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GPIF、全資産でESG投資を拡大 世界は逆風の中でも日本は持続可能性へ前進

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GPIF 世界の逆風のなかでサステナビリティを貫く

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は28日、全資産を対象にサステナビリティ投資を推進する方針を明らかにした。新理事長に就任したばかりの内田和人氏が都内のカンファレンスで講演し、「これまで行ってきたESG(環境・社会・企業統治)投資活動を進化させ、新たに全資産に対してサステナビリティ投資を推進する」と強調した。

ESG投資に逆風が吹く世界的な潮流の中でも積極姿勢を崩さない構えが示された。

 

インパクト投資への期待と課題

内田理事長は社会課題の解決と収益性の両立を図る「インパクト投資」について、今年度に調査・研究を進める方針を示した。約260兆円を運用する世界最大級の年金基金であるGPIFは、3月末に公表したサステナビリティー投資方針の中で、長期的な収益確保の観点からESG投資やインパクト投資を推進する姿勢を明確化している。

内田氏は「資本市場の持続的成長が長期的な投資リターンを確保する上で必要不可欠」とし、ESG投資の評価手法や評価機関の透明性向上を課題として挙げた。指数会社に対しては「ESG評価の品質強化に向けて情報開示を積極的に進めていただきたい」と求めた。

 

トランプ政権下で強まる逆風と欧州の潮流

一方で、世界的にはESG投資を巡る逆風が強まっている。Bloombergによれば、米国ではトランプ大統領が反ESG色を鮮明にしており、欧州では規制強化や投資資金の流出などを背景にESGファンドの閉鎖が相次いでいる。モーニングスターの分析によると、今年1~3月(第1四半期)に世界のESGファンドから約86億ドル(約1兆2000億円)が流出し、過去最高水準となった。

SNSでの反応と懐疑的な声、ポジティブな声

こうした世界的な潮流の中で、GPIFが全資産でのサステナビリティー投資拡大を打ち出したことに対し、SNS上ではさまざまな反応が広がっている。

一部では「欧米の動きが後退傾向にあるのに日本だけが突き進むのはリスクが高いのではないか」という懐疑的な声がある。一方で「長期的に地球環境や社会課題の解決を見据えた投資はむしろ賢明な判断」と評価するポジティブな意見も少なくない。

 

日本が突き進むサステナブル投資のリスクとチャンス

内田理事長が進めるサステナブル投資は、世界の動向や政治的な影響を受けやすい性質を持つ。一方で、国内外の環境規制や社会的課題の高まりに対応する意味でも、長期的視点を重視する日本のアプローチは一定の説得力を持つと見る専門家もいる。

リスクとしては、反ESG姿勢を掲げる国々との取引や国際協調が難しくなる可能性、評価指標が乱立する中で投資先の見極めが複雑化する点などが指摘される。加えて、欧米の資金流出が続く中で不確実性が高まることも懸念材料だ。

チャンスとしては、次世代エネルギーや脱炭素、循環型経済など新市場の創出が期待できるほか、企業のバリュエーション(企業価値)の根拠がESG基準により高まりやすいとの見方もある。世界の持続可能な成長を前提とした投資戦略が奏功すれば、長期的なリターンの安定を図る上で国内外の投資家の信頼を獲得できる可能性がある。

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寒天 かんたろう

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ライター歴26年。月刊誌記者を経て独立。企業経営者取材や大学、高校、通信教育分野などの取材経験が豊富。

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