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法人のサステナビリティ情報を紹介するWEBメディア coki

コングラント株式会社

https://congrant.com/jp/

大阪府大阪市西区江戸堀1-22-17 江戸堀イーストビル6F

寄付はもっと企業の中から広げていい  寄付文化の再設計者コングラントのGOJOが描く、企業価値向上につながる「従業員寄付」の新常識

サステナブルな取り組み ステークホルダー資本主義 公益資本主義
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コングラント GOJOのリリース 佐藤社長と高橋COO
提供:コングラント

日本の寄付率はわずか12%(チャリティズエイド財団(CAF)の『World Giving Index 2021』調べ)。制度も文化も整っていないこの国で、どうすれば寄付が“社会のあたりまえ”になるのか。1タップ100円から始められ、企業向けには従業員寄付や社会貢献活動の可視化機能を備えた「GOJO」を展開するコングラント。

代表・佐藤正隆氏と高橋敦彦氏に、新しい寄付インフラ構築への構想、企業での活用、そして10年後の社会像を聞いた。

 

寄付って、もっとしたいのに面倒だった

――GOJOの開発は、どんな問題意識から始まったのでしょうか。

コングラント 佐藤社長
佐藤さん(提供:コングラント)

佐藤:実は最初、企業の社会貢献をどう支援するかという発想よりも、純粋に“寄付者としての不便さ”がスタートでした。僕自身、複数の団体に寄付していたのですが、それぞれのホームページに行って、名前を入れて、クレジットカード情報を打ち込んで……と面倒が多すぎて、続かない。もっと寄付したいのに、仕組みがハードルになっている。まずはそこを何とかしたいというのが出発点でした。

高橋:寄付は“したい”と思った瞬間にできないとダメなんです。でも今の仕組みだと、ほとんどの人がその瞬間に離脱してしまう。GOJOではその障壁を極限まで削ぎ落としたかったんです。

社員が寄付しても、企業は何も知らない

――GOJOでは、法人向けにも大きな展開をされていますね。

コングラント 高橋さん
高橋さん(提供:コングラント)

高橋:今、多くの上場企業が「人的資本経営」を掲げています。でもその取り組みの中身を見ると、現状把握に終始しているケースが多い。たとえば“エンゲージメントスコア”を測ることはしても、それをどう高めるか、社員の成長にどうつなげるかまで踏み込めていないんです。

佐藤:GOJOの企業版では、従業員一人ひとりの社会貢献行動――つまり寄付やボランティア参加を「見える化」できます。これによって、企業は“社員が社会とどうつながっているか”を把握できる。しかも名前などの個人情報は伏せた形で、部署単位などの参加状況をデータとして管理できます。

高橋:寄付は「強制される」ものではありません。だからこそ、会社が“寄付していいんだよ”“その行動を会社としても支援するよ”という環境をつくると、社員は自分の価値観に合った形で参加できます。それが会社に対する信頼感、ロイヤリティなどのエンゲージメントにつながり、結果として、企業の持続的成長にも寄与すると考えています。

社会貢献が“当たり前”な企業文化へ

GOJOの使用イメージ画像
GOJOの使用イメージ画像

――GOJOを導入することで、企業にはどんな変化が起こるとお考えですか?

佐藤:企業の中で、社会貢献活動を“やる人”と“やらない人”に分けてしまってはいけない。GOJOのように仕組みを整えれば、“誰でもできる”“自分らしくできる”社会貢献が実現できます。社員の「寄付先」や「行動履歴」は匿名で記録されますが、部署単位で“何人が参加しているか”を把握できる。これがきっかけで、「自分の部署も動いてるんだな」という安心感が生まれる。そうすると、心理的ハードルが一気に下がるんです。

高橋:企業文化の中に“社会貢献があるのが自然”という空気が生まれると、組織は変わります。それはインパクトとして、社員の思考にも日々の業務にも影響する。私たちが目指しているのは、そうした「企業文化の進化」なんです。

 

寄付文化を「制度」と「仕組み」で支える未来へ

――GOJOの構想は、今後どう進化していくのでしょうか。

佐藤:10年後、寄付を「面倒だ」と感じる人がいなくなる状態をつくりたい。そのためには、AIがユーザーの関心や行動から最適な寄付先を提案するような仕組みも含め、寄付が生活の中に自然に入り込むような世界をつくっていきたいと思っています。

高橋:また、寄付による税優遇制度の利用も今は複雑で手間がかかりますが、将来的にはGOJO上でスムーズに完結できるようにしたい。寄付先も安心して選べるよう、一定の審査基準や透明性も整えていきます。

実際、日本の税制優遇制度は世界的に見ても整備が遅れている。たとえばアメリカでは150万以上の団体が控除対象となっているのに対し、日本で控除対象となる認定NPO法人はわずか1,288件(2025年06月03日現在内閣府ホームページより)にとどまる。

GOJOでは、寄付時にその団体が税制優遇の対象かどうかが一目でわかるようになっており、今後は確定申告用のデータ生成機能など、利便性の高い仕組みを導入予定だ。

寄付が社員を育て、企業を変える

GOJOの企業ログイン画面
GOJOの企業ログイン画面

寄付行為は、単なる善意ではない。社員が社会と接点を持ち、行動に移すことで得られる内省や学びは、人材の成長を促し、それが本業の創造性や共感力に波及する。GOJOを通じた寄付やボランティアの履歴は、非財務KPIとして数値化される。つまり、人的資本の“質的変化”として上場企業は、統合報告書などのサステナビリティの任意開示データブックでも活用可能と見ることができる。

おそらく、2026年度の報告書などから記載する企業がでてくることが予測される。社会貢献活動の結果を定点観測し、企業の価値向上の文脈に組み込む――そこにこの仕組みの真価がある。

匿名性と安心の設計で、参加のハードルを下げる

なお、GOJOでは個人の寄付先や金額が特定されることはない。可視化されるのは、部署単位などの「参加傾向」までであり、社員の多様な価値観や信条が尊重されるよう配慮されている。寄付というセンシティブな行為を安心して行える設計が、継続的な参加につながっていく。

諦めないでほしい。従業員の参加は、必ず広がる

――企業担当者へのメッセージがあればお願いします。

佐藤:社会貢献文化は、今から始めれば3年後に育っていきます。だからこそ、いま目標を持ちましょう。寄付も、ボランティアも、従業員の行動は企業文化そのものになります。GOJOはその“仕組みづくり”をサポートする存在です。

高橋:多くの担当者が「うちの会社は社会貢献活動に社員が関わらない」と諦めてしまっています。でも、参加の機会や設計がなければ、参加できるはずがないんです。GOJOはその入口を開くツールであり、文化を醸成する起点になれます。

 

寄付は、社会との接点であり、企業の未来をつくる力だ

GOJOが目指すのは、「寄付者ファースト」の世界。煩雑さを排し、寄付をしたくなる環境をつくること。企業の中で、社会貢献が当たり前になる仕組みをつくること。それは単なる慈善活動ではなく、企業が“人”を育て、社会とのつながりを築く未来志向の投資でもある。

「寄付の可視化は、人の可視化であり、企業の信頼資本そのもの」──GOJOが日本の寄付文化と企業経営に与えるインパクトは、まだ始まったばかりだ。

日本の寄付文化は「無い」のではなく「整っていない」

困窮者支援や環境保護、災害救援、文化振興など、寄付は社会のさまざまな課題解決を支える重要な仕組みだ。しかし、日本ではその寄付文化が欧米諸国に比べて根づいているとは言い難い。たとえば、チャリティズエイド財団(CAF)の『World Giving Index 2021』によれば、「過去1カ月に慈善団体へ寄付をした」と答えた日本人はわずか12%。これは調査対象114カ国中107位という極めて低い水準だ。

また、GDP比で見た個人寄付額は約0.14%と、米国の10分の1以下。記事にも書いたが、税制面でも、アメリカでは150万団体以上が税制優遇の対象であるのに対し、日本では約1300程度にとどまっている。加えて、『寄付白書2021』の調査では、日本人の約77%が「寄付金がきちんと使われているのか不安」と回答。不信感が寄付行動を妨げる要因となっている。

それでも、社会貢献への意欲自体は決して低くない。内閣府の調査では63.4%が「社会のために役立ちたい」と回答しており、寄付文化が広がる素地は確かにある。必要なのは「意欲」と「行動」を結びつける仕組みだ。GOJOの今後に期待したい。

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ライター:

株式会社Sacco 代表取締役。一般社団法人100年経営研究機構参与。一般社団法人SHOEHORN理事。株式会社東洋経済新報社ビジネスプロモーション局兼務。週刊誌・月刊誌のライターを経て2015年Saccoを起業。 連載:日経MJ・日本経済新聞電子版『老舗リブランディング』、週刊エコノミスト 『SDGs最前線』、日本経済新聞電子版『長寿企業の研究』

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