
神奈川・横浜にオフィスを構える弁護士法人石川安藤総合法律事務所。「戦う弁護士集団」という理念のもと、さまざまな人・問題と真摯に向き合いながら解決に導いている。
共同代表を務めるのは、弁護士の安藤氏と石川氏。長年同じ職場で研鑽を重ねてきた二人は、令和5年1月に事務所を立ち上げ、それぞれの視点や特性を生かしているのが同事務所の大きな強みとなっている。二人が掲げる「戦う弁護士集団」という理念には、どんな思いが込められているのか。歩んできた道のりとともに、その考えや展望を聞いた。
依頼者の想いを大切に、戦う弁護士
「依頼者様のためにとことん戦う弁護士集団」――。自らのあり方をそう定義するのが、神奈川県・横浜市にオフィスを構える弁護士法人石川安藤総合法律事務所だ。「総合」法律事務所として、企業法務、不動産法務、相続法務を中心に、離婚等の家事事件、一般民事事件、刑事事件まで、多様な法律問題を解決に導いている。
弁護士の安藤氏と石川氏が共同代表を務め、長年ともに研鑽を積んできた二人がそれぞれの豊富な知識や経験をもとに、依頼者一人ひとりに合わせたきめ細やかなアプローチを取っている。
理念である「戦う弁護士集団」という言葉の背景には、二人が仕事を通じて気づいた「弱気・受け身・安易な弁護士が非常に多い」という問題意識があるという。
安藤:相手方として対峙して尊敬できる先生もたくさんいらっしゃる一方で、『もっとできるんじゃないか』『別のやり方があるのではないか』と感じる場面を目の当たりにすることがあります。また、解決や合意のためにはある程度の妥協は仕方がないと考える弁護士や、過去の判例から「難しい」と判断し、代案を出さないまま断ってしまう弁護士もいます。そうした姿勢に不満を感じた相談者から、セカンドオピニオンや助けを求められることも少なくありません。
依頼者の想いを置き去りにして安易な事案の解決を図ったり、他に妥当な解決策が考えられるにもかかわらず弁護士の意見を無理やり押し付けたりすることはあってはなりません。依頼者が納得できる解決を徹底的に模索し、難しいと思われる事件でも突破口を探す。私たちはそういう姿勢を大事にし、依頼者のために戦います。
依頼者の話を聞きながらかみ砕いて理解したり、現地調査へ行ったりすることではじめてわかる事実や事情もある。そうした努力を惜しまず、妥協せずに依頼者と向き合うのが、石川安藤総合法律事務所のやり方だ。
実際、他の弁護士に断られたケースでも、遠方の県まで赴いて現地調査したことをきっかけに勝ち筋が見えてきたこともあるという。
弁護士の知識や経験、姿勢によって、導かれる結論は異なる。だからこそ、「戦い」を安易に避けるのではなく、依頼者を守るための有効な手段の一つとしているのだ。石川氏は「戦う」ことについてこう話す。
石川:戦う上では知識量はもちろんのこと、調べる量やアイデアも大切ですし、『とにかくやってみよう』という勢いが重要なこともあります。それらを尽くさなければ、依頼者は納得できないと思います。私たちとしても、戦うからには勝ちたい。全ての事案が必ずしも0:100で決着がつくわけではありませんがとにかく最善を尽くして戦うことを大切にしています。
同じ志で、異なるやり方を。共同代表の強み
石川安藤総合法律事務所を立ち上げるまで、10年近く同じ職場で同僚として働いていた安藤氏と石川氏。共同で立ち上げるきっかけとなったのが、先に独立を決めた安藤氏からの声掛けだったという。
安藤:ステップアップするため、いずれは自分の事務所を持ちたいと考えていました。前の職場で働いて約10年が経った頃、ひとつの区切りだと思い独立を決めたんです。そこで、一緒に組むことが多く、職場で一番仲が良かった石川に声をかけました。裁判所から二人で歩いている時に、『独立しようと思うんですけど、一緒にやりませんか?』って。二つ返事で『やります』と答えてくれました。
石川:安藤は事務所で一番信頼していた同僚でしたし、志も近かった。『彼ならば』と思えたからこそ、即断できましたね。

そして令和5年1月、二人の名を連ねて石川安藤総合法律事務所を設立。共同代表というやり方を選んだからこその強みについて、「同じ方向を向いているけれど、やり方も視点も考え方も全然違う、複数の目があること」だと石川氏は話す。
一般的な法律事務所では、一つの案件を一人の弁護士が担当するケースが多い。その場合、その弁護士の視点や判断に寄りやすく、途中で修正が効かなくなってしまうこともあるという。そこで、複数の人の目があることによって、多角的に物事を見て、より良い選択と判断ができるようになるのだ。
特に、石川氏は資料を読みこんで法令と照らし合わせたり、樹形図を書いて事実を整理したりする「理論派」。安藤氏はまずは動き、全国の現場に足を運ぶこともいとわない「行動派」。そんなタイプが違う二人だからこそ、依頼者に合わせてそれぞれの視点や強みを発揮し、きめ細やかなアプローチができるのだ。
安藤:私はこれまでに弁護士だけでなく、衆議院議員の政策担当秘書、予備自衛官、テレビドラマや映画の監修業など、幅広い仕事の経験をしてきました。そうした経験をもとに視野を広げてきた私と、職人のように弁護士としての研鑽を積んできた石川。どちらが良い、ではなく、お互いの強みを使い分けられることが私たちの強みです。
また、二人での独立だったからこそ、依頼者に安心してもらえる事務所を早い段階で整えられたことも大きい。独立直後の法律事務所は、雑居ビルや古いマンションの一室で始まることも少なくない。一方、同事務所はできたばかりのオフィスビルで、内装にもこだわって作られた。依頼者が直接オフィスを訪れることが多く、第一印象が信頼や安心にもつながるからこそ、綺麗かつこだわりの環境が整えられたことは大きい。

同じ方向を向きながらも、それぞれが持つ異なる強みを活かしながらさまざまな依頼者と向き合う安藤氏と石川氏。そんな二人が共通して持つ志とは。
安藤:安直な仕事をしないことです。石川と私はやり方は違えど、その事案の最適解を常に追求するという志は同じです。
今を支える、幅広いキャリア
― 安藤様はこれまで幅広い経験をされてきたとのことですが、どのようなキャリアを歩んできたのですか?
安藤:司法試験に合格した直後は、知り合いの紹介で与党衆議院議員の政策担当秘書になりました。昔から面白いものにはすぐに飛びつく性格で、周囲と同じように弁護士としてのキャリアを歩み始めるのとは違う経験を得るのも面白いと思い、飛び込んだんです。
秘書としては、本当にいろいろな仕事をさせてもらいました。政策担当秘書は、議員が法律や政策を作るのをサポートするのが仕事で、ニュースになった政策文書の原案作成を担当したこともありました。
ただ、政策担当とはいえ、通常の秘書業務もしていました。地元で有権者を回ったり、政治資金パーティーを企画運営したりもしましたね。また、議員と共に、または代理で会議に出席して、官僚や各国の外交官、大企業の役員などと毎日のように交流しました。とても貴重な経験をさせていただいたと感じています。
その後、秘書の仕事を辞めて弁護士になりました。面白い話があれば飛びつくことは変わらず、「SUIT2」 などのテレビドラマや映画の脚本の法律監修もしました。弁護士としての仕事を充実させる一方で、全然違うことをしてみたいという思いもありまして。
秘書時代は外交や安全保障関連の議員のもとで働いていたので、自衛隊にも興味がありました。そこで調べてみると、有事や災害の際に招集される特別職国家公務員「予備自衛官」として民間人を採用する制度があることを知ったんです。興味を持ち、試験を受けて無事に採用されました。その後は合計10日間の基礎訓練を受けて幹部予備自衛官として任用され、弁護士としての仕事をしながら今も毎年訓練を受けています。現在は3等陸佐を拝命しています。

― そうした幅広い経験が、どのように現在にもつながっていますか?
安藤:弁護士は、社会人になってから弁護士の仕事しか経験していない方が多いんです。私は弁護士の仕事だけでは見えなかったものを見てきたので、良い意味で“弁護士っぽくない仕事スタイル”を身につけられたと思います。
例えば、秘書時代は支援者向けの広報誌を作ったり、有権者さんに票を投じてほしいとお話したりと営業マンのような仕事も経験しましたし、自衛隊では巨大な組織の中でシステムマティックに人を動かす様子も見てきました。そうした、今の「先生」と呼ばれる立場とは違うやり方や考え方を、普段の仕事に応用しています。
「感謝される仕事」であるために、最善を尽くす
― 石川様が弁護士を目指したきっかけを教えてください。
石川:昔、『正義は勝つ』というドラマを見て、弁護士という仕事に淡い憧れを抱いていました。大学では国語の教職を目指し國學院大學文学部日本文学科に進学・卒業したのですが、祖母を交通事故で亡くしまして。そのときに弁護士という仕事を改めて間近で見て、本格的に弁護士を目指しました。
― 依頼者と向き合う上で大事にされていることは何ですか?
石川:感謝される仕事をすることです。「勝てます」とは断言できない仕事ですが、依頼者のために勝ちたいし、なんとかしてあげたいとも思っています。そういう思いを前面に出して最善を尽くすようにしており、まずは話をちゃんと聞き、依頼者と事案に真摯に向き合うことを心がけています。

― 安藤氏と二人で独立を選択し、現在どのように感じていますか。
石川:良い結果が出せていて、ここまで順調に来られていると思っています。それに、「こうありたい」という事務所ができていることも嬉しいです。事務所を作る時に、事務所の雰囲気にかなりこだわって作らせてもらったんですよ。だから、喫茶店や飲食店のような、あまり事務所っぽくない事務所になっています。
そのおかげで依頼者も話しやすい雰囲気ができていて、会話が弾むことも多いです。依頼者とのコミュニケーションはとても大切だからこそ、こういう事務所にできていることが嬉しいですね。
戦い、変えていきたい。「良さ」が広がる社会へ
― 展望を教えてください。
安藤:ゆくゆくは法律事務所を支店展開していきたいと考えています。ただ、クオリティを差し置いて急拡大させるつもりはありません。「戦う弁護士集団」という理念に応じた能力を持ち信頼できる弁護士が各支店にいる、そんな強い事務所を増やしていきたいです。
それは一朝一夕で実現できることではないので、今から少しずつ始めています。現在若手の弁護士を採用し始めているのですが、一人前になるまでは一人にせず、石川か私が必ずつくようにして育てています。
石川:「こんな先生にお世話になったよ」と自信を持って紹介していただけて、それがつながっていくような事務所になることが理想ですね。弁護士を乗り換える方も多いので、「もうお願いしたくない」ではなく「紹介したい」と思われて、広がっていくような事務所にしたいです。
― その先、どのような社会の未来像を描いていますか。
安藤:「きちんと対応してくれる弁護士がいた」と思ってくださる人が一人でも増えて、弁護士、ひいては法曹界に対して良い印象を持ってもらえる一助になれればという思いがあります。
実は今、法曹界がピンチなんです。法曹志望者が非常に少なくなっており、司法試験受験者は2005年の39,428人から、2025年には3,837人にまで減少しています。これはつまり、優秀な人材が業界に入ってこなくなるということでもありますから、法曹界にいる一人として危機感を感じています。また、SNSなどで弁護士批判の声が拡散されることもあります。
私自身が「いいな」と思ってもらえる弁護士となり、さらにそういう弁護士を増やすことで、法曹界を目指す人や信頼してくださる方が増えるよう、法曹界の雰囲気を変えていけたらいいなと思います。
◎法人情報
弁護士法人石川安藤総合法律事務所
URL:https://i-a-law.com/
所在地:神奈川県横浜市中区海岸通2丁目8番1 プラウド馬車道302
◎インタビュイー
安藤 圭輔
弁護士法人石川安藤総合法律事務所 共同代表弁護士
1984 (昭和59) 年生まれ。私立麻布高等学校、早稲田大学法学部、早稲田大学法科大学院を卒業後、平成23 (2011) 年、司法試験に合格 (なお同年、国家公務員採用Ⅰ種試験 (法律職) にも合格) 。司法修習修了後、衆議院議員政策担当秘書、横浜市内の法律事務所を経て、令和5 (2023) 年1月、前職同僚の弁護士石川宏昭と共に石川安藤総合法律事務所を設立。令和6(2024)年法人化。
石川 宏昭
弁護士法人石川安藤総合法律事務所 共同代表弁護士
1976 (昭和51) 年生まれ。私立関東学院高等学校、國學院大學文学部日本文学科 (専攻:平安文学。特に枕草子) を卒業後、2003 (平成15) 年、旧司法試験に合格。司法修習修了後、大阪市内、横浜市内の法律事務所を経て、令和5 (2023) 年1月、前職同僚の弁護士安藤圭輔と共に石川安藤総合法律事務所を設立。令和6(2024)年法人化。



