
探偵ナイトスクープ炎上が止まらない。6人兄妹の長男企画と母親SNS投稿への批判が拡大し、TVer見逃し配信停止という異例の対応に。何が問題だったのかを整理。
「6人兄妹の長男を代わって」企画、止まらない炎上で見逃し配信も停止
ABCテレビの人気番組『探偵!ナイトスクープ』をめぐる炎上が、放送後も沈静化するどころか、新たな局面に突入している。
1月23日放送回で取り上げられた「6人兄妹の長男を代わってほしい」という依頼。
放送前の予告映像の段階からすでに「この依頼主の長男はヤングケアラーでは?」と話題になっていたが、放送内容と母親のSNS内容を中心に、社会問題として議論が広がっている。
見逃し配信サービス『TVer』では、1月25日午前時点でバラエティランキングおよびバラエティ(関西発)ランキングでどちらも1位と多くの注目を集めていたが、予想以上の反響があり誹謗中傷を防ぐために1月25日午後に配信停止という異例の対応をしている。
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発端は「長男を1日だけ代わって」という依頼、せいやが体験した想像以上に過酷な1日
依頼者は、広島在住の12歳の男の子。
6人兄妹の長男として生活する中で、「正直、長男をやるのに疲れた」「1日だけでいいから次男になりたい」と、番組に助けを求めた。
弟妹はそれぞれ、10歳、8歳、5歳、2歳、0歳。両親は共働きで、母親はエステサロン経営者として多忙な日々を送り、父親はその仕事の手伝いをしているとされる。
その結果、家事や育児の多くを長男が担っている家庭状況が、番組内で明らかになった。
この依頼を受け、探偵役として現場に向かったのは、お笑いコンビ・霜降り明星のせいや。
番組では、せいやが長男役として、
・絶え間なく続く弟妹の世話
・食事の準備と後片付け
・遊び相手や寝かしつけ、生活全般のフォロー
などを休憩なしでこなす様子が映し出された。
体力に自信があり子育て経験があるせいやですら、次第に疲労困憊。
長男くらのすけ君の日常の家事育児タスクを聞いたせいやは、
「親がやること全部やってるやん」
「小学生なんて、もっと遊び回りたいよなぁ」
など、同情と労いの言葉をかけた。
視聴者からは「長男はこんな過酷な日常を過ごしているのではないか」という疑問の声が上がり始めた。
視聴者を凍りつかせた「衝撃のラスト」
そして、放送の終盤で両親が帰宅。
せいやは長男を抱っこし、「お前はまだ小学生や、まだ大人になるなよ」と励ましの声をかける。
そしてせいやが家の外に出た次の瞬間、響いたのは
「くらのすけー!米炊いて!7合!」
という母親の大声だった。
この一言がそのままオンエアされたことで、視聴者の間に強烈な違和感が走った。
ネット上では
「演出としてオチをつけたのでは」という見方がある一方、
「長男が救われそうになってることに腹を立てて、八つ当たりしてない?」
との声が上がった。
炎上が一気に拡大した、母親のSNS投稿内容とは
放送後、さらに波紋を呼んだのが、母親とみられる人物のSNS投稿だった。
・「家事育児したくない」「6人中3人は予定外の出産」発言
母親のInstagramには、「家事育児はできるだけしたくない!笑」、子どもについて「3人目以降は予定外」などと、出産や育児に関して親として責任感に欠けるのではとも感じられるコメントが並んでいた。
・「使える長男」発言
過去の投稿では、幼少期の長男くらのすけ君がカレーやシチューなどの料理を作っている写真とともに
「時間かかるけど結構使える長男」
「自分が楽できるようにめっちゃ持ち上げて仕込んどる」
「バカと天才は紙一重♡」
など、家事手伝いの戦力として利用しているような投稿が見られた。
・末っ子の外食の世話押し付け疑惑
「フォースチルドレン(当時の末っ子)の横に座らないためにやっている5つの事」のタイトルで、
「事前に2番3番に接近しとく」
「いかに自分が楽してゆっくり食べるか。自分のための努力と挑戦と改善を惜しまない。」
など、格言のようなコメントを残している。
「2番3番に接近」することで自分がゆっくり食事できているということは、末っ子の面倒は必然的に父親か長男が見ていることになるだろう。
・妊娠サプライズ発表で子どもたちの複雑な表情
6人目の妊娠を子どもたちに伝える動画では、長男をはじめ、兄妹のうち年長者は複雑な表情を浮かべていた。
長男からは「え、ガチ?」と本音がこぼれた。嬉しい反面、今以上の家事育児負担が自分に重くのしかかることを想像してやるせなくなったのではないだろうか。
母親は、これらの投稿に対する批判に対して
「我が家ヤングケアラーとやらではないので!!!ワンチーム助け合い!」
などと、あくまで自分の家のスタイルであると主張。
その後、
「匿名だからって好き勝手書いて。みんな心が愛と感謝に満ち溢れてたら炎上なんてなくなるのに」
と、SNSの批判の声への悲しい気持ちを吐露。
これらの発言が拡散されると、
「長男の負担を正当化しているのでは」
「反省や配慮が感じられない」
と批判が再燃。
「ヤングケアラーは社会的課題だが誹謗中傷はお止めください」ABCテレビが声明
番組放送前および放送直後には長男がヤングケアラーのようだということが話題の中心であったが、母親のSNSへの投稿内容から、もはや子どもたちに対する育児放棄(ネグレクト)なのでは、といった意見も上がってきた。
「本来大人が担う家事や育児を子どもが背負っているヤングケアラーの典型」
「母親もだけど、家庭を支えるはずの父親が機能していないのでは?」
など、議論は母親個人への批判にとどまらず、家庭全体の役割分担、そして番組の扱い方そのものへと広がっている。
炎上は今も続いており、番組側は見逃し配信の停止という対応を取り、番組公式HPトップページに今回の放送に対する声明を発表している。
【1月23日放送回に関して】
当該放送をめぐり、取材対象者やご家族に対して、SNS等で強い批判や誹謗中傷が広がっている状況を重く受け止めています。取材対象者やご家族への誹謗中傷、詮索や接触は厳にお止めいただくようお願い申し上げます。
ヤングケアラーは重要な社会的課題として強く認識しております。一方、家族の事情や日常のあり方は多様であると考えています。番組では、取材にご協力いただいたご家族の家事・育児に関わる様子を紹介しました。このご家族では父親が家事・育児を担当されており、長男がそれを手伝っておられます。
番組制作にあたっては取材趣旨の説明と同意確認を行い、関係者の尊厳・プライバシーに配慮して編集・放送しましたが、結果として取材対象者個人に対する強い批判や誹謗中傷が広がっている状況を重く受け止めています。
今後も取材対象者をはじめ、番組に関わる皆様の安全と尊厳を守ることを第一に番組作りを続けてまいります。
▼探偵!ナイトスクープ 公式HP
https://www.asahi.co.jp/knight-scoop
せいやは同番組「小4お笑い担当回」をシェア、長男へのメッセージか
長男の代わり役を担当したせいやは、このタイミングでこの大家族の回ではなく、過去出演回である「小学校4年生のお笑い担当の男子にお笑いを叩き込む」回の動画をシェア。
▼【せいや伝授】クラス全員を大爆笑させたい…お笑いのイロハをせいや探偵が小学4年生に徹底指導!
この投稿に対して、せいやからの直接的な説明は無いが、今回の長男に対して「小学生って本当はこんなに無邪気に遊んでいいんやで」といったメッセージを送っているのかもしれない。
私たちにできることは何か 「通報」よりも必要な視点
炎上が続く中で、忘れてはならないのは、私たちはこの一家の当事者でも関係者でもないという事実だ。SNSでは「児童相談所に通報した」「みんなも通報を」と呼びかける投稿も見られるが、明確な危険や緊急性が確認できない段階での大量通報は、本当に家族や子どものためになるのだろうか。行政の対応力を逼迫させるだけでなく、家庭に「外から常に監視されている」という強い圧力を与え、結果的に子どもに危険が及んだり、子どもたちがさらに萎縮してしまう可能性も否定できない。
現実的に、直接関わりを持たない私たちができることは、「断罪」や「正義の通報」ではなく、支援の選択肢を社会の側から広げていくことだろう。たとえば、大家族や共働き家庭が家事代行サービスやベビーシッター、自治体の子育て支援制度を利用することは、決して特別なことでも「甘え」でもない。ヤングケアラーという言葉だけが独り歩きするのではなく、大人が負担を引き取る現実的な仕組みがあることを共有することこそが重要だ。怒りをコメント欄に投げつけるよりも、同じような家庭が追い詰められない社会をどう作るかを考え発信する、それが、外野である私たちに許された、最も誠実な関わり方なのかもしれない。



