
ファッションの価値を、単なる消費で終わらせない。アパレル大手のオンワードホールディングスが、文化学園大学との連携で見せるアップサイクルへの取り組みは、企業の社会的責任と次世代教育を融合させた独自の循環モデルを提示している。
オンワードが挑む衣料品回収と産学連携アップサイクルの実態
株式会社オンワードホールディングスは2月7日、環境コンセプトショップ「オンワード・リユースパーク 吉祥寺」にて、顧客から回収したTシャツをエコバッグへと再生させるワークショップを開催する。
講師を務めるのは、ファッションと環境の関係性を専門的に学ぶ文化学園大学ファッション社会学科の学生たちだ。本イベントは、同社が推進する衣料品循環システム「オンワード・グリーン・キャンペーン」の一環であり、単なるリサイクル活動を超え、消費者とともに服の寿命を延ばす体験型施策としての側面を強く持っている。
成功の鍵は「リユースパーク」。他社と一線を画す独自店舗の役割
同社の取り組みが他社と一線を画すのは、衣料品回収から販売、そして教育までを垂直統合した拠点の運用形態にある。多くの衣料品回収プログラムが、効率性を重視するあまり裏方の物流として完結しがちな中、同社は吉祥寺の拠点を、リユース品の販売チャネルとしてだけでなく、地域住民や次世代を担う学生との接点として機能させている。
今回のワークショップにおいても、学生が講師という役割を担うことで、企業、大学、消費者の3者が同時にサステナビリティを実践する場を構築した。収益をすべてサステナブル活動に還元する透明性の高さも含め、その独自性は際立っている。
100年企業の生存戦略。ミッションが導く「捨てない」クリエイション
この活動の根底には、同社のミッションステートメントである「ヒトと地球(ホシ)に潤いと彩りを」という哲学が流れている。1927年の創業以来、日本の生活文化を創造してきた同社にとって、服は決して使い捨ての消費財ではない。
ファッションは心を豊かにする一方で環境負荷という課題も抱えているが、回収した1点1点に込められた愛着を、クリエイションの力で次の形へと繋ぎたいという同社の姿勢は一貫している。大量生産・大量消費のパラダイムから脱却し、服というプロダクトを通じていかに豊かな生活文化を持続させるかという問いへの、1つの明確な回答がここにある。
サステナブル経営の要諦。共創から生まれる新たなブランド価値
オンワードの事例は、サステナビリティを義務から価値創造の源泉へと転換させるための多くの示唆に富んでいる。教育機関との連携によって若い世代の感性を取り込みつつ未来の担い手を育成する姿勢や、環境問題をデータで語るだけでなく手触り感のある体験に落とし込む手法は、深い顧客エンゲージメントを生む。
廃棄されるはずの衣料を、クリエイティビティによって再び商品や教材へと昇華させる一連のプロセスは、企業の社会的責任を果たすと同時に、ブランドの信頼性を高める高度な戦略として機能しているのである。



