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錦糸町風俗待機所冷蔵庫遺体事件 22歳女の孤立出産が突きつけた社会の断絶

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錦糸町派遣型風俗店・死体遺棄

東京都墨田区錦糸町の派遣型風俗店で、従業員用待機所の冷蔵庫から乳児の遺体の一部が見つかった事件は、社会に大きな衝撃を与えた。死体遺棄と死体損壊の疑いで22歳の女が逮捕され、「そばに置いておきたかった」と供述しているという。

あまりに残虐で場当たり的な犯行の背後には、孤立出産という深刻な問題が横たわっている。事件の経緯と捜査の行方、SNSの反応を通じ、現代社会が抱える課題を考える。

 

冷蔵庫から見つかった乳児遺体 異様な発見の瞬間

事件が発覚したのは今月6日。錦糸町にある派遣型風俗店から、「従業員の待機所の冷蔵庫の中に赤ちゃんの遺体のようなものがある」と110番通報が入った。警察が確認したところ、冷蔵庫内から見つかったのは、生後1カ月以内とみられる乳児の頭部と手足だった。

頭部は紙皿で覆われたうえでビニール袋に入れられ、手足は食品保存容器に分けて保管されていた。冷蔵庫は従業員が共用で使用しており、数カ月にわたって誰も異変に気づかなかった可能性があるという。この点についてデイリー新潮は、従業員同士が互いの私物に関心を持たない環境だったため、遺体と気づかなかったと報じている。

日常空間であるはずの待機所、その冷蔵庫という場所に遺体が置かれていた事実は、事件の異様さを際立たせた。

 

22歳風俗従業員を逮捕 DNA鑑定が導いた結末

警視庁は事件後、店の全従業員に対し、任意でDNAと指紋の採取を進めた。その結果、1週間後に鑑定に応じた小原麗容疑者(22)の指紋が、ビニール袋や紙皿に付着していたものと一致。乳児のDNAも本人と一致したため、12月18日、死体遺棄と死体損壊の疑いで逮捕に至った。

調べに対し小原容疑者は、「自分が産んだ遺体を損壊して、遺棄したことは間違いありません」と容疑を認めているという。捜査関係者は、遺体の状態と供述内容に大きな矛盾は見られないとしつつも、犯行の具体的な経緯や心理状態については慎重に調べを進めている。

 

待機所での出産と切断 語られた供述の重さ

小原容疑者の供述によると、出産は今年3月、勤務先の待機所で起きた。「出産した直後から赤ちゃんは泣かず、動いていなかった」「自分も気を失い、目が覚めたときには赤ちゃんが変色していた」と説明している。

その後、「このままにしておいてはいけないと思い、バラバラにしようと思った」と語り、切断にはコンビニで購入したカッターナイフを使用したという。解体は店の近くのホテルのベッドの上で行ったとされる。

遺体を切断するという行為は、常識では理解しがたい。捜査当局も「本当にカッターナイフで可能だったのか、今後検証が必要」としており、供述の裏付けが進められている。

 

「そばに置いておきたかった」不可解な行動の理由

事件の中でも特に不可解なのが、遺体の扱い方だ。小原容疑者は、頭部と手足は冷蔵庫に保管し、胴体部分のみをビニール袋に入れて待機所のゴミ箱に捨てたと供述している。

その理由について、「子供をそばに置いておきたかった。すべてが冷凍室に収まらなかったので胴体を捨てた」と説明しているという。この言葉は、残虐性と同時に、極端な孤立と歪んだ心理状態を感じさせるものでもある。

小原容疑者は昨年11月からこの店で勤務を始め、妊娠したまま出勤し、接客にも出ていたとみられる。それでも周囲は妊娠に気づかなかったという事実は、職場環境の希薄さを物語る。父親が誰かも分かっておらず、少なくともこの店で知り合った男性ではない可能性が高いとされている。

 

捜査の行方とSNSの声 孤立出産が突きつける課題

今後の捜査では、乳児が生まれた時点で生存していたかどうかが最大の焦点となる。殺害の可能性は否定できない一方、死産だった可能性も残る。

しかし、死後時間が経過しているため、死因の特定は困難になる見通しだ。その場合、殺人や保護責任者遺棄致死罪の適用が見送られる可能性もある。

事件を受け、SNSでは「どんな事情があっても許されない」「あまりにも残酷だ」といった厳しい非難が相次いだ。一方で、「誰にも相談できなかったのでは」「制度があっても届いていない現実がある」と、孤立出産の問題に目を向ける声も広がっている。

風俗街を彷徨いながら、望まない妊娠を一人で抱え込む女性は少なくないとされる。今回の事件は、個人の異常性として切り捨てるだけでは済まされない。支援の網からこぼれ落ちた命をどう救うのか。社会全体が突きつけられた問いは、あまりにも重い。

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ライター:

千葉県生まれ。青果卸売の現場で働いたのち、フリーライターへ。 野菜や果物のようにみずみずしい旬な話題を届けたいと思っています。 料理と漫画・アニメが大好きです。

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