
2025年6月4日、大阪・関西万博のウォータープラザで基準を超えるレジオネラ属菌が検出され、水上ショーが中止となった。同エリアはユスリカの大量発生源でもあり、会場の衛生管理体制が問われている。
万博ウォータープラザでレジオネラ属菌検出、水上ショー中止
2025年6月4日、大阪・関西万博を運営する日本国際博覧会協会(万博協会)は、会場南側のウォータープラザの海水から、レジオネラ症防止指針の基準値を超えるレジオネラ属菌が検出されたと発表した。これを受け、同日夜に予定されていた水上ショー「アオと夜の虹のパレード」は急遽中止となり、5日と6日の昼夜のショーも中止が決定された。
万博協会は、大阪市保健所からの助言を受け、噴水の停止と水質改善に着手。今後も保健所と連携しながら、水質のモニタリングを継続する方針を示している。
レジオネラ属菌とは?感染リスクと予防策
レジオネラ属菌は、自然界の淡水や土壌に広く存在する細菌で、人工的な水環境、特に温水設備や冷却塔、噴水などで繁殖しやすい。感染は主に、これらの設備から発生するエアロゾル(微細な水滴)を吸引することによって起こり、肺炎などのレジオネラ症を引き起こす可能性がある。
特に高齢者や免疫力が低下している人々は重症化のリスクが高く、適切な水質管理と定期的な設備の清掃が予防には不可欠である。
ユスリカ大量発生、ウォータープラザが発生源に
ウォータープラザでは、レジオネラ属菌の検出に加え、ユスリカの大量発生も確認されている。ユスリカはハエ目ユスリカ科に属する昆虫で、人を刺すことはないが、大量発生すると不快感を与えるほか、死骸を吸い込むことでアレルギー症状を引き起こす可能性がある。
万博協会は、雨水をためる設備や水たまりが発生しやすい植栽などに薬剤を散布し、ユスリカの繁殖を抑える対策を講じているが、依然として大量発生が続いているようだ。
会場の衛生管理体制に対する懸念
ウォータープラザでのレジオネラ属菌の検出とユスリカの大量発生は、会場の衛生管理体制に対する懸念を呼んでいる。特に、レジオネラ属菌は5月29日に保健所の検査で検出され、協会独自の検査でも31日に指針値の1.6倍、6月4日には20倍の菌が検出されていたことから、対応の遅れが指摘されている。
万博協会は、配管の清掃や殺菌成分をもつ次亜塩素酸ナトリウムの投入など、水質改善に向けた対策を進めているが、ショーの再開時期は未定であり、今後の対応が注目される。
来場者への影響と今後の対応
水上ショーの中止は、来場者に大きな影響を与えている。特に、事前予約不要の自由観覧型ショーであったため、当日立ち寄って楽しむ予定だった来場者にも影響が及んでいる。
万博協会は、公式ウェブサイトやSNSを通じて最新情報を発信しており、来場者に対しては、引き続き情報の確認を呼びかけている。
まとめ
大阪・関西万博のウォータープラザでのレジオネラ属菌の検出とユスリカの大量発生は、会場の衛生管理体制に対する課題を浮き彫りにしている。万博協会は、水質改善や害虫駆除などの対策を進めているが、来場者の安全と快適な環境を確保するためには、引き続き迅速かつ適切な対応が求められるだろう。
来場者は、万博協会の公式情報を確認し、最新の状況に注意を払いながら、安全に万博を楽しんでいただきたい。
【参照】【お詫びとお知らせ】ウォータープラザにおけるレジオネラ属菌の検出について
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