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法人のサステナビリティ情報を紹介するWEBメディア coki

高砂電気工業株式会社

https://takasago-elec.co.jp/

愛知県名古屋市緑区鳴海町杜若66番地

052-891-2301

調味料プリンターで「宇宙空間の食体験を切り拓く」株式会社ルナロボティクスの挑戦(伴走してくれる心強い仲間です!)

ステークホルダーVOICE 取引先
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岡田拓治さん

「月面で1,000人が暮らす」2040年代の“月産月消”時代を視野に、宇宙空間や月面で地球上のあらゆる料理を再現できるプロダクトの開発に励んでいる株式会社ルナロボティクス。

同社開発の「調味料プリンター”colony(コロニー)”」は「1,536パターンのTKG(卵かけご飯)の味付けをブレンドできる」として話題を呼び、地球と宇宙の食の課題解決を目指す共創プログラムSPACE FOODSPHERE(スペース・フードスフィア)を主導するJAXAから白羽の矢が立ちました。

そんな同社に伴走する心強い「仲間」が、流体制御のエキスパートであり、JAXAへの納入実績を誇る高砂電気工業株式会社。

「高砂電気工業さんのおかげで実現へのスピード感が段違いにアップした」と手応えを述べる同社代表取締役CEO岡田拓治さんに、両社の協働と今後の展望について伺いました。

2040年「月面1000人生活」時代ルナロボティクス社が手がける新ジャンルキッチン家電「調味料プリンター」とは

御社の事業内容について伺います。

岡田

料理の自在な味変を叶える調味料プリンター「colony」をメイン商材に、月面や火星などの極地における食体験の拡張も視野に入れた新型調味料プリンターの開発・製造事業、飲食事業、レシピ開発や市場調査などのコンサル事業の3本柱で事業展開しています。

新型調味料プリンターの開発・製造関連では、一般社団法人SPACE FOODSPHERE(スペース・フードスフィア)に参画。

スペース・フードスフィアでは、2040年代には月面で1,000人が生活、2050年代には火星で1,000人が生活しているという予測のもと、多ジャンルのプロフェッショナルが知見や技術を持ち寄り、地球と宇宙の課題を解決するべく協働しているコンソーシアムです。

月面に1,000人が住むということになれば、地球からの物資輸送だけでは月面の人口の食事をまかないきれなくなります。

そこで、食糧を“月産月消”することになるのですが、現状、月産の目途がたっている食物はわずか8種類。1日3食、半年間、8種類の食材でのレパートリーの少ない食事を毎日食べていては、飽きますよね。

極地環境という極限状態の環境下で、せめてもの楽しみが食なのですから、バリエーションが欲しい。

そんな課題感から、スペース・フードスフィアの中に宇宙発酵部が立ち上がりました。

例えば、大豆が納豆や味噌、大豆ミートに、米が酒や焼酎に化けるように、食物を加工、発酵、そして味変の掛け算によって食体験の選択肢を増やせる可能性が生まれます。

月産できる品目が限られていても、加工、発酵、味変によって月面での食体験を拡張することができるのです。その「味変」を担うテクノロジーが、調味料プリンターです。

岡田さんが調味料プリンターを開発されるに至ったきっかけはなんだったのでしょう。

岡田

元々地元・大阪で料理人をしていて、21歳のときに300万円貯めてお店を出しました。

ところが、2軒目を出店したタイミングで体調を崩してしまい、流行っていたお店を両方とも売却。その後、食べ歩きしながら海外を回り、沖縄で食と宿泊を提供するシェアハウスのようなことをしていました。

それから、「お金のかからない暮らしの実験」をしてみたり、アナログな様々なことをいろいろ試してみたのですが、「これからはITやプログラミングが必要な時代だ」と考えて苦手なIT界隈に関わるようになりました。

業界のいろいろな方と話をする中で、自分自身「やっぱり食に関わることがしたい」という想いが強くなったことと「料理人目線でのキッチンデバイスがほとんどない」と感じたことが、調味料プリンターを開発するきっかけに。

岡田さん自身の料理人目線で誕生したデバイス、それが「調味料プリンター」なのですね。

岡田

自分の原点はやはり「食」だったんです。

調味料プリンターは将来、スマホの専用アプリから好きなレシピを選ぶだけで、選んだ料理の味付けを機械の中でブレンドして用意できるキッチン家電という位置付け。

例えばTKG(卵かけごはん)だと、1,536パターンの味付けをブレンドできます。最初は、海外を回っているときのご縁の延長線で繋がった学生さんと一緒にプロトタイプを作りました。

その後TKGの味付け20パターンを実食できる機会を設け、投資家、アクセラレーター、料理研究家、学生など、様々な方々を年齢・性別・職業問わずお招きし、体験してもらいました。

食に厳しい方々ばかりで、辛口の方もお呼びしたのですが、好評を頂き、話題に。

その集まりがきっかけで後日、200~300人規模のイベントに登壇することになり、さらにフードテック業界最大規模のSmart Kitchen Summit(スマートキッチン・サミット)の日本版に登壇する話へと発展。

そのイベントでJAXAの方から”Space Food X”(後のスペース・フードスフィア)への参画をお声がけ頂きました。

「月面での食体験拡張に調味料プリンターを活用する」ということがリアリティを帯びたのがそのときですが、元々月面進出も視野に入れていたので社名も「月」を意味する「ルナ」を含んだ「ルナロボティクス」にしていました。

ここから「宇宙」という分野に深く入っていき、スペース・フードスフィアを通じて高砂電気工業株式会社(以下「高砂電気工業」)さんとも協業するようになりました。

「食は人生そのもの」「五感を感動させる」C E O岡田さんが「調味料プリンター」で描く未来像

調味料プリンター(colony)
調味料プリンター(colony)

岡田さんは「調味料プリンター」でどんな未来像を描いているのでしょう。

岡田

「食」って、単に命をつなぐための栄養補給だけでなく、文化、教育、ダイエットやボディメイク、医食同源や嗜好品、コミュニケーションなど、ありとあらゆる側面をもつ、いわば“人生そのもの”だと思っています。

ですがこれまでの食業界は、メロンの味がしないメロンソーダや、有名店の名前が付いた似ても似つかないカップ麺など変な方向へベクトルが向いていた様に感じていました。

僕はやっぱり「美味しい」が好きなので「サスティナブルで健康に良くてちゃんと美味しい」、「こんなに美味しいものが世の中にまだ隠れていたのか!」といった感動を共有したいです。

例えば朝食のTKGの醤油が5年間毎日違うバリエーションで味わえるなら「今日はどんな味を試そう?」と、毎朝ワクワクした気持ちで目覚められるかもしれません。

味をデータ化するので、外国に居ながらちゃんとした和食の味を再現したり、奥さんに先立たれたおじいさんが、亡くなった奥さんの手料理の味を味わえたりといったことも可能になります。

月面でミッション達成に励むお父さんに、地球にいる娘が作った肉じゃがの味を届けることだってできるのです。

また、toBの視点で言うと、飲食店の人材不足が今後一層深刻さを増すでしょう。日本に来たばかりの留学生を即戦力として雇用したいのに、教育や言語の壁が立ちはだかる。

そんなとき、調味料プリンター「colony」を導入すれば、働く人の母国語で注文が入り、ボタンひとつでブレンドされた調味料が出て来て、あとはカット食材と一緒に炒めるだけ。

あるいは、BBQのようなスタイルで、お客さん自身が味付けを選んで、用意された食材にかけて食べる、調理して食べるといった飲食店の未来を創りたいです。

弊社では「美味しい」を起点に、サステナビリティや医食同源にも関われるようなプロダクトづくりを目指しています。

月面を視野に入れた研究開発である一方で、地上でも「美味しい」を身近にしたり、飲食店の人手不足を解消したり、発信やコミュニケーションの幅を広げたりと、さまざまな可能性を秘めているのです。

インターネットは情報通信で世界を大きく変えました。ただ、五感をコミュニケートできるものではない。

人の五感を感動させ得る唯一の職業は料理人だと思っています。「調味」という五感に関わる食のデータを転送できれば、更に革新的な幸福を実現できるのではないでしょうか。

「高砂電気工業さんは仲間です」協業で段違いのスピード感。互いの強みの発揮で「鬼に金棒」

さまざまな出会いが重なって、「スペース・フードスフィア」への参画と繋がっていかれたんですね。

岡田

スペース・フードスフィアで互いに最先端の知見や技術を持ち寄って協業できていることは強みで、参画できて嬉しいです。

高砂電気工業の前川さんには、調味料プリンター分科会の中でもアドバイスを頂いています。

既存の調味料プリンター「colony」を、宇宙を視野に入れて小型化していく局面でも、「一緒に実現したいですね!」と話していました。

新型調味料プリンターの開発自体は、基本的には当社で進めていますが部材は一部、高砂電気工業さんから提供頂いています。

JAXAへの納品実績もISSでの稼働実績もお持ちで、そんな会社と協業して部材も提供して頂くことは、高砂電気工業さんが培ってこられた信頼感のエッセンスを分けて頂いているようなもの。

高砂電気工業さんとの協業によって、スピード感が段違いにアップしたという実感があります。

宇宙で使える新型の調味料プリンターのポンプには、高砂電気工業さんの小型ポンプを採用しています。また、当社のエンジニアがいろいろと質問を投げて、いつも丁寧に答えて頂いています。

新型調味料プリンターが今後実働フェーズに入っていく段階では、さらに細かい技術支援もお願いできればと思っています。

段違いのスピード感と技術支援……。御社にとって高砂電気工業さんとは。

  • 岡田拓治さん
  • 高砂電気工業さん

一言で言うと、「距離の近い仲間」です。もちろん責任も発生するのでいい意味での緊張感はありますが、頼れる存在であり、感謝は尽きません。

当社のような小さなスタートアップにも、高砂電気工業さんから声をかけてくださって、その距離感の近さが驚きでもあり、嬉しくもありました。

共にモノづくりをする中で、高砂電気工業さんの知見、技術力、スピード感といった強みを実感する日々です。

協業で取り組んでいる新型調味料プリンターは、宇宙や月面での生活の質を格段に向上させるテクノロジーになるでしょう。

実働フェーズに向けて、より密に、ガッツリとタッグを組んで未来を創っていきたいですね。

宇宙や月面では、地上と比べて自由がきかず、常に監視下にあり、大きなプレッシャーのもとで生活しなくてはなりません。

南極大陸の観測拠点のような極限環境で生活する人に唯一の楽しみを尋ねると、圧倒的多数が「食」と答えるそうです。

既存の宇宙食や限られた月産食物を、「これしかない」から「味変でいろいろ楽しめる」に変えることができれば、楽しみの幅を広げることができます。

個人の体調や気分、好みによって味を変えることはもちろん、例えば星付きシェフや有名シェフの味をデータ登録しておけば、「宇宙に滞在している間に何パターンもあるシェフの味を食べきれるかな!?」なんて期待感を提供することもできます。


そんな月面生活を実現するうえで、当社にない技術をフォローしてくださる高砂電気工業さんとの協業は、非常に心強いです。


当社にも高砂電気工業さんにもそれぞれ強みがあり、「この部分は弱いから、高砂電気工業さんが助けてくださったら解決できそう」という局面もまだまだ出てくると思います。

そんなふうにお互い助け合えたら、鬼に金棒です!

◎企業概要、事業内容などを箇条書きで記載。
・会社名:株式会社ルナロボティクス
・代表取締役CEO:岡田拓治
・所在地:【本社】〒414-0051 静岡県伊東市吉田1022-69
・設立日:2018年9月26日
◎プロフィール
 岡田拓治(おかだ・たくじ)
 株式会社ルナロボティクス代表取締役CEO

株式会社ルナロボティクスのロゴ画像

ライター:

1985年生まれ。米国の大学で政治哲学を学び、帰国後大学院で法律を学ぶ。裁判所勤務を経て酒類担当記者に転身。酒蔵や醸造機器メーカーの現場取材、トップインタビューの機会に恵まれる。老舗企業の取り組みや地域貢献、製造業における女性活躍の現状について知り、気候危機、ジェンダー、地方の活力創出といった分野への関心を深める。企業の「想い」と人の「語り」の発信が、よりよい社会の推進力になると信じて、執筆を続けている。

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