
新聞各紙やテレビが20日、国会議員の月額歳費を現在の129万4000円から5万円増額する方向で調整が進んでいると相次いで報じた。
公務員給与の改定に準じる措置とされるが、物価高と実質賃金マイナスが続くなかでの“議員だけが潤う”形に、Xを中心としたSNSでは批判が一気に噴出している。「ふざけるな」「国民の生活を見ていないのか」──ネットには怒号が渦巻き、議論は拡大し続けている。
国会議員の歳費、約四半世紀ぶりの増額方針が浮上
国会議員の給与にあたる歳費は、1999年以降、増額も減額もされず据え置かれてきた。新聞・テレビの報道によると、今回浮上した改正案では、歳費法の改正により月額が129万4000円から134万4000円に引き上げられる見通しだという。
増額の理由は「一般公務員の給与改定に準じた措置」という説明だ。
背景には、人事院勧告に基づく国家公務員の給与引き上げがあるとされる。しかし、国会議員は国の意思決定を担う立場であり、その職責から独自の歳費体系を維持してきた歴史がある。ゆえに、公務員給与と機械的に連動させることが適切かどうかについては、これまでも議論が繰り返されてきた。
今回の増額は、今すぐ適用されるわけではなく「次の国政選挙までは猶予される方向」とされる。だが、これが火に油を注いだ。「選挙後にこっそり上げるつもりか」「どうせ説明もせずに進めるんだろう」と受け止められ、国民の不信感はむしろ強まっている。
物価高と実質賃金マイナスの現状で、なぜ“議員だけ”
多くの家庭では、食品から光熱費まで広範囲で値上がりが続き、家計は追い詰められている。総務省統計によれば、実質賃金は長く低迷し、国民生活の疲弊感は深刻だ。そんな状況で、国会議員だけが5万円の増額――。
SNSでは、この“温度差”が批判の中心になっている。
「この国の政治は誰のためにあるのか」「国民には節約しろ、議員は増額?笑わせるな」
怒りに満ちた投稿が目立つ。さらに、政府は「身を切る改革」を掲げてきたはずだが、議員定数削減や報酬削減といった公約は、いつのまにか曖昧にされているとの指摘も多い。
「身を切ると言っていたのはパフォーマンスだったのか」という投稿も散見され、国民との約束が軽視されているとの不満が渦巻いている。
Xでは怒りが一斉噴出 「ふざけるな」「国民の手取りは増えないのに」
最も激しい反応を見せているのがXだ。
投稿の多くは、怒り、呆れ、諦観が入り混じったものだ。
「ふざけんな!」
「国民が物価高に苦しんでるのに議員だけ増やすんだ?」
「何だこれ。いい加減にしろ」
「定数削減はどうなった?」
「国民の手取りは増やさず、自分たちだけ増額?」
怒号が並ぶタイムラインは、まさに“炎上”の様相だ。
中には、「財源はどこから?」と疑問を呈する声や、「この国の優先順位は狂っている」「支持率低下の原因がまた増えた」と冷静ながら厳しい指摘も目立つ。
特に、「選挙後に適用」という説明には多くの利用者が不信感を示しており、「選挙が終わればこっそり上げるんだろう」「国民に説明できないと認めているようなもの」という投稿が続いている。
なぜ“国民の理解”を得ようとしないのか
問題は単に増額の中身だけではない。多くの国民が怒っている理由は、「説明の不十分さ」と「国民感覚との乖離」にある。
どの政党も、この増額がなぜ必要なのか、どんな議論を経て結論が出たのか、明確な説明をしていない。報道によれば与党が中心になって調整しているというが、議論の透明性は依然として乏しい。
歳費は税金であり、国民生活と密接に関わる。であるにもかかわらず、決定のプロセスが国民に開かれていないことが、不信の根源となっている。
「増額しなければ政策立案ができないほど困っているのか?」
「国民の生活水準が下がっている中で、議員だけが例外扱いなのはおかしい」
こうした声こそが、今回の議論の本質を示している。
政治への不信は再び深まるばかり
日本の政治は長らく「説明不足」と批判され続けてきた。政治とカネの問題、裏金事件、説明責任の欠如――こうした積み重ねの結果、国民の政治への信頼は揺らいだままだ。
そこに今回の歳費増額方針が加わった。「またか」という失望感が、SNSでの反応の根底にある。
国民生活が苦しい時こそ、政治には寄り添う姿勢が求められる。だが今回の議論は、政治と国民の距離の広さを改めて浮き彫りにした。国民の怒りがここまで広がるのも当然だろう。
政府も与党も野党も、国民の信頼を取り戻すためには徹底した説明が不可欠であり、議員の自己優遇と受け取られる施策に慎重さが求められる。



