希少性だろう。並ぶ風呂敷はすべて一点ものであり、同じ柄や色合いは二つと存在しない。卒業や入学といった人生の節目が重なる春、贈る側の「唯一無二の想い」を、文字通り一点ものの布で包むという試みだ。

既製品には出せない「一点もの」という絶対的付加価値

この取り組みが既存のサステナブルな取り組みと一線を画すのは、そこに「血の通った文脈」が存在する点にある。多くの企業が環境配慮を掲げてエコバッグや簡易包装を推奨する中、welalaは「使い捨てないこと」の動機付けを、職人の手仕事という情緒的価値に置いた。

機械による大量生産品とは異なり、手染めの反物には特有の揺らぎと深みがある。使用後はランチクロスやスカーフとして日常に溶け込み、贈られた側の記憶に残り続ける。機能としてのラッピングを超え、プロダクトそのものが「贈り主の分身」として機能する仕組みは、他社の追随を許さない独自性といえるだろう。

言葉より色で語る、伝統と現代を繋ぐ父娘の哲学

 

この企画の種は、正月の何気ない帰省の折に撒かれた。代表の鈴木実麻氏に対し、染物職人である父がぽつりと漏らした「春色の風呂敷も、綺麗やと思うよ」という一言である。提案というにはあまりに静かな、職人としての美意識が凝縮された独り言。

鈴木氏は、父が長年守り続けてきた工房の奥で眠る反物たちに、大阪の地で新たな命を吹き込むことを決意した。welalaの根幹にあるのは「麹」という発酵文化だ。時間をかけ、手をかけ、変化を待つ。その発酵の精神は、父から受け継いだ染物の世界とも深く共鳴している。日本の伝統を現代のライフスタイルに「翻訳」して届けるという、同社の揺るぎない哲学がここにある。

伝統を「守る」のではなく「循環させる」経営の教訓

株式会社bestのこの取り組みから学べるのは、埋没した資産の再定義がいかに強力かという点だ。地方の伝統工芸や職人の技術は、往々にして「守るべきもの」という保守的な文脈で語られがちである。しかし、鈴木氏はそれを現代のギフト需要と結びつけ、環境負荷を減らすアップサイクルという形で市場に放った。

経営におけるサステナビリティとは、単なるコストの削減や慈善活動ではない。自らのルーツを掘り起こし、現代の価値観に照らし合わせて「意味を書き換える」ことにある。伝統と革新の隙間を埋めるのは、いつの時代も、大切な人を想う「包む」という純粋な感性なのかもしれない。

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ライター:

サステナブル情報を紹介するWEBメディアcokiの編集部です。主にニュースや解説記事などを担当するチームです。

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