24日、大手日用品メーカーのライオンがフジテレビにCM差し替えの補償を求めたことがわかった。
この措置に、スポンサー各社の動向が注目されている。
ライオン、フジテレビに補償請求へ
共同通信によると、大手日用品メーカーのライオンがフジテレビに対し、CM差し替えによる損害補償を求めていく方針を表明した。
広告代理店を通じての補償請求は異例の措置であり、広告業界やスポンサー企業に波紋を広げている。背景には、芸能人の中居正広氏の女性トラブルを巡る報道があり、同局の対応に問題があったとライオンが判断したことがある。
今回の決断を受け、他のスポンサー企業にも影響が広がる可能性がある。
背景にある中居氏のトラブルとCM差し替えの経緯
事態の発端は、芸能界を引退した中居正広氏と女性とのトラブルが一部週刊誌で報じられたことだった。この問題にフジテレビの社員が関与していたとの報道も重なり、同局は一部の広告枠をACジャパンの公共広告に差し替えた。CM差し替えにより、ライオンをはじめとするスポンサー企業の広告は予定通り放送されなかった。
通常、契約済みの広告枠については、出稿費用の返還は行われない。しかし、ライオンはこれに異を唱え、同局の対応に責任があるとして補償を求める決断に踏み切ったとみられる。同社は1月20日、公式SNSに「状況を総合的に判断し、当面の間フジテレビでのCM放映を差し止めている」との文書を掲載した。
他スポンサーにも波及する可能性
ライオンの補償請求表明は、広告主とメディアの関係に一石を投じる動きといえる。
これまでスポンサー企業が補償を公然と求めた例は少なく、今回の事態は異例だ。
今後、同じ理由でCMを差し替えられた他のスポンサー企業も、補償を求める動きに追随する可能性が指摘されている。
フジテレビにとって、スポンサー離れが加速すれば経営に深刻な打撃となることは避けられない。CM出稿はテレビ局の主要な収入源であり、企業がリスクを懸念してフジテレビでの広告を控える事態に発展すれば、影響は長期化する恐れがある。
対応次第で広がる波紋、広告業界全体への影響も
今回の補償請求問題は、単にフジテレビとライオンの間にとどまらず、広告業界全体に影響を及ぼす可能性がある。特に、メディア対応の在り方や広告契約におけるリスク管理が注目されるだろう。
共同通信の報道によると、フジテレビは24日、「補償に応じるかどうかを含め、個別の営業活動に関することにはお答えできない」とコメントしている。
事態の早期収拾を図ることが同局にとって急務だが、対応次第ではスポンサー各社の信頼をさらに失う可能性もある。
今回の事例は、スポンサー企業のリスク意識が高まる契機となり得る。広告主がメディア選定において慎重な姿勢を取るようになれば、広告業界全体で契約形態やトラブル対応の見直しが進むことも考えられる。
いずれにせよ、フジテレビには早急な返答が求められるだろう。
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