
フジ・メディア・ホールディングス(HD)の金光修社長(70)は2月27日、都内で記者会見を開き、同社の取締役相談役である日枝久氏(87)が自宅で転倒し、腰椎を圧迫骨折したことを明らかにした。日枝氏は先週末から入院しており、同日に行われた取締役会も欠席した。
入院の背景と経営諮問委員会の辞任
日枝氏は今月20日、都内で営まれたヤクルト本社の衣笠剛代表取締役会長CEOオーナー代行の通夜には参列していたが、その後自宅で転倒し負傷したという。金光氏は「現在入院中であり、療養に専念している」と説明した。
同日、フジ・メディアHDは日枝氏が経営諮問委員会の委員を辞任したことも発表した。経営諮問委員会は、社外3人、社内2人の委員で構成され、取締役会からの諮問を受けて意見を述べる役割を担っているが、決定権はない。金光氏によると、1月27日付で前代表取締役会長の嘉納修治氏が辞任しており、それに伴い日枝氏にも辞任を促したという。「常に組織は最適な形にするべきであり、代表取締役会長が交代したこの機会に経営諮問委員会も刷新した方が良いと考えた。日枝氏も『ふたつ返事』で承諾した」と説明した。
有識者の見解:フジ・メディアHDの経営刷新は進むのか?
広報支援の専門家である下矢一良氏は、今回の日枝氏の辞任について「取締役の選任・解任、報酬を決定する経営諮問委員会の委員を退いたものの、フジ・メディアHDの取締役相談役の立場には変わりがない。しかし、これを機に完全な経営刷新が進む可能性もある。あとは、よくわからない任意団体・フジサンケイグループの代表職がどうなるか」と指摘した。
また、メディア評論家で同志社女子大学教授の影山貴彦氏は「今回の辞任は部分的なものであり、フジテレビの経営から完全に身を引くことこそが、視聴者やスポンサーからの信頼回復につながる」との見解を示した。「これまでのフジテレビの経営体制において、日枝氏の影響力は依然として大きく、経営改革の本質的な進展には、さらに踏み込んだ人事改革が求められる」とも述べている。
SNSの反応:賛否が分かれる日枝氏の入院と辞任
SNS上では「年齢的に考えても、経営の第一線から完全に退くべきだ」「骨折での入院を理由に、説明責任から逃れているのでは」といった批判的な声も見られる。過去には、企業経営者や政治家が不祥事に関する説明責任を回避するために入院するケースもあり、一部のユーザーは今回の入院を「雲隠れではないか」と疑う声も挙げている。
また、「フジサンケイグループの代表職はどうなるのか」「フジテレビが本格的に立て直すためには、日枝氏の影響を完全に排除すべきでは?」といった意見も散見される。
今後の展開:フジ・メディアHDの行方
日枝氏は1980年代からフジテレビの経営に関与し、同社の発展に寄与してきた。しかし近年は視聴率低迷や経営不振など課題も山積しており、「本格的な改革を進めるには、さらなる経営刷新が不可欠」との声が強まっている。フジ・メディアHDの経営改革が今後どのように進むのか、引き続き注目される。