曲げわっぱが“次の当たり前”に CAMPFIREでプロジェクト始動

使い捨てプラスチック削減の新たな一手として、「マイ容器」文化を広げる動きが始まった。株式会社エコグラフィック(東京都渋谷区、代表取締役・黒須奈美子)は、秋田県大館市の伝統工芸「曲げわっぱ」を現代の暮らしに合うテイクアウト容器へと再構築し、クラウドファンディングサイト「CAMPFIRE」で2025年10月31日より支援を募る。
同社が掲げるのは「マイ容器でテイクアウトを楽しむ社会」の実現だ。集まった資金は、マイ容器に対応した飲食店を紹介する情報サイト「Take aBox」の開発・改善に充てられる。容器と利用環境の両輪で仕組みを整え、「持ち歩きたくなる器」と「使える場所」を同時に広げる狙いがある。
プラスチック削減の新局面 “日常の中でできる行動”へ
国連環境計画の報告書(2018年)によると、日本は一人あたりのプラスチックごみ排出量で世界第2位だった。その後、マイバッグやマイボトルの普及によって削減傾向が進みつつあるが、テイクアウト文化の拡大で使い捨て容器の問題は依然として深刻だ。
エコグラフィックでは、秋から年末にかけて増える食事の機会を「環境行動を楽しむ季節」と捉え、毎日の食卓から地球にやさしい行動を実践できる選択肢を提案する。食を通じてできる小さな行動が、社会全体の変化につながるというメッセージを込めた。
なぜ「曲げわっぱ」なのか 伝統技を日常に
秋田・大館の曲げわっぱは、杉の柾目を薄く削り、桜皮で綴じることで生まれる伝統工芸品である。自然素材ならではの温もりと調湿性を備え、食材の風味を損なわない。
今回のプロジェクトでは、この曲げわっぱをテイクアウト仕様にリデザインした。ウレタン塗装による防水加工、持ちやすい上がり底、斜め仕切りなどを施し、使い勝手と美しさを両立させている。大容量サイズも用意され、家庭でも職場でも使いやすい。
エコグラフィックは、曲げわっぱ職人の手仕事を尊重しながら、伝統と現代デザインを融合させることで、使う人が「誇りを持てるマイ容器」を目指したという。
支援金の行方 “マイ容器”社会の基盤づくりへ
集まった支援金は、マイ容器対応店舗を検索・紹介できるサイト「Take aBox」の改修費に充てられる。同サイトは、容器を持つ人と受け入れる店舗を結ぶプラットフォームとして構築される予定だ。「使いたくなる容器」と「使える場所」を同時に広げることで、マイ容器文化を社会に定着させる仕組みを目指している。
背景にある“母としての想い”

プロジェクトの発案者である黒須奈美子代表は、現在妊娠中だ。妊活を通じて「未来を生きる子どもたちに美しい地球を残したい」という強い思いが芽生えたという。
長年、広告代理店でトレンドづくりに携わってきた経験を活かし、「環境にいいことを、楽しみながら行動できる仕組みをつくりたい」と語る。彼女の発想は、“我慢”ではなく“楽しさ”を軸にしたサステナブルな行動提案に貫かれている。
プロジェクト概要
大館「曲げわっぱ」テイクアウトで使い捨てプラスチックを削減することを目的に、クラウドファンディングサイト「CAMPFIRE」で2025年10月31日から12月12日まで支援を募る。プロジェクトページでは、製作の背景や職人の思いも紹介されている。
株式会社エコグラフィックは、「これから生まれてくる子供たちが、地球に生まれてよかったと思える未来をつくる」をミッションに掲げ、環境課題をわかりやすく伝え、持続可能なライフスタイルを提案している。今回の挑戦は、その理念を具体化する第一歩となる。

  

            
                
                
                
                
                
                
                
                
                
                