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一服で意識喪失も──海外で社会問題化「ゾンビたばこ」、日本の日常に忍び寄る危険

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煙
PhotoACより

繁華街の路地裏。白い蒸気を吐き出した直後、若者の足が止まった。視線は虚ろで、体は小刻みに震える。周囲が声をかけても反応は鈍く、やがて膝から崩れ落ちた。
こうした光景が、もはや誇張ではなくなっている。電子たばこという身近な存在を入り口に、危険ドラッグが静かに日常へと浸透している。その正体が「ゾンビたばこ」だ。

 

 

逮捕劇で浮かび上がった“氷山の一角”

社会の関心を一気に集めたのは、広島東洋カープの内野手、羽月隆太郎容疑者の逮捕だった。だが、この事件は決して特異な例ではない。
問題の本質は、「ゾンビたばこ」と呼ばれる危険ドラッグが、すでに私たちの生活圏に入り込み、誰の身にも起こり得る段階に達している点にある。

 

ゾンビたばこの正体──未承認成分「エトミデート」

ゾンビたばこに含まれているのが、エトミデートと呼ばれる成分だ。エトミデートは海外では手術時の鎮静剤や麻酔導入薬として使われることがあるが、日本国内では医療用として承認されていない。
この未承認成分が電子たばこのリキッドに混入され、吸引されている実態が確認されている。厚生労働省は2024年5月、エトミデートを「指定薬物」に追加し、所持や使用、販売を禁止したが、摘発や救急搬送の事例は後を絶たない。

 

吸った直後に起こる異変──意識と身体が奪われる

エトミデートは中枢神経の働きを強く抑制する。吸引後、意識は急速にぼんやりとし、判断力が著しく低下する。会話が成立しなくなり、周囲の状況を理解できなくなることも多い。
やがて歩行が乱れ、まっすぐ立っていられなくなる。手足のしびれや震え、重い場合には痙攣が起こり、外見上は酒に泥酔したような状態に見える。強烈な眠気に襲われ、そのまま意識を失うケースも報告されている。こうした様子が「ゾンビのようだ」と形容される所以だ。

 

後から襲う“見えないダメージ”──ホルモン異常のリスク

ゾンビたばこの怖さは、即時的な症状だけでは終わらない。エトミデートは副腎に作用し、血圧やストレス対応に不可欠なホルモンの生成を抑えてしまう。
その結果、強い倦怠感や低血圧、めまい、意識障害といった症状が現れるおそれがある。一時的な使用であっても影響が出る可能性が指摘されており、医療現場では本来、極めて慎重に扱われてきた薬剤だ。

 

アジアで先行する社会問題、日本も例外ではない

ゾンビたばこは日本だけの問題ではない。台湾や中国、タイ、シンガポールなどではすでに若者を中心に乱用が広がり、社会問題化してきた。
「短時間で強く酔える」「酒より安い」といった誤った情報が拡散し、被害を拡大させた経緯がある。日本でもSNSを通じた売買が確認されており、同じ道をたどる懸念は拭えない。

 

なぜ広がるのか、問われる社会の側

背景には、好奇心だけでなく、孤立感や将来への不安、現実から一時的に逃れたいという心理があるとみられる。だが、その代償はあまりにも大きい。健康被害に加え、刑事責任や社会的信用の失墜が待ち受け、人生そのものを狂わせかねない。

警察や行政は、誘われたら断り、その場を離れるよう呼びかけている。電子たばこという「普通」の器具を使うからこそ、危険性は見えにくい。
一度の好奇心が、取り返しのつかない一線を越える。その現実を直視することが、いま求められている。

 

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ライター:

広告代理店在職中に、経営者や移住者など多様なバックグラウンドを持つ人々を取材。「人の魅力が地域の魅力につながる」ことを実感する。現在、人の“生き様“を言葉で綴るインタビューライターとして活動中。

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