
世界29か国を対象とした最新調査で、日本人の恋愛や性生活、愛されている実感の満足度が世界最下位という衝撃の結果が出た。世界平均で8割が「愛」を感じる中、なぜ日本だけが沈むのか。調査データから浮き彫りになった世代・所得による「幸福格差」の正体に迫る。
世界は「愛」であふれている?日本人が直面する孤独な現実
世界最大規模の世論調査会社イプソス(Ipsos)が発表した「恋愛満足度調査 2026(Ipsos Love Life Satisfaction 2026)」の結果は、多くの日本人にとって目を背けたくなるような現実を突きつけている。
この調査は、2025年末から2026年初頭にかけて、日本を含む世界29か国の成人23,268人を対象に実施されたものだ。まず目を引くのは、世界全体(29か国平均)のポジティブな傾向である。イプソスのデータによると、世界平均では実に82%の人が「パートナーや配偶者との関係」に満足しており、77%が「自分は愛されている」と感じているという。

しかし、この華やかな数字の裏側で、日本は極めて異質な立場に置かれている。今回の調査においても、日本は「愛されていると感じること」および「恋愛や性生活」の満足度において、調査対象となった29か国の中で再び最下位を記録した。
「愛されている」と答えた日本人はわずか51%、メキシコとは35ポイントの差
具体的な数字を見ていくと、その差は歴然だ。「自分は愛されていると感じる」という項目において、世界トップのメキシコは86%が肯定的な回答をしている。これに対し、日本はわずか51%にとどまっている。

つまり、日本人の約2人に1人は「自分は愛されている」という確信を持てずに日々を過ごしていることになる。この51%という数字は、29か国平均の77%を大きく下回るだけでなく、日本と同じく満足度が低い傾向にある韓国(60%)と比較しても顕著に低い。
また、イプソスが定義する「恋愛満足度指数」(愛、ロマンス、人間関係に関する3つの質問の平均スコア)において、日本は51ポイントで最下位。トップのタイ(86ポイント)や2位のインドネシア(85ポイント)とは、埋めがたいほどの「幸福の溝」が存在している。
恋愛・性生活の満足度:若者よりも「ミレニアル世代」が謳歌する世界
恋愛や性生活に対する満足度についても、同様の傾向が見られる。世界平均では60%(5人中3人)が満足していると回答しているが、日本では「とても満足している」と答えた人はわずか6%、「ある程度満足している」を含めても33%にすぎない。

興味深いのは、世代別のデータだ。イプソスの調査によると、恋愛や性生活に最も満足しているのは「ミレニアル世代(1980〜1995年生まれ)」である。この世代は世界平均で65%が満足と回答しており、Z世代(57%)やベビーブーマー世代(55%)を上回っている。
ミレニアル世代は現在30代から40代半ばにあたり、ライフステージとして安定した人間関係を築いている層が多いことが要因として考えられる。しかし、日本国内に目を向ければ、どの世代においても満足度が低迷している事実は変わらない。

「金で愛は買えない」は本当か?高所得世帯ほど高い満足度の現実
今回の調査結果で最もシビアな事実を物語っているのが、「所得」と「愛の実感」の相関関係である。イプソスは「お金で文字通り愛を買うことはできないが、所得水準は無関係ではないようだ」と分析している。

データによると、高所得世帯の82%が「愛されている」と感じているのに対し、低所得世帯では72%にとどまっている。さらに「恋愛・性生活の満足度」においてはその差がより顕著になり、高所得層の68%が満足と答える一方で、低所得層は52%と、14ポイントもの開きが生じている。
経済的な余裕が精神的な余裕を生み、それがパートナーとの関係性や自己肯定感(愛されているという実感)に影響を及ぼしている可能性は否定できない。日本において未婚化や少子化が加速する背景に、この「経済力と恋愛満足度の相関」が影を落としていると推測することは容易だ。
「結婚」は幸福への切符か?既婚者と未婚者の明確な格差
さらに、人間関係の形態も満足度を大きく左右している。調査によると、「結婚している人」の72%が恋愛や性生活に満足しているのに対し、「未婚の人」では50%にとどまっている。また、「愛されている」と感じる割合も、既婚者の83%に対し、未婚者は72%と、明らかな差が出ている。
パートナーの存在が孤独感を和らげ、幸福度を高める要因となっていることは確かだが、そもそも「パートナーを見つけ、関係を維持する」ための土壌が、現在の日本社会でどれほど整っているのかを再考する必要があるだろう。
なぜ日本は「最下位」から抜け出せないのか
イタリアやフランスといった「情熱的な愛」のイメージが強い国々でさえ、今回の恋愛満足度指数では下位10位以内に沈んでいる。しかし、それでも日本(51ポイント)や韓国(60ポイント)の低さは際立っている。

日本がこれほどまでに低迷する理由について、調査レポート内では詳細な文化背景までは言及されていないが、データが示す「2025年比での下落」は見過ごせない。日本の「愛されている」という実感の満足度は、前年から5ポイント低下している。
急速な物価高や不透明な経済先行き、あるいはSNSの普及による他者との比較など、現代日本特有の閉塞感が、個人の最もプライベートな領域である「愛」にまで浸食しているのかもしれない。
幸福の再定義が求められる時代に
イプソスの「恋愛満足度調査 2026」は、日本人が世界で最も「愛の欠乏」を感じている可能性を浮き彫りにした。8割が満足している世界標準から、5割しか満足していない日本へ。このギャップは、単なる文化の違いとして片付けるにはあまりに大きい。
私たちが「豊かさ」を測る際、GDPや平均年収といった経済指標にばかり目を向けがちだが、この調査が示す「愛されているという実感」や「パートナーとの良好な関係」こそが、真の生活の質(QOL)を決定づけるのではないか。
世界最下位という結果を、私たちはどう受け止めるべきか。それは、社会全体で「個人の幸福」を見つめ直し、愛やロマンスを享受できる精神的・経済的な余白をどう取り戻していくかという、重い問いかけである。



