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大分放送で横領発覚 30代社員が1222万円着服し懲戒解雇に【不正利用の手口】

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大分放送で横領発覚 30代社員が1222万円着服し懲戒解雇に【不正利用の手口】
公式 OBS大分放送 より

「まさか放送局で」――。大分放送の30代男性社員が業務用カードを不正利用し、総額1222万円を横領していたことが発覚した。懲戒解雇という結末の裏には、見過ごされた管理の甘さと、誰にでも起こり得るリスクが潜んでいる。

 

どうやって横領は行われたのか 大分放送社員の手口

公共性の高い放送局で、視聴者の信頼を裏切る事件が起きた。大分放送は9月29日、30代の男性社員が業務用クレジットカードを不正に利用し、ギフトカードを購入して現金化するなどの手口で総額1222万8400円を着服したと発表した。しかも、この社員は上長の承認印を無断で使用し、経理に「決裁済み」と誤認させたうえで伝票を処理させていた。さらに、虚偽の書類を添付して会社からリフォーム資金を借り入れるなど、複数の手段を組み合わせて不正を重ねていたという。会社は9月29日付で懲戒解雇とし、本人が全額を弁済する予定であるため、警察への被害届は提出しない方針を示した。

なぜ不正を防げなかったのか 管理体制の甘さ

では、なぜこうした大胆な横領が可能となったのか。背景には、内部統制や承認プロセスの脆弱さがある。承認印を無断で利用できたこと自体が、管理体制の緩みを象徴している。放送局は公共性が高く、視聴者やスポンサーからの信用が経営の根幹を支える。その信用が失われれば、金銭的損害以上に組織全体が揺らぎかねない。今回の事件は、単なる一社員の不正にとどまらず、企業統治や内部監査の在り方そのものを問い直すものとなっている。

もし刑事事件になっていたら?横領罪の重さ

 

もし被害届が出されていれば、この社員は複数の罪に問われた可能性が高い。業務用資金を流用した行為は刑法253条の業務上横領罪に当たり、5年以下の懲役が規定されている。虚偽の書類による借入は刑法246条の詐欺罪に該当し、10年以下の懲役が想定される。そして、承認印を無断使用した点は刑法159条の有印私文書偽造・同行使罪にあたり、3月以上5年以下の懲役が科され得る。これらが重なれば実刑も現実味を帯びる。ただし、初犯かつ全額返済がなされていれば、執行猶予付き判決となる可能性もある。会社が被害届を出さなかった背景には、刑事事件化によるブランド毀損を避けたいという経営上の判断が働いたとみられる。報道機関にとって信用は最大の資産であり、その失墜は金銭以上の痛手になるからである。

他のメディアでも繰り返された不正 共通する落とし穴

今回の事件は、大分放送に限った特殊な事例ではない。過去にはNHK子会社で数千万円規模の横領が発覚し、新聞社でも経理担当者が会社資金を不正に流用する事件が報じられた。いずれのケースも、内部統制の不備やチェック機能の甘さが背景にあった点で共通している。大分放送の件は、金額規模こそ1千万円超にとどまるが、承認印の無断使用や虚偽書類の提出など複数の手口を組み合わせていた点で悪質性が高い。こうした比較から浮かび上がるのは、業界や企業規模にかかわらず、不正は常に潜んでおり、組織文化や管理の在り方次第で発覚の遅れや被害拡大につながるという教訓である。

横領を防ぐために企業ができること

刑事告訴を避けた判断は「不正に甘い」との批判を招きかねない。社会の信頼を守るためには、処分の理由を透明に説明することが不可欠だ。他社にとっても今回の事件は警鐘となる。承認手続きの電子化、経理と上長による二重チェック、印章管理の徹底といった取り組みを強化すれば、不正は未然に防げる可能性が高い。メディア業界に限らず、金融機関や製造業でも横領事件は繰り返し発生しており、共通する課題として認識する必要がある。社員一人の逸脱が企業全体の信用を揺るがす時代に、内部統制の徹底は避けられない。

信頼回復へ 大分放送が問われる次の一手

 

大分放送は「管理体制を改める」との方針を示した。今後は具体的な対策の実効性が問われる。企業不祥事はどの業界にも潜むリスクであり、今回の件は他社にとっても無関係ではない。大分放送にとっては信頼回復への道のりが始まったばかりであり、読者にとっても「自分の組織ならどう防ぐか」を考えるきっかけとすべきだろう。

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ライター:

新聞社・雑誌の記者および編集者を経て現在は現在はフリーライターとして、多方面で活動を展開。 新聞社で培った経験をもとに、時事的な記事執筆を得意とし、多様なテーマを深く掘り下げることを得意とする。

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