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ドジャース、球団史上初の世界一連覇 山本由伸がMVP 大谷翔平と並ぶ「二枚看板」が導いた歓喜の夜

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山本由伸投手
MLBJapan Instagramより

アメリカ大リーグの頂点を決するワールドシリーズ第7戦が1日(日本時間2日)、トロントで行われた。ロサンゼルス・ドジャースが延長11回の死闘を制してブルージェイズを5―4で下し、球団史上初のワールドシリーズ連覇を達成した。
その中心にいたのは、わずか27歳の日本人右腕・山本由伸だった。前年に日本から移籍した小柄なエースが、アメリカの頂点で再び歴史を動かした。

 

中3日で先発登板 大谷翔平が見せた“意地の投球”

中3日で第7戦の先発マウンドに上がったのは大谷翔平(31)。球団は「最後はショウヘイに託す」と決断した。疲労を押して立ったマウンドで、彼は打者としても先頭に立ち、いきなりシャーザー(41)から安打。三塁まで進んだが、ドジャース打線はあと一本が出ず、先制はならなかった。

一方で投手としては立ち上がりから気迫十分。先頭打者スプリンガー(36)に安打を許すも、続くルーカス(31)、ゲレーロJr.(26)を連続三振に仕留め、さらに飛び出した走者を二塁で刺して切り抜けた。
続く2回、2死満塁のピンチでは159キロのストレートでヒメネス(27)を空振り三振に。雄叫びを上げた姿に、観客席のドジャースファンから「ショウヘイ!」の大合唱が起きた。

だが3回、スプリンガーの安打をきっかけに1死一、三塁の場面でビシェット(27)にスライダーを運ばれ、センターへの3ラン。打たれた瞬間、大谷は苦笑いを浮かべた。それでもその背中から伝わるのは「まだ終わらない」という闘志だった。

 

追いすがる打線、ベテランと若手が見せた結束

3点を追う展開でも、ドジャース打線は沈黙しなかった。
4回、1死満塁からテオスカー・ヘルナンデス(33)がセンターへ犠牲フライ。6回にはエドマン(30)が浅い中飛を放ち、三塁走者のベッツ(33)が激走でホームイン。グラブの中に収まったボールより早くスライディングでベースをかすめ、球場全体がどよめいた。

「最後まで諦めない」――。それが今季のドジャースを象徴する言葉だ。選手たちが何度も声を掛け合い、ベンチの空気を保ち続けたことが、連覇への礎となった。

 

ブルージェイズの総力戦を打ち崩す 流れを変えた“ヨシノブ”の登板

7回、ブルージェイズがヒメネスの二塁打で再び2点差に広げると、相手は第5戦で好投した若手右腕イェサベージ(22)を中2日で投入。32年ぶりの世界一を狙う執念を見せた。

だが、ここで流れを変えたのがドジャースだった。8回にマンシー(35)が豪快なソロ本塁打を放ち再び1点差に。9回にはホフマン(32)の剛腕を相手にロハス(36)が同点弾を放ち、試合は延長へ。
そして、この瞬間を待っていたかのようにマウンドに上がったのが山本由伸(27)だった。

前日の第6戦では6回1失点の力投。中0日での連投は異例だったが、首脳陣の信頼は厚かった。
9回1死一・二塁から登板し、満塁のピンチを招くも、サヨナラの危機を自らのスプリットで断ち切った。10回も無失点で凌ぐと、味方ベンチが一気に活気づいた。

 

延長11回、勝利を呼び込むスミスの一発 歓喜の輪の中心にいたのは

延長11回、ウィル・スミス(30)が右翼スタンドへ勝ち越し本塁打を放つ。ドジャースがこの試合で初めてリードを奪った瞬間、ベンチは総立ちとなり、山本はマウンドで冷静に深呼吸をした。

その裏、ブルージェイズはゲレーロJr.の二塁打で1死一・三塁。再び緊迫の場面を迎えたが、山本は表情を変えず、最後の打者カーク(26)をスプリットで詰まらせて併殺完成。
試合終了の瞬間、山本は右手を高く掲げ、ベッツ、大谷、スミスらが一斉に駆け寄る。敵地ロジャースセンターを埋めた観客の一部からも、拍手が鳴り止まなかった。

MVPは山本由伸 小さな体で掴んだ“本物の信頼”

試合後に発表されたワールドシリーズMVPは、山本由伸(27)が受賞した。日本人選手の受賞は2009年の松井秀喜氏(ヤンキース)以来16年ぶり、史上2人目の快挙だ。
シリーズ3登板で3勝。第2戦での完投勝利、第6戦での好投、そして第7戦の魂のリリーフ。ドジャースの連覇は、彼の存在なしには語れない。

山本は1998年8月17日生まれ、2025年11月現在27歳。身長178センチ、体重80キロ。滋賀県出身で、オリックス・バファローズ時代には3年連続沢村賞を獲得し、2023年オフにドジャースと12年総額3億2500万ドル(約470億円)の契約を結んだ。
当初は「小柄な右腕がMLBで通用するのか」と懐疑的な声もあったが、その精密なコントロールと冷静な勝負勘で批評家を沈黙させた。

ドジャース加入後は瞬く間にファンの心をつかみ、地元ロサンゼルスでは子どもたちが「Yoshinobu 18」のユニフォームを着る光景が定着。メディアからは“Silent Samurai(静かな侍)”と称され、言葉少なながらも誠実な姿勢がチーム内でも尊敬を集めている。

表彰式では、大谷翔平(31)と佐々木朗希(23)が並んで笑顔で祝福。山本は「最高です。できることは全部できた。このチームで優勝できて嬉しく思います」と語り、涙をこらえながら帽子を取って深々と一礼した。
その姿は、異国の地で信頼を勝ち取った若き侍の誇りそのものだった。

 

日本人選手が示した“新しいMLBの形”

大谷翔平が投打二刀流で挑み、山本由伸が精密機械のような制球で支えた。ドジャースが成し遂げた球団史上初の連覇は、もはや「奇跡」ではなく、緻密な積み重ねの結果だった。
チーム内では「ショウヘイとヨシノブがいれば、負けない」という言葉が合言葉のように交わされてきたという。

この夜、MLBの歴史に新たなページが刻まれた。日本人が主役としてアメリカの野球文化の中心に立つ。
その現実を見届けたファンの多くが涙したのは、単なる勝利の喜びではなく、長い努力と信頼の物語に心を打たれたからだ。


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ライター:

千葉県生まれ。青果卸売の現場で働いたのち、フリーライターへ。 野菜や果物のようにみずみずしい旬な話題を届けたいと思っています。 料理と漫画・アニメが大好きです。

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