食品ロス削減と企業理念を両立
ダノンジャパンは2025年から、国内で製造するヨーグルト全製品の賞味期限を延長すると発表した。独自の乳酸菌と厳しい品質管理により、安全性を確保しつつ賞味期限を延長することで、食品ロス削減を推進する。
これは、社会や環境に配慮した企業に与えられる「B Corp」認証を取得している同社の企業の在り方に基づく取り組みの一環と思われる。
食品ロス削減へ、農水省の呼びかけに応える
ダノンジャパンでは従来から、一般的なヨーグルトよりも長めの賞味期限を設定している。これは、時間が経っても酸っぱくなりすぎず、まろやかな酸味を保つことができる独自の乳酸菌を選定。さらに、時間の経過に伴って増加する乳清(ヨーグルトの上にたまる水分)やフルーツの色の変化などを抑える工夫を凝らし、厳格な製造プロセスや品質管理を行ってきたためだ。
そして今回、食品ロス削減の推進に向けた農林水産省の呼びかけを受け、賞味期限延長の保証をするための試験を実施。その結果、延長しても安全・品質に問題ないことを確認できたため、今回の決定に至った。
「B Corp」認証取得企業として、SDGs目標の達成に貢献
ダノンは、2025年までに世界中のダノンの子会社がB Corp認証を取得することを目指している。ダノンジャパンは、日本の日用品・食品業界では初めて、2020年5月にB Corp認証を取得した。当時、日本ではまだ認知度が低かったB Corp認証だが、ダノンジャパンの取得をきっかけに、多くのメディアで取り上げられるようになり、その名が広く知られるようになった。
B Corp認証とは、環境や社会への配慮だけでなく、企業統治や従業員に対する配慮など、事業活動全体において厳しい評価基準をクリアした企業にのみ与えられる国際的な認証制度だ。世界的に関心が高まるSDGsの目標達成に貢献できる企業として、その取り組みが認められたと言えるだろう。
「One Planet. One Health」の企業理念を体現
ダノンは、「世界中のより多くの人々に、食を通じて健康をお届けする」というビジョンを掲げている。その実現のために、「人々の健康と地球の健康は相互につながっている」という考えに基づいたビジョン「One Planet. One Health」を掲げ、食品ロス削減に取り組んでいる。
今回の賞味期限延長は、このビジョンを体現するものであり、同社の企業姿勢を明確に示すものと言えるだろう。
<賞味期限延長の対象ブランドおよび延長内容>
編集者コメント
今回のダノンジャパンの取り組みは、食品ロス削減に向けた大きな一歩と言えるだろう。独自の技術と厳しい品質管理によって賞味期限を延長することで、消費者はこれまで以上に安心してダノンのヨーグルトを楽しめる。
また、今回の取り組みは、企業が社会的な責任を果たすことの重要性を改めて示すものと言える。安全が確認できる範囲で賞味期限を延長することは、まだ食べられる食品が廃棄される量を減らし、持続可能な社会の実現に貢献する。
消費者が賞味期限と消費期限の違いを正しく理解し、過剰に賞味期限を気にすることなく食品を選ぶようになることも重要だ。ダノンジャパンの今回の取り組みが、他の企業にも波及していくことを期待したい。