
三菱UFJ銀行の元行員が、顧客の貸金庫から現金を盗んだとして再逮捕された。驚くべきことに、元行員は異動後の支店でも貸金庫から現金を盗んでいたという。再逮捕された山崎(旧姓・今村)由香理容疑者は、これまでに2回逮捕されており、今回が3度目の逮捕だ。彼女の犯行手口と事件の全容に迫る。
巨額の貸金庫窃盗事件、再逮捕の背景
三菱UFJ銀行の元行員が、異動後の支店で顧客の貸金庫から現金を盗んだとして、警視庁は2025年3月10日、山崎由香理(旧姓・今村)容疑者(46)を窃盗の疑いで再逮捕した。山崎容疑者は2024年3月と9月、練馬支店勤務時代に顧客の貸金庫から金塊約22キロ(2億8200万円相当)を盗んだとして2度逮捕されている。今回の逮捕は、それに続く3度目の逮捕となる。
警視庁の調べによると、山崎容疑者は2024年10月、異動先の世田谷区にある玉川支店にて、60代男性の貸金庫から現金1650万円を盗んだ疑いが持たれている。
現金盗難の犯行手口とは
山崎容疑者の手口は巧妙だった。警視庁によると、山崎容疑者は練馬支店から玉川支店に異動する際、貸金庫のマスターキーと顧客の鍵、それぞれのスペアキーを持ち出していたという。
これらの鍵を用いて、山崎容疑者は玉川支店で顧客の貸金庫に侵入し、現金1650万円を盗み出したとみられている。この玉川支店で盗んだ現金は、練馬支店時代に盗んだ現金の「穴埋め」にあてたという見解が見られている。
被害総額は17億円以上か
警視庁は、山崎容疑者が異動前後に行った貸金庫からの窃盗により、被害総額は現金で10億円以上、金塊で7億円相当にのぼるとみている。これは日本国内の銀行員による貸金庫窃盗事件としては極めて異例の規模だ。
三菱UFJ銀行の対応と今後の見通し
三菱UFJ銀行は貸金庫窃盗事件に関して、2024年12月16日、半沢淳一頭取が記者会見を開き、「お客様の信頼を裏切る事態となり、深くお詫び申し上げます」と謝罪し、被害に遭われた顧客への補償を進めるとともに、再発防止策として貸金庫の管理体制の見直しや、予備鍵の本部一括保管などの対策を講じる方針を示していた。
ただ、今回のように未だ明るみに出ていない事件もあるのかもしれない。また、大きく公表されていないだけで同様の事件も起きている可能性もある。実際にみずほ銀行では過去に起きた事件の発表が最近になって公表されているという事例もあるのだ。
まとめ
三菱UFJ銀行の元行員による貸金庫窃盗事件は、金融機関における内部管理の脆弱性を浮き彫りにした。警視庁は今後、山崎容疑者の供述をもとに、他の支店でも類似の犯行が行われていなかったか調査を進める方針だ。4度目がないことを願うばかりだ。
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