
公共交通機関の遅延により予約時間に遅れた患者に対し、さくらビューティークリニック(富田さくら院長)が高額なキャンセル料を請求したとされる問題がSNSで波紋を広げている。院長は9日夜に謝罪声明を発表したが、その釈明内容に対してネット上ではさらなる疑問の声が上がっている。
「15分10万円」富田さくら院長のクリニックから届いた驚愕のLINE
事の発端は、あるX(旧Twitter)ユーザーによる告発だった。投稿者によると、施術当日に利用していた電車が運転見合わせとなり、他社の振替輸送を利用して急行したものの、予約時間から45分遅れて到着したという。
これに対し、さくらビューティークリニック側から送られてきたLINEには、耳を疑うような内容が記されていた。
「45分以上のお遅刻となりますため、遅延証明書を書面でご提出いただいた場合、変更キャンセル料として30万円の追加お支払い」が必要であると通告されたのだ。さらにその内訳として「15分の遅刻につき、予約金10万円充当のため」という具体的な計算式まで示されていた。
不可抗力による遅刻であるにもかかわらず、遅延証明書の提出を求めた上で高額なペナルティを課すこの対応に、投稿者は「この業界では当たり前なのか」と困惑。瞬く間に拡散され、同院の対応に対する批判が殺到した。
富田院長が謝罪「実際の規定とは異なる内容を誤って送信した」
事態の深刻化を受け、同クリニックの富田さくら院長は12月9日、自身のXアカウントを通じて謝罪した。富田院長は「事実と異なる点もあり、患者様にご心配をおかけし誠に申し訳ございません」と陳謝した上で、拡散されているLINEの文面について釈明を行った。
富田院長の説明によれば、問題のメッセージは「当院から当該患者様に、実際のキャンセル規定とは異なる内容を誤って送信してしまったもの」だという。当該患者に対しては、電車遅延の事情を鑑みてキャンセル料は徴収しておらず、手術を行えなかったことによる代金も翌日には全額返金したとしている。今後はスタッフ教育や確認体制を徹底し、再発防止に努めると結んだ。
「苦しい言い訳」さくらビューティークリニックの対応に止まらない批判
しかし、富田院長による「誤送信」という説明に対し、ネット上の不信感は払拭されていない。
SNS上では、LINEの文面があまりに具体的であったことから、単なるミスとは受け取れないという声が相次いでいる。あるユーザーは、「遅延証明書を提出の上で30万円と書いてある以上、苦しい言い訳に聞こえる」と指摘し、また別のユーザーも「『異なるキャンセル規定』と言うが、文面では思い切り『45分遅刻だから30万円』と計算されている」とし、「すっとぼけているのではないか」と厳しい言葉を投げかけた。
また、ここまできっちりと文章化されているものを誤送信とするのは無理があるとして、「諦めて認めたほうが楽になる」と諭すような意見も見られた。
批判の矛先は法的な観点や、クリニックの体質にも向いている。消費者の利益を一方的に害する条項を無効とする「消費者契約法第10条」を挙げ、そもそも規定自体に問題があるのではないかという指摘や、「患者さんのためにも実際のキャンセル料について発信すべき」といった要望も聞かれる。
さらに、仮に誤送信だったとしても、「ミスで書けるような数字ではない」として、「どうしてあの金額が出てきたのか説明してほしい」という声も根強い。
システムやマニュアルに「15分10万円」という数字が存在していたからこそ誤送信されたのではないかという疑念が、利用者の不安を増幅させているようだ。



