
大みそかの編成が次々と出そろう中、静かに、しかし確実に波紋を広げる発表があった。BSよしもとが12月31日に放送する「超緊急特番」の出演者欄に記された「松本人志」の名前だ。
活動休止を経て、有料配信という新たな場所で再始動した松本は、再び“テレビ”に姿を見せるのか。それともこれは単なる番宣なのか。
「テレビ復帰」という言葉の意味が揺らぐ中、視聴者の受け止めには大きな温度差が生まれている。
大みそか午後、BSよしもとが放つ「超緊急特番」
年の瀬が迫る12月31日。大みそかの午後3時30分、BSよしもとが一本の特別番組を編成した。
番組名は「大晦日の超緊急特番!今、話題のダウンタウンプラスを徹底解剖スペシャル」。
公式サイトに掲載された出演者欄には、ひときわ目を引く名前があった。
「松本人志」。
この一行が波紋を広げた。
活動休止を経て、有料配信という新たな舞台に立った松本が、再び「テレビ」に姿を現すのか。一部では早くも「テレビ復帰」との見出しが躍った。
番組の正体は「DOWNTOWN+」の解説番組
もっとも、番組の内容を丁寧に読み解くと、見えてくる景色はやや異なる。
BSよしもとの説明によれば、同特番はダウンタウンの有料配信サービス「DOWNTOWN+」を紹介する番組だ。
生配信、大喜利、トーク、ロケ、スタジオ企画など、配信内で展開されている多彩なコンテンツを厳選して紹介し、「何が見られるのか」という疑問に答える構成とされている。
いわば“番宣”の性格が強い番組であり、松本がスタジオに生出演するのか、それとも既存映像での登場にとどまるのかは明記されていない。
この点について、ENCOUNTによると、ネット上のコメント欄では「出演者欄に名前があるだけで復帰と書くのは誤解を招く」「配信映像が流れるだけではないか」といった冷静な指摘が相次いでいる。
有料配信で始まった“別ルートの再始動”
「DOWNTOWN+」は月額1100円(税込)の有料プラットフォームで、年間プランやセット割も用意されている。
吉本興業は公式な会員数を公表していないが、関係者の話として、事前登録段階で50万人以上が集まり、現在も大きく減少していないとされる。
単純計算では月4億円超の売り上げ規模となり、テレビに依存しないビジネスモデルとしても注目を集めている。
松本は2024年1月から活動を休止していたが、11月1日のサービス開始と同時に、地上波とは異なる場所で表現活動を再開した。
「見たい人だけが見る」棲み分けへの評価
コメント欄には、今回の動きを肯定的に捉える声も少なくない。
「好きな人が金を払って見る。嫌いな人は見なくて済む」「地上波より健全な形だ」といった意見が目立つ。
一方で、「説明責任が果たされていない」「疑問が残ったままなし崩し的に復帰している」といった批判も根強く、賛否は今も交錯している。
BSよしもとの特番が象徴するのは、単なる番組編成以上に、松本人志という存在をどう受け止めるのかという、社会全体の温度差なのかもしれない。
“テレビ復帰”の定義が問われる大みそか
BS放送という枠組み、有料配信の番宣という性格。
それでも「テレビ」という媒体に名前が掲げられた事実は重い。
この大みそか、松本人志は本当に“テレビに戻る”のか。それとも、新しい活動形態の延長線にすぎないのか。
視聴者それぞれが、自らの距離感で判断する年越しになりそうだ。



