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クリーマが挑む伝統の再定義 廃棄される和太鼓の革をサステナブルな名品に変える地域共創の形

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クリーマが挑む伝統の再定義 廃棄される和太鼓の革をサステナブルな名品に変える地域共創の形
提供:株式会社クリーマ

伝統工芸の「端材」を、単なるゴミではなく、感性を刺激する「素材」と再定義する。株式会社クリーマが展開する「日本の祭×Creemaアップサイクルプロジェクト」は、クリエイターの創造力を用いて、地域経済とサステナビリティの新たな接点を創出している。

 

「御諏訪太鼓」の廃材をアップサイクル。クリーマが仕掛ける地域共創の第4弾

日本最大のハンドメイドマーケットプレイス「Creema」を運営する株式会社クリーマは、長野県岡谷市で継承される「御諏訪(おすわ)太鼓」の製作過程で生じる廃棄革を活用した、アップサイクル作品の販売を開始した。

今回発表されたのは、クリエイターの公募によって誕生した13点の作品群だ。戦国時代に武田信玄の軍勢を鼓舞したとも伝えられる御諏訪太鼓の力強い響きを支えてきた牛革が、トートバッグやシューズ、ランプシェードといった現代のライフスタイルに溶け込むアイテムへと姿を変えた。これらは本日よりオンラインで限定販売されるほか、2026年1月の「HandMade In Japan Fes’ 冬」でも披露される。

捨てられていた「最高級の和太鼓の革」を、独自価値を持つブランドへと昇華

本取り組みの独自性は、単なる廃材利用に留まらず、素材が持つ「文脈」を商品価値に昇華させている点にある。

和太鼓の革は、打音の質を保つために国産の食用牛から厳選された最上級の部位のみが使用される。しかし、張り替えの際に生じる「巻耳」と呼ばれる端材や、役目を終えた革は、その強靭な耐久性にもかかわらず、これまで多くが廃棄されてきた。

クリーマは、この「最高品質だが使い道のない革」と、多様な表現技法を持つクリエイターをマッチングさせた。例えば、太鼓の縫い目をデザインに活かしたランプシェードや、信州紬と組み合わせたシューズなど、素材の出自をリスペクトした作品作りを徹底している。これは、一般的なリサイクル製品とは一線を画す、ハイエンドな「ストーリー消費」の提案と言える。

クリエイターの力を社会課題へ。クリーマが掲げる「フェアな経済圏」の哲学

 

このプロジェクトの背景には、同社が創業時から掲げる「本当にいいものが埋もれてしまうことのない、フェアで新しい巨大経済圏を確立する」という確固たる哲学がある。

クリーマ代表の丸林耕太郎氏は、かねてより「ものづくりを通じた社会課題の解決」を重視してきた。彼らが目指すのは、一時的なチャリティではない。地域の伝統文化が抱える「廃材処理」という負の側面を、クリエイターの「技術」によって正の経済価値へ転換する仕組みづくりである。

「クリエイターの感性を通すことで、伝統は日常に寄り添う存在に変わる」という考え方が、青森ねぶた祭や秋田竿灯まつりといった過去のプロジェクトから一貫して流れている。

SDGs時代の地域活性化モデル。伝統と革新を繋ぐプラットフォームの使命

クリーマの試みは、企業のサステナビリティ推進において重要な示唆を与えている。

第一に、廃材を資産に変える視点だ。自社や地域にとっての廃棄物が、別の視点(クリエイター)からは代替不可能な希少素材に見えるという事実は、サプライチェーン全体を再点検する動機となる。

第二に、プラットフォームの社会的使命である。単なる場貸しに終始せず、自治体や伝統文化の担い手、そしてクリエイターという三者を、自社の発信力をレバレッジにして結びつけた。この仲介機能こそが、停滞する地域経済を活性化させる触媒となる。

伝統を守るとは、形を維持することだけではない。クリーマが示すように、時代の感性を取り込みながら、その本質を新たな価値として再定義し続けることこそが、真の「持続可能性」を担保するのではないだろうか。

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ライター:

サステナブル情報を紹介するWEBメディアcokiの編集部です。主にニュースや解説記事などを担当するチームです。

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