
大みそかの夜、NHKホールのステージには20年の歴史を背負ったOGたちが並んだ。スポットライトを浴び、割れんばかりの歓声に包まれるAKB48。だが、その列の中に、かつて“神7”と呼ばれた一人の姿はなかった。篠田麻里子である。
紅白不在が突きつけた現実
結成20周年を記念した第76回NHK紅白歌合戦で、AKB48は6年ぶりに出場を果たした。前田敦子や高橋みなみ、大島優子ら往年の中心メンバーが集結する一方、同じく神7だった篠田の不在は、SNSを中心に波紋を広げた。
週刊誌報道では、不倫疑惑報道以降のイメージ悪化や、グループ内での関係性が影響した可能性が指摘されている。事実かどうかは別として、「呼ばれなかった」という結果そのものが、現在の立ち位置を如実に物語っている。
体当たり演技、その先が続かなかった
女優としての篠田が大きな注目を浴びたのは、2024年放送のテレビ朝日系ドラマ『離婚しない男―サレ夫と悪嫁の騙し愛―』だった。不倫に溺れる妻役を演じ、濃厚なキスシーンも辞さない姿勢は、「元トップアイドル」の殻を破る挑戦として評価された。
しかし、そのインパクトは長く続かなかった。以降の出演は配信ドラマや深夜枠が中心で、ゴールデン・プライム帯での起用は見られていない。テレビ情報誌編集者は「一度貼られたイメージを更新するまでには至らなかった」と分析する。
数字が示す“現在地”
YouTubeでも苦戦は明らかだ。離婚後に一度閉鎖されたチャンネルは、2024年11月に「篠田麻里子と。」として再始動したものの、登録者数は約13万人、再生回数は数千〜1万回前後にとどまる。
かつて登録者約15万人、総再生2700万回を超えていた時代と比べると、影響力の低下は否定できない。数字は、芸能人としての「今」を冷酷に映し出している。
母として過ごす、静かな時間
一方で、SNSには別の顔がある。娘と手をつないで田植えをする姿、キッチンで一緒にマフィンを焼く動画。そこにあるのは、AKB時代には想像もできなかった等身大の日常だ。
派手さはないが、温度のある暮らし。コメント欄には「癒やされる」「ママとして応援したい」といった声も並び、一定の支持層を形成している。
引退も考えた過去、それでも立ち止まらない
2025年2月放送のダマってられない女たち(ABEMA)で、篠田は離婚騒動当時を「人生でいちばんつらかった時期」と振り返った。仕事はほぼゼロになり、「消えて」といった言葉も向けられたという。それでも芸能界を完全に去る決断はしなかった。
番組内で語られた「バッシングされている中で、よりバッシングされに行く恐怖があった」という言葉は、女優として再起を懸けた覚悟そのものだった。
再浮上の鍵は“元アイドル”を脱ぎ捨てられるか
紅白復帰や華やかな女優街道は、現時点では見えにくい。それでも、個人事務所で仕事を選び、母としての生活を大切にしながら、挑戦を続ける姿には独特のリアリティがある。
元トップアイドルが一度転落したあと、どのように生き残るのか。その過程をさらけ出している点で、篠田麻里子は今、芸能界の“裏側”を体現する存在になりつつある。再び脚光を浴びる日は来るのか。その答えは、まだ時間の中にある。



