
国民的アイドル・嵐が22日、ファンクラブサイトで動画を配信し、コンサートツアー『ARASHI LIVE TOUR 2026「We are ARASHI」』の名称と日程を発表した。
5都市・5大ドームで15公演を行い、ツアー最終日の2026年5月31日に東京ドームで予定される公演をもって、グループとしての活動を終了することが新たに明らかになった。活動の最終章となる具体的なスケジュールが示されたことで、長年支えてきたファンの間には、静かな感慨と大きな節目を迎える実感が広がっている。
嵐が5人そろって“最後の旅路”を発表 全国5大ドームを巡る全15公演
「こんにちは!嵐で〜す!」。
ファンクラブ向けに配信された動画には、左から大野智(44歳)、櫻井翔(43歳)、松本潤(42歳)、相葉雅紀(42歳)、二宮和也(42歳)の5人が横一列に並んで登場した。
長い年月をともに過ごし、それぞれが俳優や司会、タレントとして第一線で活動する現在でも、5人がそろう画面には独特の安定感と説得力が宿る。
相葉が「いつも温かい応援、本当にありがとうございます。本日は、嵐から皆さまに大切なお知らせがあります。長らくお待たせしてすみません。ついに、嵐のコンサートツアーの詳細を発表できることになりました」と切り出し、待ち続けたファンに向けて“ラストツアー”の全容を明かした。
大野が代表してツアータイトル『ARASHI LIVE TOUR 2026「We are ARASHI」』を読み上げ、続いて2026年3月13日に北海道・大和ハウスプレミストドーム(札幌ドーム)からスタートし、東京、愛知、福岡、大阪を経て再び東京ドームへ戻る日程を紹介した。
デビュー以来、時代ごとの嵐を象徴する場となってきたドームツアー。その最終章となる“最後の旅路”が、ようやく具体的な形を伴ってファンの前に姿を現したことになる。
5人の並びが呼び起こした記憶と時代 “国民的グループ”として刻んだ存在の重み
今回の動画で改めて示されたのは、5人が横一列に並ぶという、ごくシンプルな構図の力だった。派手な演出や特別な仕掛けがあるわけではない。
それでも、画面に映る5人の佇まいだけで、多くの視聴者の脳裏には、これまでのステージやテレビ番組、日常の中でふと流れてきた楽曲の記憶が一気によみがえったはずだ。
アイドルとしてスタートし、バラエティ、ドラマ、映画、報道番組まで、あらゆるフィールドに活動を広げてきた嵐は、単なる“人気グループ”を越えて、生活の風景の一部として存在してきた。
年齢を重ね、経験を増した今の5人は、初期の瑞々しさとは別種の落ち着きと厚みを備えている。その成熟した空気が、「ラストツアーを発表する場」という重い文脈に、過度な湿っぽさではなく、静かな決意を与えていた。
ファンにとって“嵐がそろっている”という状態は、安心感そのものだ。個々の活動で多忙な時期が続いても、節目には必ず5人が揃い、同じ方向を向いて立つ。その積み重ねこそが、「国民的グループ」としての信頼を築き上げてきた。今回の発表もまた、その歴史の延長線上にある一場面であり、同時に終着点へと向かうことを静かに告げる瞬間となった。
ツアースケジュールが示す“日本縦断の最終章” 大野智のバースデー配信も
発表されたツアー日程は、北海道から始まり、東京、愛知、福岡、大阪を経て再び東京へ戻る、日本列島を大きくなぞる構成となる。
北海道=大和ハウスプレミストドーム(札幌ドーム):
2026年3月13日(金)~3月15日(日)
東京=東京ドーム:
2026年4月1日(水)~4月2日(木)
愛知=バンテリンドーム ナゴヤ:
2026年4月6日(月)~4月8日(水)
福岡=みずほPayPayドーム福岡:
2026年4月24日(金)~4月26日(日)
大阪=京セラドーム大阪:
2026年5月15日(金)~5月17日(日)
東京=東京ドーム:
2026年5月31日(日)
この最終日・東京ドーム公演こそが、グループとしての活動を締めくくるステージとなる。
動画の中では、ツアーとは別に「26日には大野の45歳のバースデーを祝う生配信を予定している」との言及もあった。長年“リーダー”としてグループをけん引してきた大野を祝う場を、ツアーと近接したタイミングで設けることは、活動の最終章を迎える嵐にとって象徴的な意味を持つ。
ファンにとっても、単に一区切りを見届けるだけでなく、これまでの歩みを祝う時間として位置づけられていくはずだ。
ライブ配信の準備が示す“最後まで一緒に”という約束
櫻井は動画の中で、「コンサートに参加できなかった多くの皆さまにも楽しんでいただけるよう、生配信の準備も進めております」と語った。会場に足を運べる人の数には限りがある。それでもできる限り多くのファンと最後の時間を共有しようとする姿勢は、これまで嵐が大事にしてきたスタンスそのものだと言える。
大規模なドームツアーでありながら、現地観客のみならず配信での参加も視野に入れることで、「最後のツアー」に対するハードルを可能な限り下げようとしているように見える。コロナ禍以降、配信ライブやアーカイブ視聴が一般化したこともあり、画面越しの参加はもはや“特例”ではない。
むしろ、国内外に散らばるファンが、それぞれの場所から同じ時間を共有できる手段として定着しつつある。
“現場”で体感する熱気と、「自分の生活空間で向き合う」配信視聴は、質の異なる体験だ。しかし嵐は、その両方を並行させることで、「最後まで一緒に走りたい」というメッセージを形にしようとしている。会場の座席の有無を問わず、全員に開かれた「ラストツアー」に近づけようとする試みでもある。
活動終了までの道のりと、ファンに託された“その先”
動画の締めくくりで、松本は「私たち嵐はこれからも、ファンの皆さまに楽しんでいただけることを考えていきたいと思います。活動が終了するその瞬間まで、一緒に走り続けていただけたらうれしいです」と笑顔で呼びかけた。言葉の中には、「終わり」を見据えつつも、そこに至るまでの時間をどう豊かなものにするか、という視点がはっきりと込められていた。
活動終了という決断は、グループにとってもファンにとっても簡単なものではない。それでも嵐は、そのプロセスさえエンターテインメントとして提示しようとしている。単なる“解散”や“活動休止”という事務的な区切りではなく、ツアーという形を通じて、これまでの感謝とこれからの人生へのエールを交換し合う場を作ろうとしているように見える。
2026年5月31日の東京ドームは、ひとつの終着点であると同時に、それぞれのメンバーとファンにとって新しいスタートラインにもなるだろう。
25年以上にわたり“嵐”が日本のポップカルチャーに刻んできた痕跡は、活動終了後も簡単に消えることはない。最後のツアータイトルに掲げられた「We are ARASHI」という言葉には、「これからもあなたの記憶や人生のどこかに、嵐は在り続ける」という静かな宣言が読み取れる。
ファンは期待と寂しさの入り混じった複雑な感情を抱きながら、その最終章を見届けることになる。だが、その感情の揺れ幅の大きさこそが、長きにわたって“国民的アイドル”として愛され続けてきた証でもある。



