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【吉沢亮『国宝』が実写邦画歴代1位へ】22年ぶりの記録更新 東宝が興収173・7億円突破と発表

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映画『国宝』
映画『国宝』 公式Instagramより

東宝は25日、映画『国宝』(李相日監督、吉沢亮主演)の興行収入が173・7億円に達し、2003年公開の大ヒット作『踊る大捜査線 THE MOVIE2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』(本広克行監督、織田裕二主演)の173・5億円をついに上回ったと発表した。

実写邦画の歴代首位が入れ替わるのは22年ぶりであり、日本映画史に新たな節目が刻まれた。

 

22年ぶりの首位交代が示した「物語の力」

東宝が明らかにした数字によると、『国宝』は11月24日までの公開172日間で観客動員1231万人、興収173・7億円を記録。邦画の実写映画興収ランキングで、長らく“一強”として君臨してきた『踊る大捜査線 THE MOVIE2』をついに抜き去った。

記録更新までの道のりは決して派手ではなかった。6月6日の封切り以降、作品は大規模宣伝よりも口コミの広がりによって動員を重ね、公開5カ月を超えてもなお勢いを落とさず興収を伸ばし続けた。
東宝によれば、特に30代から60代の中高年層の鑑賞割合が高く、若年層の支持もバランスよく取り込んだことで“ロングラン型”の興行曲線を描いたという。SNS上でも「映画としての純度が高い」「久々に心が震えた」という声が目立ち、エンターテインメント色の強い大作とは異なる支持の広がり方が特徴的だ。

 

歌舞伎と任侠が交錯する物語 俳優陣が生んだ重層的なドラマ

『国宝』は吉田修一氏の同名小説を映画化。吉沢亮(31歳)が演じる主人公・喜久雄は任侠の家に生まれながら、歌舞伎俳優の部屋子となって女形の道に人生を捧げていく。

劇中で喜久雄と対峙する俊介役を横浜流星(29歳)、喜久雄を迎え入れる歌舞伎俳優・花井半二郎を渡辺謙(66歳)、当代一の女形で人間国宝・小野川万菊を田中泯(80歳)が演じ、それぞれが物語の芯を太くしている。寺島しのぶ(52歳)、高畑充希(33歳)らの存在感も大きく、歌舞伎の美と人間の業を静かに、しかし鮮烈に浮かび上がらせた。

李相日監督による緻密な演出、そして歌舞伎指導の中村鴈治郎、振付を担った中村壱太郎(吾妻徳陽)らの専門的な支えもあり、映像は重厚でありながらしなやかな緊張を保つ。批評家の間では「近年の邦画では稀有な完成度」「“実写邦画1位”という結果が内容にふさわしい」との声も相次ぐ。

 

ロングランを生んだ鑑賞体験の多層化

興行の後押しとなった施策も見逃せない。今月15日からは来場者特典として特製ビジュアルステッカーを配布し、鑑賞リピート層の掘り起こしに寄与した。また、李監督と歌舞伎指導の中村鴈治郎、振付の中村壱太郎による副音声ガイド上映が開始され、映像世界の裏側に触れられる“学びの体験”が支持を集めている。

映画館関係者によると、副音声上映回はシニア層だけでなく、演劇や舞踊に関心のある若者の来場も目立ち、ジャンル横断的な広がりが興収の底上げに貢献したという。

さらに、夏以降のSNSでは「歌舞伎に興味がなかった自分が沼に落ちた」「吉沢亮の女形は映画史に残る」といった感想が拡散し、公開から3〜4カ月後に初鑑賞へ向かう新規層もじわじわと増え続けた。

 

賞レースでも存在感 第50回報知映画賞で6部門ノミネート

『国宝』は記録だけでなく、映画賞レースでも強い存在感を示している。第50回報知映画賞では作品賞、監督賞、主演男優賞(吉沢亮)、助演男優賞(渡辺謙、田中泯、横浜流星)、助演女優賞(寺島しのぶ)、新人賞(黒川想矢)と、主要部門を網羅する計6部門にノミネートされた。

映画賞選考関係者の間では「作品としての質、俳優陣の熱量を総合的に評価したい」との声があり、今後の受賞結果によっては再び来場者が増える“第二波”が訪れる可能性もある。

 

日本映画界が迎える新たな転換点 邦画実写映画の歴代興行収入ベスト10

実写邦画歴代1位というタイトルは、単なる興行の数字以上の意味を持つ。
長らく“踊る大捜査線”シリーズが象徴してきた2000年代の大衆エンタメ型ヒットに対し、『国宝』が示したのは「物語の深度」「表現の緻密さ」「観客の鑑賞体験の拡張」といった、別種の価値観による成功だった。

今回の記録を機に、実写邦画の興行ランキングも大きく塗り替わることになった。以下に最新のトップ10をまとめる。

邦画実写映画・歴代興行収入ベスト10(興収・タイトル・公開年・監督・主演)
1 173・7億円 国宝(2025) 李相日 吉沢亮
2 173・5億円 踊る大捜査線 THE MOVIE2(2003) 本広克行 織田裕二
3 110・0億円 南極物語(1983) 蔵原惟繕 高倉健
4 101・0億円 踊る大捜査線 THE MOVIE(1998) 本広克行 織田裕二
5 98・0億円 子猫物語(1986) 畑正憲 主演なし
6 93・0億円 劇場版コード・ブルー(2018) 西浦正記 山下智久
7 92・0億円 天と地と(1990) 角川春樹 榎木孝明
8 87・6億円 永遠の0(2013) 山崎貴 岡田准一
9 85・5億円 ROOKIES―卒業―(2009) 平川雄一朗 佐藤隆太
10 85・0億円 世界の中心で、愛をさけぶ(2004) 行定勲 大沢たかお・柴咲コウ

実写邦画の歴史を支えてきた作品群の中に、新たに『国宝』が加わったことで、今後の邦画がどの方向へ深化していくのか。その試金石となる記録更新となった。

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ライター:

千葉県生まれ。青果卸売の現場で働いたのち、フリーライターへ。 野菜や果物のようにみずみずしい旬な話題を届けたいと思っています。 料理と漫画・アニメが大好きです。

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