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住吉会トップ小川修司会長逮捕! 2年前の共和一家をめぐる“怪文書”は事件の“解”文書だった

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住吉会トップ逮捕

12月6日、関東の巨大組織・住吉会に激震が走った。現役会長の小川修司容疑者が、あろうことか先代会長宅への「窃盗」容疑で電撃逮捕されたのだ。しかし、業界の深層を知る者たちの間には、逮捕の衝撃とは別に、ある種の“納得”が広がっている。「まさか、2年前の『怪文書』は、事件の全貌を記した『解文書』だったのか——」

 

疑惑が現実に変わった日

師走の寒空の下、千葉県警本部に集まった報道陣のフラッシュが、連行される男の顔を白く浮き上がらせた。指定暴力団住吉会の現総裁、九代目会長・小川修司容疑者(72)。

容疑は住居侵入と窃盗。2022年5月に死去した関功前会長の自宅(千葉県柏市)に侵入し、現金約5000万円を盗み出した疑いが持たれている。

今回の逮捕劇で特筆すべきは、小川容疑者だけでなく、逮捕者が全員で7名にも及ぶこと。関前会長の出身母体である名門「共和一家」の現総長・大多和賢治容疑者や、当時、関前会長の当番長として屋敷の管理を任されていた浦上照也容疑者までがおそらく一網打尽にされた点だ。

亡き親分の喪も明けぬうちに、その屋敷から金庫の中身が消えた。警察はこれを組織トップらによる計画的犯行と断定したが、実はこの事件、2年前から“予言”されていた。

 

ユーチューバーも騒いだ「怪文書」

時計の針を2023年6月に戻そう。当時、永田町や警察関係者、そして暴力団事情に詳しいマスコミの間で、一通の不可解な文書が出回っていた。

そこには、今回の逮捕劇そのままの、仁義なき“遺産強奪”の内幕が生々しく記されていた。当時、この文書はネット界隈でも大きな話題となり、アウトロー系YouTuberの宅建太郎氏や懲役太郎氏らも動画で取り上げている。彼らは「真偽は不明だが」と前置きしつつ、組織内部できな臭い噂が流れていることを紹介していた。

「誰かが流したデマだろう」「まさか現役トップが空き巣のような真似をするはずがない」——当時は半信半疑の声も多かった。しかし、今回の逮捕発表は、その「怪(あや)しい文書」が、実は事件の正解を記した「解(かい)文書」であったことを証明してしまったのだ。

「浦上、金庫から持ってこい」

警察の発表と当時の文書を突き合わせると、まるでミステリー小説の伏線回収のように事実が符号する。

文書によれば、事件のキーマンは、金庫番だった浦上氏だ。関前会長の死の直後、小川会長と共和一家の大多和総長は浦上氏を呼び出し、こう命じたとされる。

「いいな浦上、あの金庫の中から5000万円持ってこい」

絶対的な上下関係の中、浦上氏は“親”である関前会長への忠義と、現トップからの命令の板挟みになりながらも、金庫を開けざるを得なかった。持ち出された5000万円は、小川会長らが山分けにしたと文書は告発していた。さらには高級な絵画なども含めて持ち去られたとの情報も怪文書では触れられていた。

その内容は、まさに今回の逮捕容疑そのものである。

 

裏工作「2000万で手を打て」の顛末

さらに、このサスペンスには文書には書かれていない“続き”があった。逮捕のXデーが迫る水面下で、組織側による必死の“揉み消し工作”が行われていたという情報だ。

「被害届を出した関前会長の親族に対し、住吉会側の人間が示談を持ちかけていたという話が広がっています。その条件は『現金2000万円』。『これで被害届を取り下げてほしい』と。しかし、盗んだとされる額は5000万円。半分以下の金額で手打ちにしようなど、遺族の感情を逆なでするような話でしょう」(捜査関係者)

結局、この交渉は決裂。警察は「組織の理屈」ではなく「刑法の窃盗罪」として、トップ逮捕という一番重いカードを切った。

 

歴史ある「共和一家」内部での裏切りなのか?

「住吉会トップ逮捕」と報じられているが、この事件の本質は、住吉会の中核組織の一つである「共和一家」内部での、仁義なきお家騒動という捉え方の方が正しそうだ。

共和一家といえば、幕末の嘉永元年(1848年)に佐原林之助が興したとされる、千葉県下に強固な地盤を持つ名門だ。住吉会という巨大なピラミッドの中でも、共和一家は現在特別な位置を占める。先代の関功氏は、この共和一家の六代目を継承し、後に住吉会のトップに登りつめたカリスマだった。そして、その関氏の跡目として共和一家七代目を継承し、さらに関氏の死後に住吉会九代目を継いだのが、他ならぬ小川修司容疑者である。

さらに逮捕された大多和賢治容疑者は、小川氏の後を受けて現在の共和一家八代目を継いでいる。つまり、関前会長、小川現会長、大多和総長は、同じ釜の飯を食い、盃を交わした親子兄弟の契りよりも濃い「師弟関係」にあったはずなのだ。

「関前会長の葬儀では、小川会長が委員長として全国の親分衆を出迎え、盛大に送り出しました。その裏で、まさか葬儀のドサクサに紛れて、子分たちが親分の家族の金庫をこじ開けていたとは……」(アウトロー系YOUTUBER)

 

「親分の金は俺たちの金」組織側の論理

なぜ、現役トップが「空き巣」のような真似をしたのか。そこには、暴対法や暴排条例でがんじがらめにされた、現代ヤクザの苦しい懐事情と、彼らなりの「言い分」が見え隠れする。

「親族側からすれば『相続した遺産を盗まれた』という話ですが、組織側には全く別の理屈があります。『親分が持っていた金は、もともと俺たちが汗水たらして集めた上納金だ』という考えです」(元組員)

末端の組員が必死で稼ぎ、吸い上げられた金がトップの元に集まる。

「親分には絶対服従で金を納めるが、その家族である奥さんや娘さんは、親分が亡くなった後は極道の世界とは関係ないカタギだ。俺たちの血と汗の結晶である金を、親族が濡れ手で粟のように相続するのはおかしい。あれは会の金だ」

そんな理屈で、自らを正当化していた可能性がある。特に昨今は、ヤクザへの締め付けが極限まで厳しくなっている。シノギ(資金源)が細る中、多額の現金は、トップといえども喉から手が出るほど欲しい「会の運営資金」だったのかもしれない。

ただ、住吉会のトップまで昇り詰めた人物たちである。任侠の世界でそこまでいく人物であれば仁義から外れる行為を身内に対してするハズもなく、住吉会側には住吉会側なりの正義や親族を身内と見做さなくてよくなった言い分があるのであろう。

 

巨大組織「住吉会」の複雑な構造

住吉会という組織は一枚岩ではない。世間では、新宿・歌舞伎町を拠点とし、武闘派として名を馳せる「幸平一家」などが有名だが、組織図は極めて複雑だ。

住吉会の下には「住吉一家」「幸平一家」などの各団体があり、さらにその下に「向後睦会」「大前田一家」「親和会」などの有力組織がぶら下がる多層構造になっている。それぞれの組織が独立性を持ちながら連合しているのが特徴だ。

その中で、千葉を本拠地とする「共和一家」は、関前会長、小川現会長と2代続けてトップを輩出した主流派閥である。その主流派のど真ん中で起きた、カネを巡る醜い内ゲバ。

2年前にネットを通じて拡散された“噂”は、紛れもない真実だった。名門のプライドよりも現金を優先せざるを得なかったヤクザ社会の黄昏。YouTubeの画面越しに語られたミステリーは、冷たい手錠の感触となって、現実の小川会長の手首に食い込んでいる。

 

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寒天 かんたろう

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ライター歴26年。月刊誌記者を経て独立。企業経営者取材や大学、高校、通信教育分野などの取材経験が豊富。

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