
「受験直前にこんなことになるなんて、生徒さんをどうすればいいんだ…」 2月13日、受験シーズンの真っ只中。教育業界に激震が走った。
「オンライン家庭教師のメガスタ」や「一橋セイシン会」など手広く教育事業を展開していた株式会社バンザン(東京都新宿区)が、突如として事業停止と自己破産の準備を発表したのだ。
「システム障害」は真っ赤な嘘だった?
「何が一番タチが悪いって、嘘に嘘を重ねていたことです。これ、なんのお笑いですか?」
憤りを隠せないのは、同社と契約していたある男性講師だ。彼がSNSで公開したのは、破綻直前の会社側からの不可解な通知の数々だった。
事の発端は1月末に遡る。 1月29日、講師たちのもとに『報酬管理システムに障害が発生して報酬が払えない』という通知が届いた。システムのエラーなら仕方がない、数日の辛抱だ――多くの講師はそう思ったという。
しかし、その説明は二転三転する。 2月6日には『取引先トラブルによる口座凍結』と説明を変え、さらに『報酬を払う十分な預金は確保されております』と強調していたというのだ。
「『預金はある』と言っておきながら、そのわずか1週間後の13日に『破産します』ですからね。最初から資金繰りがパンクしていたのを、システム障害だの口座凍結だのと誤魔化して、時間稼ぎをしていたとしか思えません」(講師)
売上35億でも…「自転車操業」の末路
帝国データバンクや東京商工リサーチの情報によれば、バンザンは近年、増収傾向にあり、2025年1月期には売上高約35億円を計上していたという。さらに、2026年4月には通信制高校サポート校「メガスタディ名門高等学院」の開校も発表していた矢先だった。
一見、順風満帆に見えた同社だが、内実は火の車だったようだ。教育ジャーナリストはこう分析する。
「オンライン家庭教師は地域を問わず展開できるメリットがありますが、その分、競合他社との顧客争奪戦が激しい。バンザンは『メガスタ』の知名度を上げるために莫大な広告宣伝費を投じていました。加えて、優秀な講師を確保するための人件費高騰も重なり、利益を圧迫していたのでしょう。典型的な『拡大路線の失敗』と言えます」
2025年には、システムの開発会社から未払いを巡って訴訟を起こされるなど、資金繰り悪化の兆候はすでに表面化していた。それでもなお、直前まで新設校の夢を語り、講師には「金はある」と嘘をつき続けていたことになる。
「飛びましたね」受験生置き去りの悲劇
最大の被害者は、何も知らされずに勉強に励んでいた受験生とその親御さんたちだ。
SNS上では、指導に当たっていた講師たちが悲痛な声を上げている。 《株式会社バンザン、飛びましたね。こちらも痛いけど、こんな受験直前になってこんなことになって、生徒さんどうすんだよ…》
ある講師のもとに届いた事業停止のメールには、残酷な現実が記されていた。未払いの報酬については「破産債権」として取り扱われる――つまり、働いた分の給料が支払われる可能性は限りなく低いということだ。
「これからご家庭も講師も『潰れない塾』探しが大事になってくる」 人気YouTubeチャンネル『CASTDICE TV』のコバショー氏がX(旧Twitter)でこう警鐘を鳴らす通り、塾選びの基準が根底から覆されようとしている。
「ご厚情賜りましたことを心より感謝申し上げるとともに…」 代表取締役社長・山田博史氏の名前で出された書面には、定型的な謝罪の言葉が並ぶ。しかし、人生を左右する受験の直前に梯子を外された生徒たちの涙は、この一枚の紙切れでは到底拭えそうにない。



