ログイン
ログイン
会員登録
会員登録
お問合せ
お問合せ
MENU

法人のサステナビリティ情報を紹介するWEBメディア coki

食品ロス削減を加速 「おそち」で老舗高級おせちを救う!ロスゼロのサステナブル戦略

サステナブルな取り組み SDGsの取り組み
コラム&ニュース コラム ニュース
リンクをコピー
食品ロス削減を加速 「おそち」で老舗高級おせちを救う!ロスゼロのサステナブル戦略
提供:株式会社ロスゼロ

年末特有の「おせちロス」という構造的な課題に、食品ロス削減に取り組む株式会社ロスゼロが、余剰分を年内ギリギリまで販売する「おそち」で風穴を開けている。製造・販売者の在庫リスクと消費者ニーズを両立させる、同社の独自のサステナブル戦略を検証する。

 

年末の構造的食品ロス解消へ 高級おせちの余剰在庫を「おそち」が販売開始

食品ロス削減をミッションとする株式会社ロスゼロ(大阪市)は、一般の予約販売終了後、余剰が見込まれるおせち料理を「おそち」として販売開始した。本取り組みは今年で5年目を迎える。

おせち料理は、その性質上、構造的なロスが生じやすい。多くの食品会社が11月から12月上旬にかけて予約を締め切るが、実際の発注数と準備数の間に乖離が生じたり、直前のキャンセルや店頭在庫の売れ残りが原因となり、廃棄に繋がるロスが発生する。重箱を構成する品々がそれぞれ早くから準備される上に、一品でも欠けると商品として成立しないため、部品を多めに作る必要があり、需要予測の難しさがその背景にある。さらに、年末の配送混雑を避けるため、早期に注文数を確定せざるを得ない点も需要の読みを困難にしているのが現状だ。

ロスゼロが販売する「おそち」は、こうした構造の中で行き場を失ったおせちを、消費者に手頃な価格で提供する。今年は創業190年超の老舗高級日本料理店が手がけたおせちも登場し、消費者にとっては通常価格より安価に老舗の味を楽しめる機会を提供する。販売開始は12月12日を予定している。

他社と違う「時間軸の転換」 おせちロスを救う独自のWin-Win-Winモデル

ロスゼロの「おそち」は、単なる在庫処分販売やアウトレットとは一線を画す。食品ロス削減の取り組みが、サプライチェーンの「時間軸」に介入し、生産者・消費者・社会の三者に価値を生み出すWin-Win-Winの循環モデルを構築している点に、同社の独自性が見える。

他社の食品ロス削減サービスが商品の状態に焦点を当てるのに対し、「おそち」は、年末配送という時間的制約から生まれる構造的なロス、すなわち販売機会の逸失に焦点を当てた。余剰在庫を販売する「遅延販売」のチャネルを創出することで、製造・販売者側には廃棄費用の回避、精神的負担の軽減、サステナブルな取り組みを通じた企業価値の向上という利益をもたらす。消費者側には、高級おせちを賢く手頃に入手できる経済的価値と、社会貢献に繋がる応援消費の満足感という利益を提供する。そしてロスゼロ自身は、年末というピーク時の社会課題を直接解決し、社会的価値と経済的価値を両立させた持続可能なビジネスモデルを確立する。この仕組みは、需要の「遅延」という新たな販売機会で構造的課題を解決する、戦略的発想に基づいている。

「もったいない」を「経済価値」に昇華 ロスゼロに息づくサステナビリティ哲学

 

ロスゼロの事業の背景には、日本特有の「もったいない」という倫理的感覚を、経済合理性と社会的価値の両輪で「ありがとう」へと昇華させる哲学がある。

同社は、「心を込めて丁寧に準備したにも関わらず行き場を失ってしまう」作り手の想いと、「まだ食べられるものを捨てたくない」という消費者の良心、その双方のギャップを埋めることを使命としている。サブスク型の「ロスゼロ不定期便」や、未利用食材をアップサイクルするブランド「Re:You」の展開、さらには購入によるCO₂削減量の可視化など、食品ロス問題を行動変容に繋げるための具体的な施策を重ねてきた。この「おそち」の取り組みは、サーキュラーエコノミー(循環型経済)の実現を目指す社会貢献型スタートアップとしての同社の姿勢を象徴している。廃棄を前提とするリニアな経済システムから脱却し、商品に新たな役割と価値を与えることで、持続可能な未来づくりに貢献するという強い意志が、企業活動全体を貫いている。

構造的課題を打破する「応援消費」と「サプライチェーン再定義」戦略

株式会社ロスゼロの「おそち」の成功事例は、現代のビジネスパーソン、特に経営層に対し、構造的な社会課題を解決するための重要な視点を提示する。

第一に、「時間軸の柔軟化」の重要性である。物流と製造の都合により固定化されていた「早期注文・早期確定」という時間軸を、「少し遅れても年内に届く」という柔軟な概念に広げたことが、廃棄予定だった商品を価値あるものに変えた。業界の常識とされている時間的制約を再定義することが、新たな市場機会を生むという教訓となる。

第二に、「倫理的価値の最大化」を通じたエンゲージメント戦略である。同社は単に価格の優位性だけでなく、「食品ロス削減に貢献できる」「作り手を応援できる」という倫理的価値を強調することで、消費者に「賢く、楽しく」社会貢献できる購買体験を提供している。これは、サステナビリティに関心の高い消費者層に対し、企業の倫理性を高く評価してもらうための、効果的なブランディング戦略である。

食品ロス削減は、単なる需要予測や効率化の課題ではない。ロスゼロは、既存のサプライチェーンに新たな価値観を組み込み、「もったいない」を経済的な利益と社会的意義を両立させる持続可能なモデルへと転換させた。この視点は、他の業界が抱える構造的な在庫・ロス問題にも応用できる、示唆に富んだ成功事例として、注目に値する。

Tags

ライター:

サステナブル情報を紹介するWEBメディアcokiの編集部です。主にニュースや解説記事などを担当するチームです。

関連記事

タグ

To Top