
日曜朝9時半。テレビの前に広がったのは、いつもと同じはずのヒーロー番組の時間だった。しかし、その空気はどこか違っていた。
『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー』最終話の放送は、子ども向け番組の枠を超え、日本の特撮文化が積み重ねてきた50年に静かに幕を下ろす瞬間でもあった。
最終話が描いた「戦いの終わり」と「選び直し」
最終話「我ら、ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー!」で描かれたのは、勝者の凱旋ではなかった。
遠野吠/ゴジュウウルフ(冬野心央)は、指輪争奪戦のナンバーワンとなりながらも、再び宿敵ファイヤキャンドル(三本木大輔)と対峙する。
激しい戦闘の最中、吠の脳裏をよぎるのは、陸王、竜儀、禽次郎、角乃、真白と過ごした日々だった。はぐれ者として生きてきた自分にとって、彼らは何だったのか。戦いの先に、本当に欲しいものは何だったのか。
その問いの末に吠が選んだ願いは、「指輪争奪戦をやり直すこと」だった。
素面名乗りが象徴した50年の記憶
クライマックスで披露されたのは、変身前の姿で名乗る“素面名乗り”。
「我ら、ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー!」。
派手な必殺技ではなく、人の声と姿で締めくくられた名乗りは、1975年に始まったスーパー戦隊の原点を思い起こさせる演出だった。
『秘密戦隊ゴレンジャー』から半世紀。戦隊とは何か、その答えを静かに提示する一幕となった。
視聴者が感じた「喪失」と「感謝」
放送後、SNSやコメント欄には「寂しい」「ありがとう」という言葉が並んだ。
ゴレンジャー世代、デンジマン世代、ギンガマン世代、そしてゴジュウジャー世代まで。三世代、四世代にわたって共有されてきた“日曜朝の共通体験”が終わることへの戸惑いが、数多くの声として可視化された。
制作途中でのキャスト交代という困難を抱えながらも完走した現場への評価も高く、「最後まで諦めない」という戦隊の信念そのものを体現した作品だったという声も目立った。
スーパー戦隊終了、その先へ
スーパー戦隊シリーズは本作で一区切りとなり、2月15日からは新特撮枠【PROJECT R.E.D.】が始動する。第1弾は『超宇宙刑事ギャバン インフィニティ』だ。
テレビ朝日社長は定例会見で「50年を一つの区切りに、新たなヒーロー像を模索したい」と説明している。
終わりは、終焉ではない。戦隊が築いた物語の型と精神は、形を変えながら次の時代へと引き継がれていく。



