
人気ラーメンチェーン「ラーメン魁力屋」が、店舗で提供したラーメンにクエン酸が混入する事案が発生したとして謝罪を発表した。健康被害の報告は出ていないものの、ネット上では賛否両論が巻き起こっている。同時期に複数のラーメンチェーンで混入事案が相次ぐ中、消費者が抱く食の安全に対する不安の深層に迫る。
魁力屋が謝罪、清掃作業中にクエン酸がラーメンに混入
全国に150店舗以上を展開する人気ラーメンチェーン「ラーメン魁力屋」は、2025年9月11日、同社が運営するイオンモール水戸内原店(茨城県水戸市)にて、ラーメンにクエン酸が誤って混入した事案が発生したと発表し、顧客および関係者に対して謝罪の意を表明した。
発表によると、事案が発生したのは2025年9月10日の15時57分から15時58分頃のことだという。店舗の従業員が器具の清掃作業を行っていた際、清掃用に使用するクエン酸が寸胴鍋の内容物に混入。そのクエン酸が混入したスープを用いて、顧客に「醤油味玉ラーメン(並)」と「九条ネギラーメン(並)」の2食が提供された。該当のラーメンは2組2名の顧客に提供されたとされ、事案発覚後、同社は公式ウェブサイト上でお詫びとお知らせを掲載した。
同社は発表の中で、「現時点において、お客様から健康被害の報告は受けておりません」としつつ、専門機関の見解も踏まえた見解を示している。専門機関によれば、「直ちに重大な健康被害の可能性は低いものの、体質等により体調に変化が生じる場合もあるため、経過観察が必要である」とされている。魁力屋は、該当時間帯に同店舗を利用した顧客に対し、万が一身体に異変が生じた場合は速やかに医療機関を受診し、同社窓口まで連絡するよう呼びかけている。同社は一連の事態について、「お客様ならびに関係者の皆様に多大なるご心配とご迷惑をおかけしましたことを、深くお詫び申し上げます」とコメントしている。
ラーメン業界で相次ぐ混入事案、信頼回復への道は
今回のラーメン魁力屋の事案は、個別の問題として片付けることはできない状況にある。というのも、直近で他の大手ラーメンチェーンでも同様の異物混入事案が相次いで発生しているためである。
今年6月には、人気ラーメンチェーン「来来亭」で、ラーメンの中に害虫が混入していたとする動画がSNS上で拡散され、大きな騒動となった。来来亭はこれを受け、全国の全店舗を一斉に臨時休業とし、全従業員に対する衛生管理の再教育を行うなどの対応に追われた。また、今月9日には、別の人気チェーン「天下一品」でも、提供した商品に害虫が混入していたとして謝罪する事案が発生している。
立て続けに発生するラーメンチェーンでの混入事案は、消費者の「食の安全」に対する不安を増大させている。特定の店舗やチェーンに限った問題ではなく、業界全体に共通する課題ではないかという疑念を生み出しつつあるのが現状だ。特に、多くの人々が利用する大手チェーンでこうした問題が頻発することは、消費者心理に与える影響は計り知れない。一度失われた信頼を回復することは容易ではなく、各企業はこれまで以上に徹底した衛生管理体制の構築と、その取り組みの透明化が求められる。
参照:「ラーメン魁力屋 イオンモール水戸内原店」お詫びとお知らせ(魁力屋)
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