
元「TOKIO」国分太一(51)の会見から一夜明けた27日、都内で講演会に登壇した山口達也さん(53)が、固有名詞を避ける姿勢を明確にし、静かに注目を集めた。
過去の不祥事からTOKIO脱退、そして現在に至るまでの長い年月を経てもなお、山口さんの言葉には重い影が落ちている。国分の涙の会見を背景に、その歩みを改めて辿る。
山口達也、講演会で見せた“固有名詞を避ける”慎重姿勢
27日の講演会には一般参加者のほかメディア関係者も来場し、冒頭で主催者は「元TOKIOということで、このタイミングでお呼びしていいのか分かりませんが」と語った。
参加者によると、山口さんは「メディアの人、手を上げて! 録音はしないでね。でもあとで文字起こしするのか」と苦笑しつつ、「固有名詞は出さない日です」と慎重な姿勢を示したという。国分太一の会見に触れないよう言葉を選びながら進行する山口さんの語りには、過去の経験に裏打ちされた緊張感が滲んでいた。
2018年の事件がもたらした決定的な断裂
2018年、山口さんは未成年女性への強制わいせつ容疑で書類送検されたと主要メディアが報じ、日本テレビなどによると、示談成立後に不起訴処分となった。しかし衝撃は大きく、長年の“好感度タレント”としてのイメージは一変した。
事件直後の会見で山口さんは涙ながらに謝罪し、「TOKIOに戻れるのなら」と語ったが、メンバー4人は別会見で「被害者の方を考えると受け入れられない」と発言した、と当時の報道は伝えている。
その“二つの会見”が象徴したのは、TOKIO内部に生じた決定的な断裂だった。感情と責任の狭間で揺れるメンバーの苦悩は深く、山口さんの復帰は現実的ではなくなった。さらに山口さんは『ザ!鉄腕!DASH!!』で中心的役割を担っていたため、出演停止は番組制作体制にも影響し、日本テレビは当時「今後は検討中」とするにとどまった。たとえ法的には不起訴で終結しても、社会的信用が失われた事実は、グループの未来に長く影を落とした。
2020年の酒気帯び運転で復帰の可能性は完全に消滅
2018年の時点でかすかに残されていた“再起”への道は、2020年の酒気帯び運転で完全に断たれた。
警視庁発表によると、バイクで追突事故を起こした際、基準値を大幅に超えるアルコールが検出されたという。複数報道は、アルコール依存の再燃を指摘した。治療に向き合う意思を示したとされるが、同じ性質の問題が重ねて起きたことで社会の視線は一段と厳しくなった。
事故を受け、ジャニーズ事務所は山口さんとの契約を終了。これにより“復帰”の可能性は完全消滅した。TOKIOは4人体制から2021年に長瀬智也(47)が退所し、音楽活動も事実上停止。
城島茂、国分太一、松岡昌宏の3人で「株式会社TOKIO」を立ち上げ、山口さん不在を前提とした新しい形へ舵を切った。2020年の事故は、2018年に揺らいだ希望を断絶へと決定づけた出来事だった。
国分太一の“人権救済”訴えと深い謝罪
そして2025年11月26日。
国分太一は、6月に日本テレビからコンプライアンス違反を指摘されて『ザ!鉄腕!DASH!!』降板を告げられた問題について、半年越しの会見を開いた。日本テレビの報道によると、国分は関係者やスポンサーへ「事情をご説明できず判断を強いた」と謝罪し、「これまでまともにお詫びできなかった」と深く頭を下げた。
さらに、国分は「苦楽を共にした3人で作ってきた会社の廃業、TOKIO―BAの閉園。数日間で全てを失いました」と涙ながらに語り、人権救済を求める訴えに及んだ。長年のレギュラーやTOKIOとしての活動基盤が一挙に崩れたことは、50代に入った国分にとって大きな痛手だった。
会見では、山口さんや長瀬への連絡について問われたが、国分は「TOKIOは5人から始まりました。形は変わったが、5人だからこそ見れた景色があった」と語りつつ、「2人とのやり取りは私の口からは控えさせていただきます」と踏み込んだ説明を避けた。
いまも残る“5人のTOKIO”の影
山口さんが固有名詞を避け、国分が涙を浮かべた姿。その背後には、2018年以降続いてきた断絶の時間が横たわっている。
『鉄腕DASH』で田畑を耕し、音楽番組で5人並んで歌った日々は、多くの視聴者にとって特別な時代だった。国分が語った「5人だからこそ見れた景色」は、決して大げさではない。形を変えてもTOKIOがTOKIOであり続ける――そう信じたい思いが、メンバーにもファンにも根強く残っている。
しかし、現実には戻れない溝がある。個々の不祥事、退所、会社の廃業、番組降板。積み重なった出来事は、5人の足並みを揃えることを難しくしている。山口さんの慎重な言葉選びは、過去の影響が今も重く響いていることの証左だ。



