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マダニ媒介感染症で獣医師死亡 感染したネコの治療で

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マダニ
マダニ対策、今できること(国立感染症研究所より)

三重県でマダニ感染症SFTSにかかった猫を治療していた獣医師が死亡した。マダニに刺された形跡はなく、感染猫との接触による感染が疑われており、獣医師やペット飼育者に対する注意が高まっている。

 

マダニ媒介のウイルス感染症で獣医師が死亡

2025年5月、三重県内で動物病院を開業していた高齢の男性獣医師が、マダニが媒介するウイルス感染症「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」により死亡した。獣医師はSFTSに感染した猫の治療にあたった後、呼吸困難や発熱、下痢といった症状を訴え、数日後に亡くなった。検査の結果、SFTSウイルスへの感染が確認された。

獣医師にマダニに刺された痕は確認されておらず、猫との接触を通じて感染した可能性が高いとされている。

SFTSとは マダニが媒介する致死率の高い感染症

SFTS(Severe Fever with Thrombocytopenia Syndrome)は、ウイルスを保有するマダニに刺されることで感染するウイルス性疾患である。主に西日本を中心に患者が報告されており、国内では2013年に初めて患者が確認されて以来、年間40〜130人が報告されている。

国立健康危機管理研究機構によると、2024年には全国で120人が感染(暫定値)し、致死率は約27%とされる。感染後6〜14日間の潜伏期間を経て、発熱、嘔吐、下痢、出血症状、腎機能低下などの症状を引き起こし、重症化すると死に至るケースもある。

現在、対症療法が中心だが、2023年に抗ウイルス薬「ファビピラビル」が治療薬として承認されている。

ペットを通じた感染リスクに注意

 

SFTSは従来、マダニから人間への直接感染が主な経路とされていたが、近年では感染した犬や猫の体液や血液を通じて人へ感染する事例も報告されている。厚生労働省によれば、過去には感染した猫にかまれた50代女性がSFTSを発症し死亡した例(2016年)もある。今回の三重県の事例も、猫との接触による感染の可能性が高く、獣医療従事者にとって深刻な問題となっている。

感染経路は屋外の草むらや森に潜むマダニ

感染を媒介するマダニは、屋外の草むら、畑、森などに生息しており、農作業中や登山時に刺されるケースが多い。SFTSを媒介するのは、「コナダニ」や「ヒョウヒダニ」など家庭内のダニではなく、野外に生息するマダニである。厚生労働省は、野外活動の際には長袖・長ズボン・帽子の着用を推奨しており、肌の露出を極力避けるよう呼びかけている。

今年のSFTS感染者数と地域分布

国立健康危機管理研究機構によると、2025年に入ってからのSFTS感染者は、6月1日時点で全国で56人に達している。都道府県別にみると、高知県と大分県でそれぞれ6人、長崎県で5人、三重県、兵庫県、鹿児島県では各4人の患者が報告されており、西日本を中心に発生が集中している傾向が見られる。これまで同様、西日本に患者が多いものの、今後は全国的な感染リスクに備える必要がある。

命を守るためにできること

今回の獣医師の死亡は、ペットからの感染リスクが決して無視できないことを示している。飼い主や動物医療に関わる人々は、ペットの異常に早く気づき、適切な対応をとることが求められる。また、体調不良の動物に直接触れることは避け、専門家に任せることも重要だ。万が一、動物に接触した場合は、手洗いや消毒を徹底することが感染予防につながるだろう。

【参照】マダニ対策、今できること(国立感染症研究所)

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ライター:

約10年間、医療機器メーカーの営業職としてクリニック・病院を担当し、数多くの医療機器を販売。副業で医療系、メディカル系の記事の執筆を行い、2018年より医療専門ライターとして独立。

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