
ドナルド・トランプ氏は自身のSNSを通じ、アメリカ合衆国がベネズエラおよび同国の指導者ニコラス・マドゥロ大統領に対して大規模な軍事攻撃を実施し、成功したことを発表した。声明によると、マドゥロ大統領は妻と共に拘束され、すでに国外へ移送されたという。
トランプ氏は、この作戦が米国の法執行機関と連携して行われたものであるとし、詳細については現地時間午前11時(日本時間深夜1時)よりフロリダ州マール・ア・ラーゴで記者会見を行うとしている。
ベネズエラ側は「侵略」と強く反発
これに対し、ベネズエラ大使館およびベネズエラ・ボリバル共和国政府は直ちに声明を発表。「アメリカによるベネズエラ各地への軍事攻撃を、国際社会に対して拒否、非難、告発する」とし、今回の攻撃を国連憲章(特に第1条および第2条)に違反する明白な「侵略行為」であると断じた。
ベネズエラ側は、米国の真の目的について「石油や鉱物などの戦略的資源の奪取」および「ベネズエラの政治的独立の破壊」にあると主張。「植民地戦争の試み」であるとして、徹底抗戦の構えを見せている。
背景にある「経済破綻」と「麻薬国家化」
突然の軍事介入と元首の拘束という衝撃的なニュースに対し、国際社会には動揺が広がっている。しかし、長年ベネズエラ情勢を注視してきた専門家の間では、今回の事態は「避けられなかった結末」との見方も強い。
ベネズエラは世界有数の石油埋蔵量を誇りながら、2016年頃より深刻な経済破綻に陥っている。その根本原因は、チャベス前政権から続くポピュリズム政策の失敗にあると指摘されている。「経済学でやってはいけないことの全てを行った」とも評される失策の積み重ねにより、国内産業は壊滅。石油さえ満足に供給できない状況となり、ハイパーインフレと物資不足が国民を襲った。
「生き地獄」と化した国民生活
現地からの報道によれば、経済危機下のベネズエラはまさに「生き地獄」の様相を呈している。ゴミを漁る子供たち、餓死する乳児、不妊手術を受ける女性など、人道危機的状況が常態化している。
マドゥロ政権はチャベス路線の経済政策を踏襲し続けた結果、選挙での敗北が確実視されていたが、結果を黙殺して独裁体制を強化。正規の経済活動が破綻した結果、政権維持の資金源としてジャングルの奥地での麻薬栽培・密売に手を染め、事実上の「麻薬国家(ナルコ・ステート)」へと変貌したとされる。
米国の介入論理と今後の焦点
今回のトランプ氏による声明で「法執行機関との連携」が強調された背景には、マドゥロ政権による麻薬密売への関与を断つという「麻薬戦争」および「人道支援」の側面があると見られる。
ジェトロ・アジア経済研究所の坂口安紀氏など、専門家らによるこれまでの分析でも、マドゥロ政権下の不正選挙や民主主義の崩壊が指摘されており、国内の困窮した国民からは、この強硬な「外圧」を歓迎する声が上がる可能性もある。
「資源略奪のための侵略」か、それとも「独裁と貧困からの解放」か。トランプ氏による会見の詳細と、今後の国際社会の反応が注目される。



