
スマートフォンの画面をのぞき込む時間が、いつの間にか生活の中心になってはいないか。厚生労働省の依存症対策事業として国立病院機構久里浜医療センターがまとめた調査で、10~20歳代の6%がSNSの「病的使用」の疑いに該当することが明らかになった。家庭内トラブルや不登校との関連も示唆されるなか、問題は単なる“長時間利用”ではなく、コントロール不能という状態にある。若者のSNS依存はどこまで進んでいるのか。チェックリストと特徴から、その実態と向き合い方を探る。
10~20歳代で6%、「病的使用」疑いが浮上
SNSの利用について、依存性が高い「病的使用」が疑われる人が10~20歳代で6%に上った。読売新聞オンラインによると、国立病院機構久里浜医療センター(神奈川県)がまとめた調査報告書で明らかになり、国内人口に換算すると約140万人規模とされる。30歳代以上は0~1%台にとどまり、若年層で突出しているという。
内訳は、10歳代で男性7.1%、女性7.5%、20歳代で男性4.8%、女性5.0%だった。年齢が若いほど割合が高い傾向が示された。
判定基準は「時間」より「コントロール不能」
SNS依存には正式な病名がない。そのため今回の調査では、海外の検査を参考に、複数の項目で依存傾向を評価したという。厚生労働省も、久里浜医療センターが補助事業として全国調査を進めていることを案内している。
久里浜医療センターも、厚生労働省の補助を受けた調査報告書の公表を告知している。
SNS病的使用セルフチェックリスト(SMDS、目安)
久里浜医療センターが公開している「ソーシャルメディア障害スケール(SMDS)」は、過去1年間の利用について、次の項目を「はい/いいえ」で確認する形式である。
- SNSを再び使える時間のほかは何も考えられないと、いつも思っていた
- より長い時間SNSを使いたいのに使えず、いつも不満を感じていた
- SNSを使えない時に、しばしば気分が悪くなっていた
- SNSの時間を減らそうとしたが、うまくいかなかった
- SNSを使いたいため、他の活動(趣味やスポーツなど)をいつもおろそかにしていた
- SNS使用のために、いつも他者と口論していた
- SNSに費やした時間について、両親や友人にいつも嘘をついていた
- 嫌な気持ちから逃れるために、しばしばSNSを使っていた
- SNS使用のために、家族・友人などとの間で深刻な衝突があった(年齢により設問が分かれる)
評価は「はい」=1点、「いいえ」=0点で合計し、合計5点以上の場合、SNS依存が疑われるとしている。
これは自己確認の目安であり、医療機関での診断そのものではない。
家庭内トラブルや不登校との関連
読売新聞オンラインによると、「病的使用」が疑われる人のうち、27%がSNSなどの使用を巡り「家族に暴言を吐いたり、暴力を振るったりした」と回答した。一方で「家族から暴言を吐かれたり、暴力を受けたりした」も19%に上ったという。さらに、「30日以上学校を休んだ」は6%、「6か月以上続けて自宅に引きこもっていた」は5%だったとされる。
ただし、こうした数字は「SNSが原因で起きた」と断定するものではなく、関連が示唆されるという位置づけで読む必要がある。
インターネット全体の依存傾向は14.5%に拡大
同じ報道では、ゲームやメールなどインターネット全体の「病的使用」疑いは10~20歳代で14.5%に上り、同センターが2018年度に同年代を対象に調査した際の6.2%から増えたとしている。ネット利用の低年齢化が進む中で、問題の裾野が広がっている構図が見える。
依存しやすい人の特徴
依存は意志の強弱だけで説明できない。読売新聞オンラインによると、久里浜医療センターは背景として孤独や対人関係への不安などを挙げ、学校や家庭、地域が連携して適切な利用方法を指導する必要があるとしている。
一般に依存に傾きやすいのは、孤独感が強い、自己肯定感が低い、対人不安が強い、衝動的に反応しやすい、睡眠不足や生活リズムの乱れがある、ストレス対処がSNSに偏っている、といった要素が重なった場合である。SNSが気分調整の手段として固定化すると、コントロールが難しくなりやすい。
依存しにくい人の特徴
一方で、オフラインの人間関係が安定している、自己評価が外部反応に左右されにくい、利用目的が明確で漫然と開かない、時間の枠を決めて守れる、気分転換の手段が複数ある人は、依存に傾きにくい。SNSを生活の中心ではなく補助的な道具として扱えるかどうかが分かれ目になる。
本人と周囲が取れる現実的な対策
本人が「使いすぎかもしれない」と感じた場合は、まず利用の可視化(利用時間や回数の確認)から始め、通知を切る、就寝前は触らない時間を作る、置き場所を変えるなど、衝動的に開く導線を減らすことが現実的だ。完全禁止より、段階的に整えるほうが反動が出にくい。
周囲が心配する場合は、頭ごなしに制止するより、睡眠不足、遅刻、欠席、家族との衝突など生活への影響に焦点を当て、「困っているなら一緒に考えたい」と味方である姿勢を示すほうが、相談につながりやすい。



