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【ESG経営】マウントレーニアの「リサイクルキャップ」が実現するCO2・プラ削減効果 森永乳業のサステナブル戦略

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【ESG経営】マウントレーニアの「リサイクルキャップ」が実現するCO2・プラ削減効果:森永乳業のサステナブル戦略
提供:森永乳業株式会社

年間190tのバージンプラスチック削減へ。森永乳業が看板商品「マウントレーニア」のオーバーキャップに、家庭用商品として初めて消費者使用済みのリサイクルプラスチックを導入した。

森永乳業がマウントレーニアで実現する、年間190tのバージンプラスチック削減効果

森永乳業は2025年12月10日、チルドカップコーヒーの主力ブランド「マウントレーニア」シリーズの茶色オーバーキャップ(上フタ)について、バージンプラスチックからリサイクルプラスチックを含有した素材への切り替えを順次進めると発表した。これは同社家庭用商品において、消費者が一度使用したプラスチックを原材料として再利用する、ポストコンシューマーリサイクル(PCR)の取り組みとしては初となる。

この素材変更により、年間で約190トンのバージンプラスチック削減と、約120トンのCO2排出量削減が見込まれるという(2024年度年間販売実績に基づく)。同社はサステナビリティ中長期計画2030において「資源と環境」を重要課題(マテリアリティ)に位置づけており、本施策は石油由来バージンプラスチックの削減というKPI達成に向けた具体的な一歩として注目される。

「消費者使用済み」素材を採用:主力ブランドで挑むリサイクルループ構築の独自性

今回の取り組みの最大の特徴は、単なる素材変更ではなく、PCR材を使用し、それを国内のチルドカップコーヒー市場で圧倒的な存在感を誇る「マウントレーニア」に適用した点にある。多くの企業が環境配慮型素材の導入を進めるなかで、品質の安定性やコスト面で課題の多いPCR材を、年間膨大な流通量を誇る旗艦ブランドのパッケージに採用する決断は独自性が高い。

これは、同社が環境ポリシーに掲げる「限りある資源の有効活用のため、3R(削減、再使用、再生利用)を推進する」という理念を、極めて実効性の高い形で具現化したものと言える。消費者が日常的に購入する商品を通じて、リサイクルのプロセスに間接的に関与する機会を提供し、環境負荷低減に対する企業の強い意志を消費者へ直接伝える試みである。トップブランドのパッケージを変えるという行為は、市場全体への影響力も大きく、リサイクル材利用の普及を促す牽引役としての役割が期待される。

「笑顔のために」:環境投資をブランド価値に変える森永乳業のサステナビリティ哲学

森永乳業グループの全ての活動は、コーポレートスローガンである「かがやく“笑顔”のために」という哲学に基づいている。サステナビリティ経営を「食とウェルビーイング」「資源と環境」「人と社会」の三つのテーマで推進する背景には、環境問題への対応をコストではなく、未来への投資と捉える経営視点がある。

プラスチック削減やCO2排出量低減は、企業の存続とブランド価値向上に直結する現代の必須要件だ。同社は、「マウントレーニア」という強いブランド力を持つ商品にエシカルな価値を付加することで、環境意識の高い消費者層からの信頼を一層高め、単なる機能的価値を超えた「サステナブルなブランド価値」を創造しようとしている。これは、環境配慮が企業の社会的責任(CSR)から、企業価値を高める経営戦略(ESG)へと昇華していることを明確に示している。

大ヒット商品で実現するESG戦略:この事例から企業が学ぶべき共創と実行力

森永乳業の「マウントレーニア」におけるリサイクルキャップ導入事例は、サステナビリティ推進のモデルケースとして、多くの企業が学ぶべき教訓を含んでいる。

一つ目は「リスクを恐れぬ実行力」である。品質やコストへの影響を考慮し、通常は主力商品での素材変更を避ける傾向があるなか、同社は最も消費者に影響力の大きい商品でPCR材への切り替えを実行した。これにより、環境へのコミットメントを明確にし、社内外に大きなインパクトを与えた。

二つ目は「消費者との共創によるリサイクルループの実現」である。PCR材の利用は、消費者の分別の協力があって初めて成り立つ。この取り組みは、消費者が「マウントレーニア」を購入し、適切に廃棄する行為を通じて、間接的に資源循環に貢献しているという実感を共有させる。サステナビリティを成功させるためには、サプライチェーン全体、そして消費者をも巻き込む「エコシステムの構築」が不可欠であることを示唆している。

同社は今後も環境配慮型の容器包装の使用を促進するとしており、その動向は、日本の食品・消費財業界におけるサステナブルな経営戦略の新たな基準となるだろう。

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ライター:

サステナブル情報を紹介するWEBメディアcokiの編集部です。主にニュースや解説記事などを担当するチームです。

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