
12月28日、北海道小樽市の「朝里川温泉スキー場」で起きた痛ましい死亡事故。屋外エスカレーターに5歳の男の子が腕を挟まれ死亡したが、この事故の約2年前、現場の危険性を予見し、施設側に警告していた利用客の「クチコミ」が存在していたことが明らかになった。
「フタが簡単に開く」過去に具体的な警告
28日午前、札幌市東区の後藤飛向(ひなた)ちゃん(5)は、スキー場の駐車場とゲレンデをつなぐベルトコンベア式エスカレーターの降り口付近で転倒。開いていた床の「フタ」部分に右腕を巻き込まれ、搬送先の病院で死亡が確認された。
警察が捜査を進める中、注目を集めているのは2023年2月に大手レビューサイトへ投稿された同施設に関する書き込みだ。「いいスキー場だと思っていた、しかし管理不足がひどい…」と題されたその投稿には、今回の事故を予言するかのような戦慄の内容が記されていた。
「エスカレーター降り口のフタがストックなどがあたると簡単に開きます」 「フタが開くのは危ないと伝えましたが、全く気にする様子もなく現在もそのままです」
投稿者は当時、施設側に直接危険性を訴えたものの、無視されたと証言している。さらに、「ちょうど子どもがすっぽり入るサイズで一瞬で落ちて巻き込まれますので、保護者の方や、周りの大人の方は絶対に目を離さないで欲しいです」と、子供が巻き込まれるリスクについて具体的に警鐘を鳴らしていた。
常駐スタッフ不在、指摘されていた勤務態度
今回の事故発生時、エスカレーター付近にスタッフは常駐していなかったことが分かっている。
前述の2023年のレビューでも、リフト降り場などのスタッフの勤務態度について「カップ麺を食べていたり、居眠り、新聞を読んでいます」「宙吊りになってもスタッフは気づいてくれない」と、著しい規律の緩みが指摘されていた。投稿者は当時、「家族が危ない思いをした」として改善をお願いしたものの、「一応、降りる所に付くことになってるんですけどねぇ~」という無責任な対応をされたと記している。
「人災」の可能性も視野に捜査
「自分の命は自分で守るように気をつけて楽しむしかない」——。2年前に書き込まれた悲痛な警告は、最悪の形で現実のものとなってしまった。
警察は、施設側が過去の指摘を認識しながら対策を怠っていなかったかなど、業務上過失致死容疑も視野に、安全管理体制について厳しく捜査を進める方針だ。



