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創業手帳株式会社

https://sogyotecho.jp/

〒104-0031東京都中央区京橋3-3-10第1下村ビル6階

起業支援で日本のビジネス成功率をあげていく/創業手帳株式会社

ステークホルダーVOICE 経営インタビュー
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創業手帳株式会社  代表取締役社長 大久保 幸世さん

「日本の創業成功率をあげる」をミッションに、起業家に必要な情報をガイドブックとしてまとめ、無料で配布する仕組みを持つ創業手帳株式会社。起業成功率をあげれば、起業家が増え、雇用やサービスが生まれる。結果として、日本経済が豊かになることを目指しています。同社の提供する情報は一見地味にも見えつつも、起業する上で決して外すことのできない、経営の根幹に関わる情報が満載。起業家のリアルなニーズをすくい上げ、支援をつづける大久保さんに、創業手帳株式会社の目指すものについてお話を伺いました。

起業のノウハウを一冊の本にまとめて提供

―どのような経緯で「創業手帳」は誕生しましたか?

日本では、月間約1万の会社ができています。しかし、いざ起業しても公的な手続きや、融資も含むお金のことなど、わからないことがたくさんあるという声を多く聞きます。また、起業当初は、人もお金も足りていないところからのスタートです。どんな大企業でも、最初は起業家の手によって興されている訳です。会社が初めからあるわけではなく、必ず起業されている。

しかし、メディアなどで起業について華やかに取り上げられることがあっても、起業後の地味なノウハウについて触れられることは、ほぼありません。

そこで私たちは、起業時にとても需要があるにもかかわらず、これまで大きく取り上げられてこなかった事柄をまとめ、ガイドブックにしようと思いました。形態は120ページ程度の「創業手帳」という本にし、起業に関する情報が自動的に届くというしくみです。

―なぜ起業に対する支援が必要だと思われたのですか?

私たちの生活にはお金が必要ですが、政府がお金を生み出すことはできません。また公共の社会は税金によって成り立っています。ではこのお金や税金はどこから生まれてくるのかと言えば、それは経済活動からです。経済活動の最初には起業家がいると思います。

今の日本経済は、諸外国と比較するとそれほどよいものではありません。例えばアメリカを見てみると、トップ企業の顔ぶれは常に変化し続けています。この理由はさまざまではありますが、起業家が新規の分野でも事業を作り続け成長していることが考えられます。

日本にも、戦後の高度経済成長期には起業家がたくさん生まれていました。日本経済の成長期は、明治時代と戦後ですが、いずれも超起業の時代なんですね。現在では、日本は起業の国ではなく、サラリーマンの国だと思われがちですが、本来は起業の国です。

いま、日本では再び起業家を増やしましょうといわれています。本来、起業家を増やすことは簡単ですが、なぜ起業しないのかといえば、多くの場合はリスクがあると思うからです。でも実は、それほど間違ったことをしなければ、会社はそうそう潰れることはありません。

ですから、起業家の基礎教育を充実させ、事業の成功率を上げさえすれば、起業率も上がると考えました。毎月生まれる1万の企業が、同じ落とし穴にはまるなら、その理由を徹底的に調べて伝えてあげる必要があると思いました。起業の支援を行うことで、日本のビジネスの成功率を上げていきたいのです。

創業手帳株式会社  代表取締役社長 大久保 幸世さん

ベンチャーで学んだ会社の基本の大切さ

―大久保さんご自身は起業をどのように考えていましたか?

自分が大学生だった20歳くらいの頃に、自分の人生でこの時期にこういうことがあると良いなということを、なんとなく紙に書いていました。20代はビジネススキルを身につけ、30代は人の会社の経営をし、35歳で起業しようと作戦を立てていて、40代のいま振り返ってみると、だいたいその通りに歩んでくることができました。

大学生の時に人生のマイルストーンとして、人生のどこで何をしたいのかをある程度決めました。こうした経験から、人任せの人生ではなく自分なりに人生の戦略を立てるということが大事なことではないかと思います。今は、男性の平均寿命が81.41歳、女性が87.45歳ですが、将来的には100歳まで生きるようになります。20代であれば、残りの人生は80年ほどあることになります。しかし、放っておくと時間はあっという間に過ぎてしまいます。起業やご自身の夢を叶えるなど、この時間をどうやって戦略的に使うのかを考えていただきたいですね。皆さんが本当にこれってワクワクするな、面白いなと思うものは大切にしてもらいたいですね。

私は、起業家が良くてサラリーマンが悪いという考え方は持っていません。しかし、自分の運命を自分で決めることができるという意味では、経営者や起業家の方が可能性が高い。しかし、経営者や起業家は人を巻き込みますし、責任も重く、自由もありません。そこまで踏まえた上で、自分がやりたいことがあるので起業するのが起業家だと思います。

―20代はどのようなキャリアを積まれましたか?

20代前半は外資系の会社で事務などを経験し、そのあとベンチャー業界の空気を浴びたいと思い、ライブドアに入社しました。在籍時に不正会計の事件が起き、会社には基本というものがあって、そういったものをきちんとしておかなければいけないということを学びました。

また、サービスはお客様の価値を追求して、喜ばれるものにしないといけないということ。ライブドアは、挑戦的で野心的なことをやっていましたし、若い人が一生懸命頑張っている会社でした。しかし、基本のところは弱かったので、事件が起きたのではないかと思います。この経験から、私は会社の基本的なことをしっかりやることで、事業の成功率が上がると考えるようになりました。当時の同じようなITベンチャーでもGMOや楽天は基本あり、組織がしっかりしていたので、会社が転ばなかったのではないでしょうか。ですから、やはり大切なのは基本だと思います。

役員として実現させた業界トップシェア

―経営にはどのように関わっていかれましたか?

キャリアとしては、その次にGMOメイクショップという、ECネット通販の会社で役員を務めていました。顧客が2万社ほどあり、プラットホームで年間1千数百億くらい物が売れるという仕組みがありましたが、会社がまだ小さい時期に入社しました。なぜ小さい会社に入ったかというと、自分が起業する時のために経営計画を作りたかったからです。ですから、10名程度の会社で頑張ればNo2くらいにはなれるのかなと。

また、なぜその業界を選んだかというと、今でこそネット通販は当たり前になりましたが、十数年前はネットでものを買うという行為に皆さん慣れていませんでした。ですから、これから伸びる市場でしたし、小さい会社には伸びしろがあります。入社の面接時には、普通は履歴書を持っていきますが、私は企画書を持って行きました。御社に入ったら3つの事業をやりますというようなものでしたね。実際に入社してから、事業を作っていって、小さい会社が業界トップシェアになるところまで、役員として成長させるという経験をしました。

顧客の話から生まれた、起業支援のアイデア

―企業はどのタイミングでされましたか?

自分が小さい会社の経営に携っていく中で、ネット通販の支援サービスとしてお客様の経営の相談を受けることが多々ありました。相談を受けているうちに、内容が似ていることに気が付いたんですね。税金のことや融資のこと、HPの作り方など、起業する上で必修に近いような情報であっても、知らない方が多かった。

そこで、こうした情報をまとめたガイドブックに広告を付ければ、無料で配布できるのでないか、ということを考え始めたのが起業の経緯です。2014年に事業をスタートさせて、官公庁や大手企業にご協力頂き、170万部を配布しています。

現在では、創業手帳、事業承継手帳、資金調達手帳など、さまざまなガイドブックも追加され、アプリや会員組織も含めて、全て無料で提供しています。ここまで来るのは大変でしたが、アイデアを実現することができました。

起業家を増やして日本の社会をよくする

―御社のミッションを教えてください?

弊社のミッションは、「日本の創業成功率をあげる」というものです。起業数を上げるとは直接いっていませんが、成功率が上がれば起業数が増えるので、起業の生存母数が増えますし、そうなれば日本の社会が良くなると思っています。

起業の数が増えるメリットは2点あります。ひとつは、事業の数が増えれば税収も増え、雇用も増えます。若い会社は、これからどんどんシェアが伸びていきます。ポジションもできるしチャンスもいっぱい転がっている。ですから、学生の方が大手かベンチャーかで悩まれたら、迷わずベンチャーを選んでください。起業まで行かずとも、そういうところにチャンスがたくさんあります。また、もしその会社が駄目になっても、業界の中でネットワークができますから、おそらく食うには困らないはずです。

もう1点は、個人としてサラリーマンを全然否定していませんが、どんな国でも、一番尊敬される人は起業家です。ゼロからイチを作った人ですから。起業家はダントツのスターなんですね。アメリカでは、一番偉いのは起業家で、その次はその起業家を助けている、スタートアップで働いている人。あんまり優秀じゃない人は大企業に行って、優秀じゃない人は公務員になるんです。日本は真逆の価値観になっています。戦後の復興期は同じ方向を向くことがよかったと思います。しかし、今の時代は答えが多様になってきています。日本でも、起業家が自分でリスクをとって自分で動くという時代になってきています。

―日本での起業のハードルは下がっているのでしょうか?

どうしてもやりたいことがあれば起業家という生き方がある、選択肢があるというのが今いまのところあんまり一般的ではありません。しかし、実力さえあれば起業はとてもいいことです。しかし、日本人の生き方はやっぱり自由じゃないんですよね。これだけ豊かで自由なはずでも、精神が自由じゃない。あれしちゃいけない、これしちゃいけない、親がこういうだろうなど、起業して失敗したらどうするんだろうということなどは、ほとんどまやかしなんですね。ほんとに自分が好きな生き方があれば、起業でなくてもいいですし、好きに生きたらいいと思うんですが、まだまだ固定観念に縛られている。

―固定観念はどういった点にあると思われますか?

特に若い方に感じますが、自分の人生は自分で決めて生きて行ってほしいですね。そうすれば、楽しく生きていくことができます。本当に最初から会社に入らなければいけないのか、女性だからできないことがあるのか、学生だから振る舞いに決まりがあるのか、リクルートスーツは着なければいけないのか、これらは基本的に会社の都合で決められているものです。それを皆さん自身の頭で考えてほしいんです。自分の力で幸福に生きていくっていう人を増やす選択肢として、起業もできる、自分の力で生きていける、という選択肢になればいいのではないかと思っています。

地味なこともしっかりと、起業の支援を続けていく

―最後に、将来のビジョンについてお聞かせください

弊社は「地味なことをしっかりやっていきましょう」という会社なので、それほど大それたビジョンはなく、今の積み重ね以外ないと思っています。弊社は、ミッション・ビジョン・バリューをそれほどいいませんが、弊社ほどミッション・ビジョン・バリューがしっかりした会社はそれほどないのではないかと思っています。

会社の経営に関する情報をしっかりと共有し、無料でお届けして、社会のインフラを作っていく。起業家が今まさに作っている事業を確固としたものにしていく支援です。

また、創業から事業承継まで起業家の方が越えなければならないハードルに対する支援をそれぞれ用意もしています。更に、会員の方同士をネットワーキングすることで、各社の売り上げを増やしていくという動きを増やしていきたいと思っています。

弊社の取り組みを当たり前のインフラにして、当たり前のことだから感謝をされないくらいの会社になりたいですね。

お客様との向き合い方
起業家(読者)の皆様へ
 

起業家の方は、さまざまな思いを持っていらっしゃると思います。「自分の夢を叶えたい」「豊かな利益を生み出したい」「理想の会社をつくりたい」など、多様な動機で起業されています。私自身も起業したことで、同様に日々の忙しさを経験しています。起業当初に、余裕のある方ほとんどいらっしゃらないのではないでしょうか。

 

起業は素晴らしいことですが、難しい局面も多くあります。事業を進める中で、勇気を持った決断が必要になったり、もうひと踏ん張りしなければいけない時もあります。起業家はいろいろな人の人生を背負ってもいます。しかし、どんなに難易度が高くても、勇気を持った正しい決断をしていけば、必ず道は開かれると思います。そうした時に、私たちの創業手帳や継承手帳が、少しでも皆さんのお役に少しでも立てばと思っています。

 

起業家の皆さんは、大変素晴らしい方々です。皆様に対して本当に尊敬の念を抱いています。

未来世代との向き合い方
未来の世代、次世代の方への感謝

起業家は今やりたいことや、将来こうしたいという思いを持っていらっしゃると思います。この思いに対して最大限の価値を追求していくことが大切です。

 

新進の企業だけが、未来を作っている訳ではありません。全ての仕事が未来につながっていると思います。その中で、創業手帳が行う未来への貢献は、未来を作る起業家の成功率を上げることです。起業家に対してしっかりとしたサービスを作り、あらゆる経営のハードルを無くすことで、事業から未来が生まれます。起業家がストレスなく仕事ができる、そういう社会を作っていきたいと思っています。

 

地域社会との向き合い方
地球環境について

差別のない社会という点でいえば、創業手帳Womanやリモートワーク手帳はSDGsの一環といえます。障がいのある方や、移動に制限がある方などの、働き方の多様性を考えています。均質性の高い日本社会において、起業は究極的にいえば働き方の多様性を実現する手段です。起業自体が働き方の多様性を担保しているともいえます。さまざまな環境や立場にある方にも、ぜひ活用していただきたいと思っています。

 

【プロフィール】

大久保 幸世

創業手帳株式会社 代表取締役社長 

明治大学経営学部卒業後、外資系保険会社、株式会社ライブドアを経て、株式会社メイクショップ(GMOグループ)入社、同社取締役に就任。法人向けECシステムを22,000社への導入実績を誇る。2014年に創業手帳社(旧:ビズシード株式会社 以下創業手帳株式会社)を創業。事業運営・経営支援の豊富な経験を生かし、日本中の創業者に「明日使える実践的な経営ノウハウ」を届け、日本企業の廃業率の低下・起業成功率の向上を通じて経済を活性化させることを使命としている。これまでに多数のセミナーやTV出演の実績あり。

【会社概要】

創業手帳株式会社

〒104-0031 東京都中央区京橋3-3-10 第1下村ビル6階

​​ https://sogyotecho.jp/

 

ライター

五十嵐 りん

1978年生まれ。出版社勤務を経て、産後にフリーライターとして独立。子育て、女性活躍、医療関連を中心に取材、執筆、編集を行う。

 

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