
消費期限偽装問題の発覚と詳細
2025年8月、ミニストップは全国25店舗で店内製造のおにぎり、弁当、惣菜の消費期限表示を偽装していたことを公表した。対象は東京、埼玉、愛知、京都、大阪、兵庫、福岡など7都府県に及んだ。
手口は調理後すぐにラベルを貼らず、数時間から最長14時間程度放置した後に遅い時間のラベルを貼る、または一度店頭に並べた商品を引き上げて新しいラベルを重ね貼りするなどだった。発覚のきっかけは同年6月24日に実施された第三者機関による抜き打ち衛生調査だった。ラベルの重ね貼りが発見され、自主調査で全国25店舗に拡大したことが判明したが会社側は本部からの組織的指示は一切なかったと強調し、各店舗のオーナーや従業員の独自判断によるものだったと説明した。
偽装の背景には廃棄ロス削減や現場の労働負担軽減があったとみられる。同問題を受け、ミニストップは8月9日から全店で手づくりおにぎりや弁当の販売を中止し、18日には店内加工惣菜も対象に拡大した。創業以来の強みである店内調理を全面停止する異例の措置となった。10月から順次販売を再開したが、2026年2月末時点で再開店舗は772店と全体の約4割にとどまっている。再発防止策として厨房内への監視カメラ設置や時間帯制御型ラベル発行機の導入、全従業員向け研修を進めている。
偽装問題が招いた業績への深刻な影響
消費期限偽装問題はミニストップの業績に深刻な打撃を与えた。2026年2月期の営業総収入は917億8800万円と前年比4.9パーセント増となったものの、営業損失は36億1000万円、経常損失は30億6700万円、親会社帰属当期純損失は56億3000万円となった。
前期の最終赤字67億7400万円から赤字幅は縮小したものの、3期連続の最終赤字を確定させた。当初会社は7000万円の黒字を予想していたが、問題発覚後の1月時点で60億円赤字に下方修正していた。店内調理品の販売中止により高付加価値商品の売上が落ち込み、関連購買も減少した。特に店内加工ファストフード部門の日販は9.0パーセント減と大きな打撃を受けた。既存店日販全体も2.2パーセント減、客数は3.8パーセント減、問題による影響額は営業利益ベースで約14億円と試算された。
販売休止に伴う客離れや再発防止のための設備投資、加盟店支援費用などが重なった。また不採算店舗の閉店加速により特別損失13億8500万円を計上した。2026年2月期中に出店9店に対し閉店64店と純減55店となり、構造改革を進めた。
ミニストップの店舗数推移と現状
ミニストップの国内店舗数はピーク時約1855店前後を記録した後、減少傾向にある。2026年2月末時点の国内店舗数は1793店となった。海外のベトナム事業を合わせた総店舗数は1972店だ。
2026年2月期中の動きでは出店9店に対し閉店64店と大幅な純減となった。不採算店舗の整理が主な理由で、偽装問題による業績悪化が閉店ペースを加速させ月次の推移を見ると2025年8月末時点で1817店だったものが、2月末には1793店まで減少している。同社は直営店比率を高めつつ、パートナーシップ契約店舗の拡大も進めている。
また小型無人店舗のMINISTOP POCKETは1787拠点に達した。ベトナム事業は179店で赤字幅の縮小を目指している。全体として店舗網のスリム化を図りながら、既存店の活性化に注力する方針だ。
根強い人気を支える独自の商品力
ミニストップには消費期限偽装問題後も根強いファン層が存在する。特に北海道産生乳と生クリームを使ったソフトクリームは長年の人気商品だ。2025年には大幅リニューアルを行い、従来のバニラ味からミルク感を強調した北海道ミルクソフトに進化した。
季節限定フレーバーとしてあまおう苺やシャインマスカット、安納芋、和栗モンブランなどが登場するたびにSNSで話題を集めている。店内調理のファストフードも魅力の一つだった。Xフライドポテトやクランキーチキン、ジューシーチキンなどは注文後に揚げ直す店舗が多く、できたての食感が支持を集めていた。
おにぎりや弁当、惣菜の販売再開が進むことで、この強みが再び発揮される可能性がある。イートインスペースの充実も差別化ポイントだ。全店舗にイートインを完備し、ソフトクリームやパフェをその場で楽しめるゆるやかな雰囲気は、他の大手コンビニとは異なる憩いの場を提供している。
ゆるキャラのミミップくんもファン層を広げている。SNSでは問題発覚後も「ソフトクリームが好きで応援している」「近くに店舗があってほしい」といった声が目立つ。
今後の課題と信頼回復への取り組み
ミニストップは今後、信頼回復と業績改善に取り組む方針だ。店内調理品の販売再開をさらに進め、厨房監視カメラや新ラベル発行機の導入を全店に拡大する。再教育プログラムや内部通報窓口の強化も継続する。商品面では菓子や飲料、ベーカリー、デリカの強化、店舗改装によるMD改革を進める。
不採算店舗の閉店を続けつつ、既存店の活性化に注力する。イオングループのシナジーを活かした商品開発も期待され、2027年2月期の見通しは依然として厳しい状況が続く可能性が高いが、販売再開の進展とファン層の支持が回復の鍵となる。食の安全安心を最優先に、店内調理という独自モデルの再構築が求められている。



