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「子どもは愛おしい、でも…」 育児と仕事のはざまで悩む父親たち

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父親の産後うつ
DALL-Eで作成

こども家庭庁の研究班は、父親の「産後うつ」への対応を強化するため、自治体担当職員向けに「父親支援マニュアル」を作成し、インターネット上で公開した。父親を対象とした支援策を解説する手引きが作成されるのは初めてだという。

 

父親にも「産後うつ」のリスク

近年、共働き世帯の増加に伴い、男性の育児参加が進んでいるが、その一方で「産後うつ」に悩む父親も増えている。慣れない育児や仕事との両立、睡眠不足といった要因が重なり、精神的な負担を抱えるケースが少なくない。

厚生労働省の調査によると、2023年度の民間企業における男性の育児休業取得率は初めて30%を超え、30.1%となった。前年の17.13%から約13ポイント上昇し、過去最高を記録した。しかし、依然として取得率は女性(84.1%)と比べて低く、取得期間も短い傾向にある。特に長時間労働との両立が困難になったり、夫婦関係の悪化などによって体調を崩す父親も目立ち始めており、支援の必要性が指摘されていた。

 

父親の産後うつに苦しんだ経験談

実際に産後うつを経験した父親の声も寄せられている。

ある男性は、3カ月半の育児休業を取得し、育児に専念した。しかし、睡眠不足や育児の難しさから精神的に追い詰められたと語る。

「父親側が産後うつになる経験談を読んでいたが、そのときは若干他人事のように感じていた。でも、気持ちがわかった。自分がここまで追い詰められるとは、正直、思っていなかった。」

また、別の男性は、長時間労働と育児の両立に悩み、妻と意見が合わずに孤独を感じることが増えたという。

「仕事を終えて帰ると、すぐに育児が始まる。妻も疲れているので、家の中に余裕がない。うまくやりたいのに、どうすればいいのか分からなくなった。」

 

自治体の支援策を強化

研究班は、国立成育医療研究センターのメンバーを中心に構成されている。マニュアルでは、母親を対象とする既存の育児支援事業を活用し、父親にも支援を広げることを提案。具体的には、以下のような施策を推奨している。

  • 母子手帳交付時や家庭訪問時に父親の悩みを聞く
  • 乳幼児健診の問診票に、父親の健康状態や労働環境を尋ねる項目を追加
  • 父親向けの相談窓口や支援プログラムの充実
 

父親の産後うつに対応する支援制度

1. こども家庭庁の「父親支援マニュアル」

こども家庭庁の研究班が作成した「父親支援マニュアル」では、自治体が父親の産後うつを早期に把握し、適切なサポートを提供することを推奨。母子手帳交付時や家庭訪問の際に父親の悩みを聞く仕組みを整えることが求められている。

2. 東京都の取り組み

東京都では、男性の「産後うつ」への理解を深めるための啓発活動が行われている。家族が父親を孤立させないためのサポートや、企業による育児休業取得の推進が進められている。さらに、自治体が育児教室の開催や相談窓口を設置し、父親のメンタルヘルスを支える仕組みを整えている。

3. 厚生労働省の支援制度

厚生労働省では、育児・介護休業法に基づき、男性が育休を取得しやすい環境整備を進めている。これには、育休取得率の向上に向けた企業への助成金制度や、ワーク・ライフ・バランスの推進施策が含まれている。

4. 医療機関での対応

一部の医療機関では、父親の産後うつに対応する専門外来が開設されている。精神科や心療内科での相談を促進し、必要に応じた治療を提供することで、父親のメンタルヘルスを支える取り組みが行われている。

 

社会全体での理解がカギ

父親の「産後うつ」は、社会的にまだ十分に認知されていない問題だ。育児における父親の役割が拡大する中で、企業の働き方改革や、自治体による相談体制の強化が求められている。研究班は、「父親が抱えるストレスに社会全体で目を向けることが、より良い子育て環境の実現につながる」としている。

 

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ライター:

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SHOEHORN くつべらマン

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