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アジア企業で増える「AIによる人事評価」 人間の心・未来のキャリアはどう変わるか

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AIが人事評価する時代

「AIが社員の評価を決める時代が来るのか」。

そんな問いが、シンガポールの企業、インドや中国のHR現場で静かに広がっている。

人事評価や昇進・配置判断にAIを導入する企業が増え、HR(Human Resources=人事)部門の業務自体が変わりつつある。専門家は効率性を高く評価する一方で、「透明性や公平性は本当に担保できるのか」といった懸念も指摘している。

 

HRの“AI化”はアジアで先行

シンガポールを中心に、HR分野でAI活用が急速に進んでいる。人事専門メディアHRD Asiaが伝えたHRテクノロジー導入動向によると、AIを搭載した人事管理システムをすでに導入している企業は全体の51%に上るとされる。同メディアは、アジア地域を中心に、採用や評価、配置といった人事判断の一部をAIに委ねる企業が急増していると指摘している。

シンガポールの企業では、AIによる候補者の履歴書分析や予測モデルを用いた採用プロセスが広まりつつあり、採用・評価の効率化のため「AIが履歴書をスクリーニングする」仕組みが一般化しつつあるという。

さらに、インドのHRテック企業「Darwinbox」などアジア発のプラットフォームは、AIを組み込んだ人事管理ツールを提供しており、昇進や能力評価、社内移動の支援も視野に入れる機能を拡充させている。

この流れは単なる作業の自動化にとどまらず、従業員の生産性や評価の”重みづけ”そのものを、機械学習モデルに依存し始めている点が特徴だ。

 

効率化と差別リスク、見えない設定ルール

AIを人事判断に使うメリットは明らかだ。膨大な履歴書から最適な候補をピックアップしたり、過去の評価データから昇進の可能性を推定したりすることで、HR担当者の負担は大きく軽減される。雇用速度と精度の向上は、競争の激しいアジア企業にとって強力な武器となる。

だが、懸念も少なくない。

まず、AIの判断基準がブラックボックス化する可能性である。どのデータがどう評価基準に作用し、誰が最終的な重みを決めているのか。これが不透明なままだと、社員は「何が評価されているかわからない」と不安を抱くことになる。さらに、機械学習モデルのデータそのものに元々含まれていた性別や年齢、人種に基づくバイアスが増幅されるリスクも専門家から指摘されている。

人間の面談や対面コミュニケーションから得られる「ニュアンス」をAIが捉えられない点も、従来の評価と大きく異なる。

 

自動評価の恩恵はすぐに“昇進格差”へ?

一方で、実際の企業動向はさらに刺激的だ。欧米IT企業では、AIを積極的に活用する社員が昇進で有利になる傾向がSNSなどで報じられ始めた。たとえばある調査では、AIを日常的に使う社員の方が、昇進候補として上位に挙がるケースが多いという結果が出ている。

これがアジア企業でも表面化すれば、「AIを扱えるかどうか」が、評価制度の新たな軸になる可能性がある。

その一方で、評価が“スキル/データ適合性”を重視しすぎるあまり、人間的な資質や潜在能力が見落とされる危険性もある。AIに評価基準を任せるほど、大企業の人事制度が画一化し、意図しない格差が生まれる可能性もある。

 

見えてきた「判断の主体」と「公平性」の問い

こうした動きは、AIをどう設計し、どう運用するかによって評価の質が大きく変わる。

運用者が透明性を担保し、説明可能なルールを整備する組織と、そうでない組織とでは、従業員の信頼感も大きく異なることが調査でも示されている。国際的な研究では、AIをHRに浸透させる際には、透明性、社員参画、トレーニングの充実が不可欠だと結論づけられている。

つまり、AIによる評価は効率と公平性の両立をどう設計するか、という新たな課題と直結しているのだ。

 

日本の人事制度はどう向き合うか

日本企業でもAIを人事評価に組み込む議論は徐々に始まっている。採用プロセスでAIを活用する企業が実例として増えつつあるほか、ERP(統合業務システム)やHCM(人的資源管理)プラットフォームにAI評価機能を組み込む動きも進んでいる。

ただ、日本でこれを全面的に導入する企業はまだ少数派だ。文化的に、人間同士の信頼関係や長期的な育成重視の評価が根強いことが一因だろう。AIによる定量的評価は導入されても、最終判断は人間が行うという前提が維持される可能性が高い。

だが、アジアを中心にAIで人事判断を最適化する流れが強まる中、日本企業も避けて通れない論点に直面する。

AIの“冷静な分析”と、人間の“暖かい洞察”をどう両立させるのか。人事制度はこれから大きな転換点を迎える。

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ライター:

女性向け雑誌にて取材・執筆及び編集に従事。独立後は、ライフスタイルやファッションを中心に、実体験や取材をもとにリアルな視点でトレンドを発信。読者が日々の生活をより豊かに楽しめるような記事を提供し続けていることがモットー。

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