
FANTUBEのサイトリリースより
3月3日、アダルト系SNS・ファンクラブ業界に衝撃が走った。新興プラットフォームとして注目を集めていたFANTUBE(ファンチューブ)が、同年4月20日をもってサービスを終了することを発表したのだ。
かつて独自決済網による圧倒的な安定感を武器に、先行するmyfansの牙城を崩そうとした同サービスは、なぜ志半ばで幕を閉じることになったのか。
現場のクリエイターたちの証言から、その終わりの始まりが見えてきた。
「最強決済」という看板の崩壊
「決済が止まった瞬間、すべてが変わった」
そうnoteで語るのは、初期からサービスに関わってきたというクリエイターの覆面監督氏だ。同氏はプロカメラマン活動の傍ら、副業でメンエスや女性用風俗をテーマにした同人AVを作成している界隈では知られたクリエイターだ。
FANTUBE最大の売りは、他社がカード決済の拒否(リジェクト)に苦しむ中で謳った決済基盤の強さだった。しかし、今年1月を境に状況は一変。主要な決済手段が次々と停止し、ユーザーがコンテンツを購入できない事態に陥った。
先行する他サイトなどの決済不安を突く形でクリエイターを募っていた。しかし、その“生命線”が断たれた時の衝撃はあまりに大きかった。
「1月を境に状況が大きく変わった。ほぼすべての決済が停止し、毎月約10万円あった売上が一瞬で1万円へ激減した。プラットフォームの根幹が止まった瞬間、信頼は一気に揺らいだ」(覆面監督氏)
この売上9割減という生々しい数字は、クリエイターにとって死活問題だ。他のユーザーからも「決済が止まる=信頼が止まる。プラットフォームビジネスの本質を突きつけられた」との声が上がり、最強を謳った看板が逆に仇となった形だ。
「ザギンでゲラゲラ」 社長の人徳と、ビジネスの冷徹な決断
一方で、FANTUBEという組織、とりわけトップに対するクリエイターの評価は決して低いものではなかった。
「社長は本当に良い人で、銀座で飲みながらゲラゲラ笑って楽しかった。だからこそ残念。でも、社長はきっと損切りして新しいことをしていくんだろうな。頑張ってほしい」
こうした社長への惜別の声は、他のプラットフォームではあまり見られない独特な現象だ。しかし、人徳だけではビジネスは成立しない。同じクリエイターは「その割には(自分は)全て撤退していた。すんません」と自虐的に語り、ビジネスとしての損切りの冷徹さを浮き彫りにしている。
「はるるたん」「レイナ」……圧倒的な“顔”の不在
機能面では「ガチャシステム」や「ライブ配信」など、独自の試みも評価されていた。ユーザーからは「ガチャは斬新だった。これからだと思っていたのに」と期待の声もあったが、一方で現実は残酷だった。
「myfansと比べるとPV数やユーザー数が少なかった」
「結局、クリエイターがいる場所に人が集まる。myfansには『はるるたん』、Fantiaには『レイナ』がいる。強いクリエイターがいないと、箱だけ作っても終わってしまう」
アダルト領域という、SEOや広告が制限される特殊な市場において、爆発的なユーザーを連れてくる看板クリエイターの不在は致命傷だった。先行するmyfansの戦略、そして特定ジャンルへの特化が奏功する市場において、FANTUBEは最後まで売れる空気感を作り出せなかったのではないか。
myfansへの大移動
「FANTUBEが終わるなら、myfansの準プレミアムクリエイターを目指すしかない」
皮肉にも、サービス終了の報を受けて、クリエイターたちの目は再び絶対王者であるmyfansへと向いている。新興プラットフォームが乱立する昨今だが、今回の終了劇はUIの差別化や機能の珍しさだけでは、先行者の圧倒的なネットワーク効果には太刀打ちできないという、重い教訓を残した。
「ファンチューブ、伸びてたんだけどなー。結局myfansになるのか」
あるクリエイターが投げかけたこの言葉が、挑戦と失敗が隣り合わせのプラットフォームビジネスの難しさを象徴している。



