
認定NPO法人ジャパンハートが、カンボジアに200床規模の小児医療センターを開院するため、クラウドファンディングを2月20日から開始する。目標額は5,000万円。為替変動による建設費の増加も影響し、開院に向けた資金調達が急務となっている。小児がんを含む高度医療を提供し、アジアの子どもたちの命を救う病院の建設を支援するプロジェクトが本格化する。
命の格差を埋めるためにジャパンハートが新病院建設へ挑戦
日本発の国際医療NGO「認定NPO法人ジャパンハート」(東京都台東区、理事長:吉岡春菜)が、カンボジアの首都プノンペン近郊に新たな小児医療センターを建設するプロジェクトを進めている。病院の開院予定は2025年10月で、総費用は10億円を超える。
このプロジェクトのために、同団体はクラウドファンディングを2月20日から4月25日まで実施し、5,000万円の支援を募る。クラウドファンディングサービス「READYFOR」を通じて行われ、集まった資金は医療機器の購入や、為替変動による建設費の増加に充てられる。
現地の医療環境と新病院の意義
カンボジアは過去のポルポト政権下で医師や知識人が大量に殺害された歴史があり、現在も医療水準が低い国の一つだ。都市部では富裕層が海外で治療を受ける一方、貧困層の多くは病院に行くことすらできず、子どもたちは病名すら知らないまま命を落としている。
このような状況の中、新たに建設される「ジャパンハートアジア小児医療センター」は、200床規模の高度小児医療センターとして、東南アジアでも希少な高水準の医療設備を導入し、現地の医療人材育成にも貢献することを目指している。特に小児がんなどの高度医療が必要な疾患の治療を無償で提供する計画だ。
クラウドファンディングの背景と資金用途
このプロジェクトの総費用は10億円を超え、すでに国内外から約6億円の支援が寄せられている。しかし、円安の進行(2023年1月時点で1ドル=130円台→2025年2月時点で1ドル=150円台)により、必要資金は当初の想定を大きく上回る見込みとなった。
目標額の5,000万円は、医療機器・資材の購入、為替変動による建設費の増加分、入院患者と家族のための環境設備の充実に充てられる。
特別オンラインイベント開催
クラウドファンディングの開始にあわせ、2月20日19時30分からYouTubeで特別オンラインイベントを開催する。
タイトル:【大型クラファン始動】アジア小児医療センター建設現場から中継|病名すら知らないまま、死にゆく命を救う。
日時: 2025年2月20日(木)19:30~20:30
視聴方法: YouTubeライブ配信(無料)
イベントでは、現行病院「ジャパンハートこども医療センター」の紹介や小児がん患者からのメッセージ、新病院の内部設計や建設進捗の初公開、建設現場のライブ中継が行われる予定だ。
「支援者と共につくる病院」
新病院の建設地は、2026年に開設予定の国際空港に近いカンボジア・タクマウ市に位置する。現在、病院の3階までの工事が進んでおり、完成すればより多くの貧困層の子どもたちに高度な医療を提供できる。
しかし、クラウドファンディングの目標額を達成できなかった場合、医療機器のスペックダウンや、入院患者と家族向けの設備縮小を余儀なくされる可能性がある。
支援を通じて「病名すら知らないまま命を落とす」現実を変え、すべての子どもに平等な医療を届けるため、クラウドファンディングへの参加が呼びかけられている。
プロジェクト特設サイト:https://japanheart-hospital.org/