
山梨県の富士急ハイランドで、アトラクション「ええじゃないか」の点検作業中に男性従業員が車両にひかれる事故が発生した。搬送時には意識がなかったという。人気テーマパークとして知られる富士急ハイランドの安全管理や今後の対応について詳しく解説する。
富士急ハイランドで点検中の事故発生
山梨県富士吉田市の遊園地「富士急ハイランド」で2月28日、アトラクション「ええじゃないか」の点検作業を行っていた男性従業員が車両にひかれる事故が発生した。UTYテレビ山梨によると、事故は正午前に発生し、通報を受けた消防が現場に駆けつけた。男性はドクターヘリで甲府市内の病院に搬送されたが、搬送時には意識がなかったという。
富士急ハイランドによると、事故が起きた「ええじゃないか」は点検作業のため営業しておらず、一般の来園者には影響がなかった。しかし、作業員が点検中にアトラクションの車両と接触するという事態は、遊園地における安全管理の在り方を問うものとなる。
人気テーマパーク・富士急ハイランドの現状
富士急ハイランドは、国内外から多くの来園者を集める人気テーマパークであり、特に絶叫系アトラクションの豊富さが特徴である。2023年7月に導入されたバイク型コースター「ZOKKON」は、2025年1月時点で累計搭乗者数100万人を達成しており、新たな目玉アトラクションとして注目されている。
さらに、ジェットコースター「FUJIYAMA」や「高飛車」などの人気アトラクションに加え、家族向けの「トーマスランド」や「リサとガスパール タウン」なども併設されており、幅広い層の来園者に支持されている。入園無料の方針を取ることで、気軽に訪れやすい環境を整えている点も、同園の集客力を支えている。
事故の背景と安全管理の課題
富士急ハイランドでは過去にも安全性に関する問題が指摘されてきた。2021年にはジェットコースター「ド・ドドンパ」において、乗客が首の骨を折るなどの事故が相次いだ。国土交通省の調査部会は、車両の揺れの周波数が乗客の首に過度の負荷を与えたことや、乗客が適切な姿勢を取れていなかったことが原因とする報告書をまとめている。
富士急ハイランドは過去の事例を踏まえ、アトラクションの安全管理の徹底を進めてきたが、今回の事故は従業員の作業環境におけるリスクを浮き彫りにした。点検作業は通常、安全管理のもとで実施されるが、作業員の動線や安全確保の仕組みが十分であったのかが今後の焦点となる。
今後求められる安全対策と企業の対応
今回の事故を受け、富士急ハイランドは改めて従業員の安全確保に向けた対応を求められることになる。遊園地のアトラクション点検作業では、通常、複数のスタッフが関与し、作業手順に従って点検が進められる。しかし、今回のような事故が発生したことを踏まえると、作業時の安全管理体制やチェック体制が十分だったのかを慎重に検証する必要がある。
また、遊園地全体としても、従業員の安全管理を強化するための取り組みが求められる。今後は作業手順の見直しや安全対策の強化、研修制度の充実などが必要となるだろう。来園者の安全確保はもちろんのこと、従業員が安心して作業できる環境の整備が、企業の信頼回復につながる重要な課題となる。