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【循環型経済】廃棄の「のぼり旗」が高付加価値素材に、ミトメ舎が拓くサステナブルテキスタイル市場

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【循環型経済】廃棄の「のぼり旗」が高付加価値素材に、ミトメ舎が拓くサステナブルテキスタイル市場
提供:株式会社 ミトメ舎

株式会社ミトメ舎は、大量廃棄されるのぼり旗を日本の伝統技法「裂き織り」で高付加価値の布へとアップサイクル。地域福祉と連携し、環境、文化、経済の三価値を同時に創造する独自の循環型モデルを構築した。

 

廃棄物から素材へ―ノボリバタプロジェクトが示す「アップサイクル」の未来

株式会社ミトメ舎は、商業利用を終えて産業廃棄物となるのぼり旗を、高付加価値の布へと再生する「ノボリバタプロジェクト」を推進している。同プロジェクトは、ART & BUSINESS AWARD 2025のファイナリストに選出されるなど、その独自性と事業性が注目を集めている。

プロジェクトの中核となるのは、役目を終えたのぼり旗を「資源」と捉え、日本の伝統技法である裂き織りを用いて新しいテキスタイルへと生まれ変わらせる点にある。この裂き織り工程は地域の障害者施設に依頼されており、福祉的就労の創出にも貢献。廃棄物削減という環境的価値に加え、地域経済と社会包摂を実現する経済的・社会的な価値をも同時に生み出している。

再生された布は、のぼり旗由来の鮮やかな色彩と、裂き織りによる柔軟性と強度を兼ね備える唯一無二の素材となる。バッグや小物といったファッションアイテム、インテリアファブリック、さらにはアート作品の素材として、用途を限定しない幅広い分野での活用が可能であり、環境負荷を低減しながら新しい市場価値を創出するものと期待される。

他社事例との比較、ミトメ舎独自の「高付加価値アップサイクル」戦略

ミトメ舎の「ノボリバタプロジェクト」が、単なるリサイクル事業と一線を画す独自性は、主に三つの柱によって支えられている。

第一に、日本の伝統技法「裂き織り」の活用による文化的価値の創出である。布を細かく裂いて再度織り直すという手間をかけることで、廃棄物であったのぼり旗に芸術性を与え、再生素材ながらも高い付加価値とデザイン性を担保している。

第二に、地域福祉との連携によるソーシャルインパクトを事業モデルの中核に組み込んでいる点だ。織り工程を地域の障害者施設に依頼することで、福祉領域における経済活動の機会を創出し、社会的包摂(ソーシャル・インクルージョン)を実現している。

そして第三に、再生された布を「サステナブル素材カテゴリー」として市場を創出しようとする戦略性である。同社は、この布を多様な業界でのブランディングにつながる素材と捉え、全国展開を通じて、国際市場へと展開する展望を視野に入れている。

パーパス経営の実践、「見とめ、みとめる」哲学が編み出す社会包摂型ビジネス

 

ミトメ舎の取り組みの背景には、「見とめ、みとめる」ことからすべてが始まるという強い信念がある。これは、廃棄物としてのぼり旗の価値を見直すこと、そして働く機会を閉ざされがちな人々の可能性を認めること、この二重の意味を持つ。

同社は「福祉とデザイン」「アートと経済」といった、これまで分断されがちだった領域を「編み直す」役割を自負している。誰もが持つ“できること”を活かし、共に価値を創出する仕組みをデザインすることこそが、持続可能な社会を実現するための鍵であると見ている。

この哲学が、のぼり旗を単なる廃棄物から「環境的価値、文化的価値、経済的価値」の三本柱を持つ資源へと昇華させ、地域経済への貢献と循環型社会への寄与を両立させる事業モデルを成立させている。

ビジネスパーソンが学ぶべき点、サステナビリティを「投資」に変える戦略的視点

ミトメ舎の事例は、現代の企業経営において、いくつかの重要な示唆を与える。

第一に、廃棄物を「資源」として再定義する視点の重要性だ。のぼり旗のような大量に発生し、処理コストがかかる廃棄物の中にも、伝統技法やデザイン性を加えることで、全く新しい市場価値を持つ素材へと転換できる可能性が潜んでいる。

第二に、社会課題解決を事業の中核に据えることで、競争優位性を確立できるという点だ。地域福祉との連携による社会的価値の創出は、企業のブランドイメージを高め、社会変革の担い手としてのポジションを確立する。

そして第三に、全国・国際展開を見据えたスケーラブルなビジネスモデルだ。地域で確立した「小さな仕組み」を水平展開することで、全国規模での循環型社会への貢献と、国際的なサステナブル素材市場への接続を図る。

ミトメ舎のノボリバタプロジェクトは、サステナビリティが「コスト」ではなく、「新たな市場を創造する投資」となり得ることを明確に示した。

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ライター:

サステナブル情報を紹介するWEBメディアcokiの編集部です。主にニュースや解説記事などを担当するチームです。

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