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モリサワ フォント意識調査で判明したフォントの使い分け 働く男女の45%が状況で使い分けていた 

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フォントを考えている女性

プレゼン、謝罪文、SNS——文書の“顔”であるフォントを人はどう選ぶのか。モリサワの最新調査から、働く世代のリアルな使い分けと失敗しない選び方が見えてきた。

 

調査の概要

フォントメーカーのモリサワは、日常的に文字に触れると想定される20〜50代の働く男女500人を対象に、2025年8月20〜22日にWEBアンケートを実施した。
設問は、①フォントへのこだわりの有無、②デフォルトからの変更行動、③シーン別の「適切だと思う書体」、④“違和感”経験、⑤好きな書体・知識(P付き=プロポーショナルの理解度)など多岐にわたる。

主要ポイント要約:“使い分け”が当たり前に

調査では「シチュエーションに応じてフォントを使い分けている」が45.0%(「使い分けている」20.2%+「どちらかといえば使い分けている」24.8%)。ビジネス用途の適切フォントとしては明朝体が最多票を集め、メールや謝罪文、プレゼン・報告書、財務資料などで支持が厚かった。また、約3人に1人(32.8%)が「文章とフォントが合っていない」などの違和感を体験しているようだ。

「フォントに関する意識調査」
モリサワ「フォントに関する意識調査」より

ビジネスは“明朝体優位”、ただし万能ではない

「謝罪文書」「ビジネスメール」「プレゼン資料・企画書・報告書」「社内報」「財務資料」といった“かしこまった”文脈では明朝体の支持が最多だった。次点でゴシック体が続き、ビジネスの基本は「本文=明朝、見出し=ゴシック」で整えるという実務感覚が数字にも現れたといえる。一方、SNSやテレビのテロップでは明朝体以外への分散が強く、「看板・チラシ・祭事」ではデザイン書体や丸ゴが優位、「動画コンテンツ」では手書き・装飾系が台頭した。場面が変われば“正解のフォント”も変わるというのが結論のようだ。

年代別の使い分け傾向:若い世代ほど“切り替える”

年代別では、使い分ける人の割合が20代:47.2%、30代:51.2%、40代:38.4%、50代:43.2%と、比較的若年層が高い。デジタル・SNSネイティブ層ほど“文脈に応じて見た目を最適化する”行動が自然に身についている可能性がある。

モリサワ「フォントに関する意識調査」
モリサワ「フォントに関する意識調査」より

「好きなフォント」トップは明朝体:“読みやすさ”と“誠実さ”

「好きなフォント」では、1位が明朝体(35.2%)、2位ゴシック体(18.8%)、3位手書き書体(14.4%)、4位UD(9.8%)、5位丸ゴ・筆書体(各9.4%)の順。明朝体は「見慣れていて無難」「上品で誠実」といった理由、ゴシック体は「シンプルで誰でも読みやすい」、手書き系は「温かみ・親しみやすさ」など、機能(読みやすさ)と情緒(印象)の両面が選好理由となっている。

“P”の意味、知っていますか?:プロポーショナルの低認知

「MS Pゴシック」「BIZ UD Pゴシック」など、フォント名の“P”はプロポーショナル(文字幅可変)を意味する。一方で“Pなし”は等幅だ。調査ではこの違いの認知はわずか3.6%にとどまった。「なんとなく使い分けているが、違いはよく知らない」も33.2%に上る。“見た目を整える”前提となる基礎知識の浸透が課題のようだ。

モリサワ「フォントに関する意識調査」
モリサワ「フォントに関する意識調査」より

シーン別・実務に効くフォント選び

調査を踏まえ、適切なフォントをまとめる。

1)謝罪・お詫び・重要告知
本文は明朝体。見出しも細めの明朝もしくはゴシックの軽いウェイトで。装飾・丸み・手書き調は避ける。理由:誠実性・可読性・フォーマル感の担保(調査でも明朝が最多支持)。

2)ビジネスメール(社外)
本文は明朝体 or ベーシックなゴシック。英数混在が多い場合はP付き(プロポーショナル)が読みやすい。署名や注記は等幅で整える手も。

3)プレゼン・企画書・報告書
本文は明朝体、見出し・図表訴求はゴシック体でコントラストを作る。数字・単位・脚注はフォントとサイズの規律を統一。

4)社内報・啓発資料
ベースは明朝/ゴシックの組み合わせ。カジュアル特集は丸ゴや手書き風を見出し限定で部分使用(本文に多用しない)。

5)SNS/イベント告知
見出しに丸ゴ・デザイン・手書き・装飾を限定的に、本文はゴシックで可読性を担保。写真と背景コントラストの確保を最優先。

6)アクセシビリティ配慮
UD(ユニバーサルデザイン)書体は高齢者・多様な読み手向けに有効。数字や記号の判別性を重視する図表やフォームでも効く。

使い分け文化は“文字のリテラシー”を上げる

若い世代ほど使い分けが進む背景には、スマホ・SNSの浸透に伴う**「文脈=見た目」一致への感度がある。調査では、“違和感”が信頼の毀損につながることも示された。内容×フォント×媒体の三位一体で伝達品質は決まる。可読性は最低条件、そこにトーンの適合**が加わって初めて“伝わる文章”になる。

企業の情報発信においては、テンプレートの段階で「本文/見出し/注釈/英数」の書体・ウェイト・サイズ・行間を定義し、誤用を防ぐ設計が有効だ。特に謝罪や重要告知は、表現の一貫性が信頼の基盤となる。

まとめ:“選ぶ”だけで、文章はもっと伝わる

この調査は、フォント選びが趣味嗜好の問題にとどまらず、情報の正確な伝達と信頼形成に関わることを可視化した。謝罪文や公式告知には明朝体、数字の多い資料や図版にはゴシックやUD、SNSやイベント告知には丸ゴ・デザイン・手書き系を限定的に。文脈に合った“声色”を持つ文字を選べば、同じ内容でも届き方は変わる。今日からできる最初の一歩は、テンプレートに書体とウェイトを固定し、例外を最小化することだ。

参照:
モリサワ フォントの意識調査を実施(モリサワ)
適切に使えている?働く男女に聞いたフォント事情!(PRTIMES)

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ライター:

女性向け雑誌にて取材・執筆及び編集に従事。独立後は、ライフスタイルやファッションを中心に、実体験や取材をもとにリアルな視点でトレンドを発信。読者が日々の生活をより豊かに楽しめるような記事を提供し続けていることがモットー。

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