
11人組ME:Iが公式サイトで、COCORO、RAN、SHIZUKU、KOKONAの4人について、2025年12月31日をもって専属マネジメント契約を満了し、グループとしての活動を終了すると発表した。
デビューから1年余りで全体の3分の1にあたるメンバーが同時に離脱する異例の決断となり、体調不良の連鎖や規定違反をめぐる説明不足も重なって、運営体制への疑問が噴き出している。
4人同時脱退という異常な決断
今回の発表が強い衝撃を与えた最大の理由は、人数の多さにある。
ME:Iは11人組としてスタートしたグループだ。そのうちの4人が、デビューから1年余りで同時に活動を終える。単なる入れ替わりや個別判断ではなく、グループの構造そのものが揺らぐ規模だ。
ここで、改めてME:Iのメンバー構成を整理しておく。
ME:Iのメンバーは、MOMONA、RAN、SHIZUKU、MIU、COCORO、KOKONA、AYANE、KEIKO、SUZU、RINON、TSUZUMIの11人で活動してきた。
このうち、今回活動終了が発表されたのが、COCORO、RAN、SHIZUKU、KOKONAの4人だ。割合にすれば3分の1を超える。グループの世界観、フォーメーション、歌割り、さらには人間関係のバランスまで、一気に組み替えが必要になる数字と言っていい。
オーディション番組を通じて、それぞれの個性や成長過程が可視化されてきたグループにおいて、4人同時という決断は、単なる人員整理では済まされない。ファンが受け取ったのは「誰かが卒業する」という出来事ではなく、「ME:Iという形が変わってしまう」という感覚だった。
しかも、脱退が発表された4人のうち複数は、すでに体調不良などを理由に活動を休止していた。回復と復帰を期待する時間が、そのまま活動終了へと直結した形であり、段階を踏んだ説明もなかった。そのため、この決断は唐突で、冷たく映った。
11人で始まった物語が、十分な説明もないまま一気に人数を減らす。下世話に言えば、「話し合いの末」という言葉だけでは飲み込めない規模の決断だった。だからこそ、今回の4人同時脱退は、異例であり、異常だと受け止められている。
体調不良が相次いだ背景
今回活動終了が発表された4人のうち、複数は体調不良を理由に活動休止中だった。ME:Iはオーディション番組から誕生し、デビュー直後から一気に注目を集めた。テレビ出演、イベント、タイアップ、SNS対応と、スケジュールは急速に過密化していった。
売り時を逃したくない事務所の判断は理解できるが、環境の激変は若いメンバーの心身に大きな負荷をかける。体調不良が1人2人であれば個別の事情とも言えるが、重なった時点で管理やケアの問題として見られるのは避けられない。下世話に言えば、走らせすぎたのではないかという疑念が生じた。
規定違反という言葉が残した説明不足
混乱を広げた要因の1つが、SHIZUKUをめぐる「規定に反する事案」という表現だ。活動休止の発表では具体的な内容が示されず、この言葉だけが前面に出た。結果として、ファンやネット上では過去の話題が再び掘り起こされることになった。
とりわけ注目されたのが、JO1の大平祥生とME:IのSHIZUKUをめぐる熱愛報道だ。以前、週刊誌などで両者の交際が報じられた経緯があり、「規定違反」という言葉が示されたことで、それと結び付けて受け止める声が一気に広がった。
報道の真偽について、当事者や事務所から踏み込んだ説明はなかった。ただ、詳細を語らないまま処分だけが示されれば、憶測が膨らむのは自然な流れだ。説明不足が、体調不良と私的問題、さらには運営の問題までを混同させる結果となった。
JO1でも、同じ時期に大平祥生が「規定に反する事案が発覚した」として活動休止となった。こちらも具体的な内容は明かされず、事務所は管理体制の不備に言及するにとどまった。
2つの動きが時間的に近接したことで、ファンの間では「熱愛報道が背景にあるのではないか」という見方が一気に広がった。両者の処分理由が完全に一致すると断定することはできないが、同一系列の事務所内で、交際報道の当事者とされるメンバーが相次いで活動を止めた事実は重い。
華やかな実績との落差
ME:Iは、誕生からわずかな期間で「成功例」として語られる存在になった。オーディション番組発という話題性に加え、デビュー直後から楽曲がヒットし、新人賞を受賞、さらには紅白歌合戦出場まで果たした。ガールズグループとしては異例のスピードで、実績だけを見れば順風満帆そのものだった。
しかし、その表の顔が華やかであればあるほど、今回の4人同時脱退との落差は大きい。ファンが違和感を覚えたのは、「売れていなかったから辞めた」のではなく、「売れている最中に、しかもまとめて去った」点だ。成功の途中で起きた決断は、達成感よりも疑問を残す。
とりわけ、体調不良による活動休止が続いた中での実績アピールは、皮肉にも見えてしまう。テレビやステージでは輝く一方で、裏側ではメンバーが次々と離脱していく。このギャップが、「無理をして走らせていたのではないか」という疑念を強めた。
芸能界では、短期間で結果を求められることは珍しくない。ただ、ME:Iの場合は、オーディションで夢を共有し、成長の過程を見せてきた分、ファンの期待も大きかった。だからこそ、成果が積み上がる一方で人が減っていく現実は、単なる世代交代や個人の選択では済まされない印象を残した。
華やかな実績があるから問題が小さく見えるわけではない。むしろ、その成功があったからこそ、今回の4人同時脱退は「何かを置き去りにしてきたのではないか」という問いを強く突きつけている。
ファンが置き去りにされた現実
今回の4人同時脱退で、最も取り残された存在はファンだ。オーディション番組を最初から追いかけ、投票し、デビューを見届け、成功を共に喜んできた。その積み重ねの先に突きつけられたのが、前触れのない活動終了だった。
とりわけ、活動休止中だったメンバーのファンにとっては、回復と復帰を信じて待つ時間そのものが否定されたように映った。説明は最小限で、結論だけが先に示される。「理解してほしい」と言われても、そこに至る過程が見えなければ、感情は追いつかない。
オーディション発のグループは、単なる消費対象ではない。成長の過程を共有することで、ファンとの心理的距離が極端に近くなる。だからこそ、脱退や活動終了は、一般的なグループ以上に「裏切られた」「急に切られた」という感覚を伴う。
今回の発表では、4人が同時に去る理由も、個別の事情もほとんど語られなかった。その結果、ファン同士が憶測で語り合い、噂が拡散し、グループ全体の空気が荒れていった。沈黙が混乱を抑えるどころか、加速させた形だ。
ファンは「支える側」としての役割だけを求められ、判断の材料は与えられなかった。これは感情論ではなく、運営とファンの関係性の問題だ。共に歩んできたはずの物語が、説明なしに切り取られたとき、残るのは喪失感だけになる。
信頼は時間をかけて築かれるが、失われるのは一瞬だ。今回の対応は、ファンとの距離を一気に広げた。残されたメンバーを応援する気持ちすら揺らがせかねないという点で、この「置き去り感」は、今後の活動に重くのしかかる。



